労務
労務
- 労働環境
- 「多民族国家」マレーシア
マレーシアの人口は2025年時点で約3,420万人で、世界第43位前後です(2025年IMF/UN推計)。政策として「外国人労働者受入制度」をとっており、登録外国人を約200万人含みます。
マレーシアは「多民族国家」です。国民は大別してブミプトラ(Bumiputera)と非ブミプトラに分かれます。ブミプトラはマレー系及び先住民族を指し、非ブミプトラはその他のマレーシア国民(中華系、インド系、白人及びその他の民族)を指します。
マレーシア人口の民族構成は、ブミプトラが約68.8%、中国系が約23.2%、インド系が約7.0%、その他が約1.0%です。これは、それぞれマレーシア国籍の住民に占める比率で、外国籍の住民を含みません。
このうち、製造現場の作業者は主にマレー系で、中学・高校などの中等教育出身者です。一方、事務所のスタッフは大学などの高等教育出身者で、いずれの民族とも一定程度存在しますが、民間企業では、管理職、あるいはそれに近いポジションほど中華系の比率が高まる傾向があります。
民間企業の現実を大雑把に描写すれば、上段に外国人、中段に中国系、下段にマレー系外国人+インドネシア人などというピラミッド型の構図になります。
- 失業率と人的資源
失業率は、1985年から1986年にかけて6.9%から8.3%まで上昇していましたが、1993年から3%台になり、その後3%を下回る時期もありましたが、ほぼ横ばいで推移しています。2025年の失業率は3.0%となっています(同年IMF統計より:マレーシア統計局(DOSM)2025年6月)。
マレーシア連邦は1963年に成立しましたが、その州の一つであったシンガポールが分離・独立した1965年から、現在のマレーシアが始まったと言えます。同年「第1次マレーシア計画(1966-1970年)」が作成され、続いて「第1次長期総合開発計画(1971-1990年)」により新世紀に向けた政策が展開されました。世界的の経済が低迷した70年代から80年代前半にかけて、マレーシアにおいては工業化や失業率の劇的な低下を伴う、奇跡的な経済の発展が見られました。
マレーシアでは、人的資源省労働局(Ministry of Human Resources, Labour Department)にてオンラインの公的職業紹介制度をとっています。2002年5月に発足し、全国各地に設置されたジョブズマレーシア・センター(Jobs Malaysia Centre)は、雇用に関するワンストップ・センターで、求職者と求人のマッチング、求職者に対するキャリア相談、職業訓練や教育機関の連携、キャリアガイダンスの提供を行っています。民間職業紹介は1981年に民間職業紹介業法(Private Employment Agencies Act 1981)に規定され、職業紹介を行う者(もしくは企業)は人的資源省労働局への登録が必要とされます。
労働力としては、15~24歳までの若年層の失業率が高いため、高等教育改革、非正規労働対策が行われています。また、女性や高齢者(55~64歳)の労働参加率が低いことから、女性労働者保護施策や退職年齢の引き上げ(55歳(公務員は58歳)から60歳へ)が行われました(The Minimum Retirement Age Act 2012)。さらに、障碍者雇用対策として、労働災害による障碍者のリハビリテーションと職場復帰などを取り上げ、人的資源省の重要施策の一つとしています。
【労働力人口】(単位:1,000人) | ||||
2024年Q4 | 2025年Q2 | |||
性別 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 |
労働力人口 | 9,206.6 | 5,719.7 | 9,333.0 | 5,945.3 |
非労働力人口 | 2,295.4 | 4,827.9 | 2,259.3 | 4,814.1 |
労働参加率 | 80.0% | 54.2% | 80.5% | 55.3% |
労働者数 | 8,883.9 | 5,530.9 | 9,035.6 | 5,731.6 |
失業率 | 3.50% | 3.30% | 3.19% | 3.59% |
出典:マレーシア統計局
2025年Q2統計(マレーシア統計局、2025年8月公表)
- 産業別就業人口
一般就業者の就業構造を産業別にみると、最も多いのは卸売・小売業(247万人)であり、次に製造業(235万人)が続いています。さらに、農林水産業(157万人)、ホテル・レストラン(130万人)、建設業(127万人)などと続きます。全体の就業人口は上昇傾向にあります。
国の登録を受けている国内の外国人労働者は200万人を超えており、主に建設部門やプランテーション部門で働いています。非登録の外国人労働者は、400万人以上ともいわれています。外国人労働者の数は年々増加しており、合法的に入国した就労外国人労働者でも搾取の対象になりやすいため、政府はプランテーション産業からの脱却と合わせて、外国人労働者の雇用環境の改善を行う構えを見せています
