① 費用は3つに分かれます
| 何の費用か | |
|---|---|
| 一度きり | 会社の登記(MyCoID)、会社秘書役の選任、銀行口座の開設と資本金の払込み、業種のライセンス(卸・小売の WRT など)、SST の登録(対象の場合)、日本人の駐在員の就労許可(EP) |
| 毎月 | 記帳、給与の源泉税(PCB)、法人税の見積り納付、社会保険(EPF・SOCSO・EIS)、人材開発基金(従業員10人以上)、海外への支払いの源泉税 |
| 2か月ごと | 売上税・サービス税(SST)の申告・納付(登録している会社) |
| 毎年 | 監査(免除される小さな会社を除く)、法人税の見積り額の届出と確定申告、財務諸表の作成・株主への回覧・SSM への提出、年次申告書、会社秘書役の業務、従業員の年間の給与の報告(フォーム E・EA)、移転価格の文書(対象の場合)、駐在員の個人所得税 |
マレーシアでは、原則としてすべての会社(支店を含む)が監査を受けます。2025年から小さな非公開会社には免除の制度ができましたが、免除されても財務諸表の作成と提出は必要です。また、すべての会社に、マレーシアに住む資格者の会社秘書役を置く決まりがあります。(出典:書籍「マレーシア 会計」・「マレーシア 会社法」、Q&A「監査を受ける義務のある会社はどういう会社でしょうか?」)
② 会社を持つと、毎月・毎年しなければならないこと
毎月
| 何を | いつまでに | 対象 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 給与の源泉税(PCB)の納付 | 毎月15日まで | 給与を払う会社 | 書籍「マレーシア 税務」 |
| 法人税の見積り納付(CP204) | 毎月15日 | すべての法人(事業計画をもとに見積り額を届け出る。年の途中で6・9・11か月目の3回修正できる) | 書籍「マレーシア 税務」、Q&A「中間納付、予定納税は必要ですか?」 |
| 社会保険(EPF・SOCSO・EIS)の納付 | 翌月15日まで(祝日ならその前の営業日) | 従業員を雇うすべての会社(SOCSO は2019年から外国人も。EPF は2025年10月の給与から外国人も義務で、会社2%・本人2%) | 書籍「マレーシア 労務」、Q&A「社会保険の種類と計算方法を教えてください。」、payrollpanda、Malay Mail 2018-01-31、Skrine 2025 |
| 人材開発基金(HRD Corp)の拠出 | 翌月15日まで | マレーシア人の従業員が10人以上の会社(5〜9人は任意) | 書籍「マレーシア 労務」、HRD Corp 通達 7/2015 |
| 海外の会社への支払いの源泉税 | 支払日(か未払い計上日の早いほう)から1か月以内 | 海外の会社にサービスの対価・利息・ロイヤルティなどを払う会社 | 書籍「マレーシア 税務」 |
2か月ごと
| 何を | いつまでに | 対象 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 売上税・サービス税(SST)の申告・納付 | 2か月の課税期間の翌月末日 | 売上税・サービス税の登録事業者(一定の売上を超える製造業者・課税サービスの事業者) | 書籍「マレーシア 税務」、Q&A「VATの申告は年に一度ですか?」 |
毎年(12月決算の場合)
| 何を | いつまでに | 対象 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 法人税の見積り額の届出(CP204) | 事業年度の開始の30日前まで(新設の会社は営業開始から3か月以内) | すべての法人 | LHDN「Anggaran Cukai」 |
| 監査 | 財務諸表の回覧(6か月以内)に間に合うように | 原則すべての会社(2025年から小さな非公開会社は免除あり。免除の基準は段階的に上がる:2025年 売上100万リンギット・従業員10人、2026年 200万リンギット・20人、2027年 300万リンギット・30人など) | 書籍「マレーシア 会計」・「マレーシア 会社法」、Crowe(PD10/2024) |
| 財務諸表の作成と株主への回覧 | 決算日から6か月以内 | すべての会社 | 書籍「マレーシア 会計」 |
| 財務諸表の SSM への提出(MBRS 2.0・XBRL 形式) | 非公開会社は株主への回覧から30日以内(回覧は決算日から6か月以内なので、最長7か月)。公開会社は AGM から30日以内 | すべての会社(監査を免除された会社も) | 書籍「マレーシア 会計」、SSM「Annual Submission」・PD 5/2018 |
| 年次申告書(Annual Return)の SSM への提出 | 設立の記念日から30日以内(会社秘書役が MBRS で申告) | すべての会社 | SSM「Annual Submission」(会社法68条) |
| 定時株主総会 | 非公開会社は開催の義務なし(書面の決議でよい)。公開会社は決算日から6か月以内 | — | 書籍「マレーシア 会社法」、Q&A「年次株主総会の開催は必要ですか?」、SSM 会社法 FAQ Part O |
| 従業員への給与の年間の明細(フォーム EA)の交付 | 2月末まで | 給与を払う会社 | 所得税法(1967年)83条・LHDN の公表 |
| 従業員の給与の報告(フォーム E)の LHDN への提出 | 3月31日まで(電子の場合は4月30日まで) | 給与を払う会社 | 所得税法(1967年)83条・LHDN の公表 |
| 法人税の確定申告・納付 | 決算月から7か月以内(12月決算なら7月末) | すべての法人 | 書籍「マレーシア 税務」、Q&A「年度末法人税申告の手続きについて教えてください。」 |