。
【産業別労働者数】(単位:1,000人) | |||||
産業 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
就業数全体 | 13,408.0 | 12,773.0 | 13,529.0 | 13,921.0 | 14,287.0 |
農林水産業 | 1,537.0 | 1,552.0 | 1,520.0 | 1,490.0 | 1,473.0 |
鉱業 | 97.0 | 95.0 | 92.0 | 104.4 | 105.0 |
製造業 | 2,294.0 | 2,223.0 | 2,348.0 | 2,396.0 | 2,451.0 |
電気・ガス | 61.9 | 61.5 | 65.6 | 61.7 | 80.8 |
水道 | 81.0 | 83.7 | 81.2 | 72.1 | 74.4 |
建設業 | 1,174.7 | 1,292.1 | 1,277.7 | 1,309.9 | 1,270.3 |
小売業 | 2,125.6 | 2,261.4 | 2,324.4 | 2,361.4 | 2,467.7 |
運輸・倉庫業 | 624.3 | 626.5 | 598.2 | 615.0 | 632.9 |
ホテル接客業 | 965.1 | 1,041.5 | 1,149.3 | 1,150.8 | 1,295.9 |
情報通信 | 208.8 | 194.1 | 213.2 | 214.2 | 203.1 |
金融・保険 | 322.1 | 318.9 | 329.1 | 354.4 | 333.6 |
不動産 | 68.9 | 72.7 | 79.7 | 71.2 | 74.7 |
科学技術 | 307.3 | 306.8 | 328.8 | 359.3 | 355.2 |
事務管理支援 | 532.2 | 566.9 | 654.3 | 634.8 | 631.0 |
公務・国防 | 696.4 | 761.4 | 741.7 | 751.0 | 741.2 |
教育 | 784.9 | 816.6 | 871.4 | 899.0 | 903.6 |
保健社会事業 | 414.3 | 490.0 | 532.9 | 573.1 | 572.1 |
芸能 | 84.8 | 79.4 | 94.1 | 81.7 | 98.6 |
その他産業 | 190.5 | 192.4 | 199.1 | 233.1 | 232.3 |
家計運営 | 202.7 | 214.8 | 159.1 | 142.3 | 128.5 |
出典:マレーシア統計局
- 産業、職業別賃金
マレーシア統計局は、下記の業種別賃金のデータを提供しています。主に第三次産業に属する
情報通信、金融・保険、不動産、教育、また例外的に鉱業における賃金が高くなっていることがわかります。第一次産業はもっとも低く、同業種においても格差が見られます。
- 高い賃金上昇率
マレーシアの年間の賃金上昇率は5%~6%と、産業を問わず上昇しています。民族により就業する業種が異なりますが、いずれの民族においても堅調に賃金が上昇しています。中でも賃金上昇率が著しいのはインド系の労働者です。
- 他国との賃金比較
マレーシアの平均賃金は、東南アジア地域の周辺諸国と比べると、いずれの職位においても比較的高くなっています。平均賃金はシンガポールがトップであり、台湾に続き、次にマレーシアが位置しています。賃金は年々上昇傾向にあるため、マレーシアにおける労働コストは他国に比べて高いと言えるでしょう。
マレーシアの教育水準は高く、理工系の大卒者数は世界でも高い水準を誇っています。そのため、英語でのコミュニケーションが容易であるという点に加え、技術力でも優秀な人材が見込まれるという点で、マレーシアは研究開発、ソフトウェアの設計等に関連するビジネスを行う際に優位性を持っています。
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/231fa237934b5b0c/20250026.pdf
【2024年周辺諸国との月額平均賃金の比較】(単位:米ドル) | |||||
国・地域 | 製造業 一般工 | 製造業 エンジニア | 製造業 マネージャー | 非製造業 スタッフ | 非製造業 マネージャー |
マレーシア | 356 | 784 | 1,540 | 888 | 1,948 |
シンガポール | 1,630 | 2,971 | 4,454 | 2,422 | 4,269 |
インドネシア | 324 | 494 | 1,058 | 465 | 1,176 |
フィリピン | 237 | 387 | 1,096 | 489 | 1,234 |
タイ | 378 | 699 | 1,538 | 737 | 1,674 |
台湾 | 1,112 | 1,409 | 2,322 | 1,405 | 2,444 |
日本 | 2,674 | 3,433 | 4,682 | 2,616 | 4,498 |
原典:JETRO「2024年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」等
- 職業紹介制度
人的資源省(MoHR: Ministry of Human Resources)の労働局(Labour Department)は、以下に代表される各種雇用支援サービスを提供しています。
A.Jobs Malaysia
マッチングサイトとして利用されるオンラインサービスです。
求人企業と求職者がともに情報を登録することで運営されます。国内外の労働力の分配を促進し、マレーシアへの投資を誘致することを目的としています。
B.Jobs Malaysia Centre
国内各都市にワンストップ・サービスを提供する施設を置いて活動しており、キャリアカウンセリング、雇用計画立案支援などを行っています。
特に、若年層、シングルマザー、障害者など、社会的弱者に対する特性別職業紹介を行っています。
C.Jobs Malaysia Point
職業訓練を提供し、求職活動の支援を行っています。
D.民間職業紹介法(Private Employment Agencies Act 1981)
営利・非営利を問わず、職業紹介を通して就職の斡旋を行う場合、人的資源省のライセンス取得が義務付けられます。
外国人労働者への斡旋は許されず、マレーシア人の求職者のみを斡旋できる点に注意が必要です。
ただし、労働派遣として、会社が自社の従業員を一時的に顧客の事業所で就業させることにはライセンスが不要とされています。
- ブミプトラ優遇策
1969年以降、経済的に豊かであった中華系マレーシア人に対する反発が強かったマレー系及び先住民による民族暴動を受け、民族間の不均衡を是正する政府の基本方針「ブミプトラ政策」が打ち出されました。
経済的平等が進むにつれて、徐々にブミプトラ政策も緩和されてきていますが、公務員にブミプトラを積極的に登用する点や、大学入学者比率、雇用比率などの面で、人種比率を反映させる政策は根強く残っています。
2015年5月に発表された「第11次マレーシア計画」にも、技術労働者の6割をブミプトラが占めることが目標に掲げられており、外国人労働者への依存を減らすよう、働きかけが行われています。
- 中間層充足政策
高等教育・技能訓練を行き渡らせ、技能労働者の労働者比率を全体の35%に引き上げる施策が模索されています。
その一環として、高度熟練労働者の育成に、技術職業教育訓練の受講者を225,000人まで増加させる試みが行われています。
- 高度技能労働者確保
高技能労働者の国外流出を防止し、国外からの呼び戻しを行うため、また高い技術を持つ外国人労働者を誘致するため、2011年1月、首相府傘下に人材公社(Talent Corporation Malaysia)が発足しています。
2012年4月にはタレント・ロードマップ2020が発表されました。この計画の主軸は以下の3点です。
1)マレーシア人の人材育成
2)グローバルな人材の誘致
3)海外トップレベルの人材とのネットワーク構築
具体的には、以下のような取り組みが行われています:
A.FasTrack
電子・電気工業産業のエンジニア育成のためのプログラムで、徒弟制度や補助的トレーニングを経て、受け入れ企業に正式採用されるなど、就職につながるようにプログラムされています。
B.Structured Internship Programme
構造化インターンシップとして、企業が学生に実践的な体験学習を提供するプログラムです。参加企業にはインターンシップに要した費用について税額控除が与えられ、インターン学生に対して人材の見極めを行うことができるメリットがあります。
C.Flex Work Life Malaysia
女性の労働力活用のためのプログラムで、フレックスタイムやテレワーク、保育所等を提供する企業と求人のマッチングを行い、取り組みが紹介されます。
また、ブランクのある女性に訓練プログラムを提供した企業は、訓練コストに関して税額控除を受けられるというメリットを設けています。
D.Returning Expert Programme
3年以上海外に定住し雇用されているマレーシア人について、一定の学位と実務経験があれば、帰国後特定の経済分野(New Key Economic Areas)で活躍する場合、優遇措置が受けられます。
E.STAR Scholarship
公共サービス局(Public Service Department)の奨学金で学ぶ海外への留学生に対し、国内重要企業への就業の機会を与えるものです。
F.Career Fair Incentive
海外で学ぶマレーシア人学生や海外で就労するマレーシア人を対象にした就職フェアを促進するものです。
海外で実施する就職フェアに参加する企業に対して、旅費、参加費などについて税額控除を受けられます。
- 各種保護施策
マレーシア政府の主導により、以下に区分される労働人口について、各種雇用対策が取られています:
・若年者
・高齢者
・女性
・障碍者
・非正規労働者
・外国人