| 駐在員の個人所得税の確定申告 | 翌年4月30日まで(電子申告 e-BE は5月15日まで) | 居住者となる駐在員 | 書籍「マレーシア 税務」、所得税法(1967年)77条・LHDN の公表 |
| 移転価格の文書の作成 | 法人税の申告期限までに作成。当局に求められたら14日以内に提出 | 関連会社(親会社を含む)と取引のある会社 | EY(移転価格規則2023) |
| 会計帳簿・証憑の保存 | 7年間 | すべての会社 | 書籍「マレーシア 会計」、Q&A「会計帳簿は何年間保存する義務があるのでしょうか?」 |
そのほかの決まり(変更があったとき・人数が増えたとき)
| 何を | いつまでに | 出典 |
|---|---|---|
| 会社秘書役を置く | 設立から30日以内に選び、常に1人以上(マレーシアに住む資格者。会社法〔2016年〕236条) | 書籍「マレーシア 会社法」・「マレーシア 設立」 |
| 実質的支配者の届出 | 2024年4月から義務(変わったときも) | 書籍「マレーシア 会社法」 |
| 取締役・事務所の変更の届出 | 変わったとき(会社秘書役を通じて SSM へ) | Q&A「取締役変更の際の流れを教えてください。」・「事務所を変更する予定です。…」 |
| 新しい従業員の届出(CP22) | 雇用から30日以内(2024年9月からは電子の e-CP22 のみ) | 所得税法(1967年)83条・LHDN の公表 |
| 従業員の退職・出国の届出(CP21・CP22A) | 退職・出国の30日前(駐在員の帰任のとき) | 所得税法(1967年)83条・LHDN の公表 |
| SST の登録の見直し | 対象が変わったとき(2025年7月からサービス税の対象が拡大) | PwC |
| 契約書などの印紙税 | 国内で作った文書は締結から30日以内/国外で作った文書は持ち込んでから30日以内(2026年1月から段階的に自己申告制) | 書籍「マレーシア 税務」、KPMG 2025-12 |
| 電子インボイス | 売上の規模に応じて段階的に義務化(2026年9月1日から、年間売上300万リンギット未満は免除) | 書籍「マレーシア 税務」、BernamaBiz 2026-08-30・LHDN ガイドライン v4.8 |
これを、自社でやるか・委託するかで、毎月の費用が決まります。マレーシアでは税務申告は税務代理人(Tax Agent)が、登記の届出は会社秘書役が行うのが一般的で、どちらも外部に頼むのが普通です。記帳から申告・届出までをまとめて委託する会社が多くなっています。
③ 設立の費用:法律上の下限と、実際に必要な額は違います
| 何の基準か | 書籍にある額 | 出典 |
|---|---|---|
| 最低資本金(物流・卸小売などを除くサービス業) | 定めなし(1リンギットから設立できる) | 書籍「マレーシア 会社法」・「マレーシア 投資環境」・「マレーシア 設立」 |
| 日本人の駐在員の就労許可(EP)を取る場合 | 外資100%の会社は、払込資本金50万リンギット以上(外資30%以上の合弁は35万リンギット以上)。法律ではなく、入国管理局(ESD)に会社を登録するときの基準 | 書籍「マレーシア 設立」、入国管理局(ESD)の公表 |
| 卸・小売のライセンス(WRT)を取る場合 | 資本金100万リンギット以上。法律ではなく、国内取引・生活費省(KPDN)のガイドラインの基準 | 書籍「マレーシア 設立」、KPDN のガイドライン |
| EP の最低の月給(2026年6月1日からの申請) | カテゴリーI(経営幹部)2万リンギット以上、II(管理・専門職)1万〜19,999リンギット、III(技術職)5,000〜9,999リンギット | 書籍「マレーシア 投資環境」、Baker McKenzie 2026-01 |
- これは「設立に必要な金額」ではありません。法令・当局の基準で、TCG の料金でも相場でもありません。「1リンギットで設立できる」は、日本人を置かない会社の話です
- EP には、月給のほかに、年間30万リンギット以上の運営費などの条件もあります(出典:書籍「マレーシア 投資環境」)
- 取締役のうち1人以上は、マレーシアに住む人でなければなりません(出典:書籍「マレーシア 設立」)
④ 金額を動かす要因
| 費用を大きく変えるもの | |
|---|---|
| 設立 | 業種(卸・小売・物流などの資本金とライセンス)/日本人の駐在員を置くか・何人か(EP の資本金と給与)/居住取締役を誰にするか/製造業なら MITI・MIDA の許可や優遇 |
| 毎月・毎年 | 取引の件数(仕訳・電子インボイスの数)/SST の登録の要否/従業員の人数(10人で人材開発基金)/海外への支払いの有無(源泉税)/監査が免除される規模か/法人税の見積りの精度(大きく外すと罰金)/日本の本社への月次の報告の要否 |
⑤ 見積もりに必要な前提(チェックリスト)
- 業種(卸・小売・物流に当たるか)
- 出資比率
- 資本金の予定額
- 開始時期
- 月の取引の件数の見込み
- 年間の売上の見込み(SST・電子インボイス・監査の免除)
- 現地採用の人数(10人を超える時期)
- 日本人の駐在員の人数と役職
- 海外の会社(親会社を含む)への支払い
- 決算月
- 日本の本社への報告(月次/四半期)
御社の条件で、設立の費用と毎月の費用を一緒に確認します
上の一覧のうち、どれを社内で行い、どれを委託するかで毎月の費用が決まります。チェックリストの前提を、専門家がお伺いします。
このページに書いた金額は、法令で定まった基準だけです。TCG の料金ではありません。