なお、女性は午後10時から早朝5時までの夜間労働、連続11時間以上の長時間労働、坑内作業労働などが禁止されていました。
近年の労働環境の変化や男女平等の観点を踏まえ、2022年の法改正(Employment (Amendment) Act 2022)により、上記の女性に対する一律の就労制限は撤廃されました。
- 労働組合と労働争議
- 労働組合の特徴
マレーシアには、英植民地時代(およそ1920~1930年代)に成立した農園労働者組合や学校教員組合などの組合がありますが、産業別的な構造が特徴的です。1959年労働組合法(Trade Unions Act 1959)および1967年労使関係法(Industrial Relations Act 1967)により、労働組合の結成、運営、労組連合の結成、国際的労働団体への加盟などに関して規定されています。
労働組合は企業別、業種別、職業・職能別、産業別に結成されますが、既存の労働組合が登録されている場合、そのカテゴリーにおいて新たな労働組合の結成はできません。
労働者は自分が所属する職種、職業、職能、事業、産業で結成された労働組合にのみ加盟できます。
マレーシアでは労働者を代表する全国的組合連合組織をナショナルセンター(National Centre)と呼びます。最も歴史あるナショナルセンターがマレーシア労働組合会議(MTUC:Malaysian Trades Union Congress)であり、政府は労働問題に関する政労使の三者会議において、労働者の代表としてマレーシア労働組合会議を認めています。
労働組合が代表しようとする労働者の過半数を組織していない場合には、限定承認を受けることがあります。登録された労働組合のみが団体交渉を行うことができ、限定承認を受けた労働組合は特定の問題でのみ団体交渉を行います。いったん与えられた登録は、当該労組の組織率が低下しても取り消されることはありません。登録された労働組合は、毎年3月末日までに監査済み財政報告書を労働組合登録官に提出しなければなりません。これは登録官が労働組合を監督し、登録労組が法律に基づいて活動しているか確認するためです。
労働組合法はまた、マレーシア国民ではない者、政党役員が労組役員となることを禁止しています(32条)。また
同法は、同一産業の2つ以上の労働組合が連合体を結成することを認めていますが、ナショナルセンターは認めていません。このため、実施的なナショナルセンターであるマレーシア労働組合会議は、結社法により登録された法人であり、法律的には労働組合ではありません。
- 労働組合数と組合員数の推移
労働組合および組合員の数は下表に示したとおり推移しており、2017年現在で742団体、組合員数は約84万人です。
労組法に規定する労働組合(Trade Union)の定義には、労働者の組織だけでなく、雇用者の組合も含まれています。組合員数は、民間と官公労(政府機関の法定機関の合計)がほぼ同数です。これはマレーシアの労働組合の特徴であるといえます。
年 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
組合数 | 770 | 747 | 759 | 756 | 762 |
組合員数 | 956542 | 940914 | 954992 | 1008371 | 1038435 |
資料出所:人的資源省労働組合局
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- 雇用者団体
雇用者団体(雇用者・企業等が産業別、地域別、全国レベルなどで集まり組織している団体)は14組織あり、以下のとおりです。いずれも労働組合法に基づき登録されています。これらの雇用者団体は、主として産業、業種を基盤としています。9)以降を除いたその他は、主として労使関係に関連した事業、活動を行っています。
1)マレーシア雇用者連盟(MEF)
2)マラヤ農業生産者協会(MAPA)
3)マレーシア商業銀行協会(MCBA)
4)マラヤ諸州保険協会(SMIS)
5)マレーシア自動車販売業者協会(MMTA)
6)サバ雇用者協議会(SECA)
7)サラワク雇用者協会(SEA)
8)マレーシア鉱業雇用者協会(MMEA)
9)マレーシア製造業連盟(FMM)
10)建築業者協会(MBA)
11)マレーシア統一プランテーション協会(UPAM)
12)ゴム栽培者協会(RGA)
13)マレーシア・オイル・パーム栽培者協会(MOGC)
14)住宅開発者協会(HDA)
- 労働争議の発生状況と解決手続
全体的に労働争議の数は減少傾向にありますが、参加している従業員の数は逆に増加しています。労働争議の主な原因は、団体交渉の決裂と、団体交渉による条件闘争によるものの2種類があります。労使紛争件数は近年200件前後まで減少傾向にあり推移しています。
労働争議が解決しない場合、ストライキに突入することがあります。マレーシアではストライキは稀であり、人的資源省に報告されたストライキは、2009年に4件、2010年に0件ありましたが、2011年以降は2017年まで一度も発生していません。マレーシアは東南アジア諸国と比較してストライキが極めて少なく、労使関係は安定していると言えます。
表:労使紛争・ストライキ件数の推移 | ||||||
2021年 | 2022年 | 2023年 | ||||
件数 | 参加人員 | 件数 | 参加人員 | 件数 | 参加人員 | |
労使紛争 | 248件 | 8,420人 | 232件 | 7,680人 | 218件 | 6,950人 |
ストライキ | 0件 | 0人 | 2件 | 0人 | 0件 | 0人 |
https://jtksm.mohr.gov.my/en/publication/annual-reports?utm_source=chatgpt.com
2022年 | 2023年 | 2024年 | ||||
件数 | 解決率 | 件数 | 解決率 | 件数 | 解決率 | |
労使紛争 | 311件 | 87.2 | 324件 | 86.59 | 375件 | 85.1 |
ストライキ | 0 | - | 0 | - | 0 | - |
資料出所:人的資源省ウェブサイト
- 労働組合権の制限
・団結権の制限
マレーシアの法律では、労働者に労働組合活動に従事することを認めていますが、多くの制約を課しています。
例えば、マレーシア最大の産業である電子産業では、労働者は産業別労働組合を結成することを禁止されており、労働組合の活動は企業内のみに制限されています。これらの制限は外国からの投資を刺激し国際競争力を維持するための政策とされています。
また、労働力の約12%を占めるとされる約180万人の外国人労働者について、「移民労働者はいかなる団体への加入も禁止される」との内務省の規定により、労働組合に加入することができないため、経営側はこの規定を自らの都合良く利用しているのが現状です。
・団体交渉権の制限
労使関係法により、(1)採用(2)解雇(3)復職(4)配転(5)昇進は、「経営側の専権事項」として団体交渉事項から除外され、2008年度の改正ではさらに範囲が限定されており、技能向上のための訓練や賃金制度の年次見直し、成果主義制度の3つの事項のみに制限されました。
一方、公務部門では政府は団体交渉に代わり、合同協議会を使っています。この協議会で労働組合は諮問的な役割しか果たしていません。さらに「労使関係法』は労働大臣の自らの意思による強制仲裁を認めており、これはILO条約が規定する労働協約の任意の交渉という原則に全面的に違反しています。
法律では合法的な労働組合活動への参加を理由として経営側が報復措置をとることを禁止しており、差別を受けた組合員は、人的資源省もしくは労働裁判所に苦情を訴えることはできます。しかし、両機関ともその非効率性で労働組合から厳しく批判されています。
・ストライキ権の制限
ストライキ権は明記した形で承認されてはおらず、合法的なストライキを行うことは実質的に不可能となっています。
労働組合の承認や違法解雇などの問題では、労働組合がストライキを起こすことはできず、ゼネストや連帯ストライキも禁止されており、違法なストライキを指導する労働組合指導者に対しては、罰金や1年間の拘留までさまざまな罰則が規定され、参加した組合員は組合員資格を失います。さらに不可欠業務が広く定義され、ILOが規定する厳密な定義には当てはまらない教育や運輸、その他の業務に適用されています。不可欠業務における争議行為は強制仲裁の対象となります。
ストライキの宣言は、以下の流れで行われます。
- 『労働組合法』の規定により、労働組合は組合員の秘密投票による3分の2の賛成票が必要
- 投票結果は政府に確認のために送付される
- 「冷却期間」が開始され、人的資源省に争議が存在することが通告される。
- 冷却期間中に人的資源省が調停に乗り出すこともあり、調停が失敗すると労働裁判所に付託される
- 冷却期間はピケットやストライキ、ロックアウトは禁止
さらにマレーシアの刑法は、5人以上の集会は警察の事前許可を必要としています。
- 労働争議における労働組合の取り組み
まず重要なのは、雇用者(企業)側と労働者側が会って交渉し、話し合いを通じて解決することです。労働組合は、労働者側の代弁者であるとともに、労働者と雇用者の仲介役でもあります。
可能な限り雇用者との交渉の中でWin-Winのモデル(両者ともにメリットのある状態)を発展させることが求められますが、実際に企業が行なっているビジネスの性質に基づいて対応していく必要があります。話し合いやWin-Winのモデルも、その点を考慮しなければいけません。話し合いやモデルを持続的に確保していくために、中心的に必要なものは以下の点です。
- 組合側に提供されるデータは、ビジネスの業績と労働者の努力を真に反映したものであること
- それらのデータは信頼性と透明性があり、しかも容易に入手できるようなものであること
- 報酬、安定性、所得の潜在的な増額などの要素が盛り込まれていること
- 一貫した見直しや修正が行なわれるように、適切に構成、調整されたフィードバック制度を備えていること
- 労働組合が直面する問題や困難な問題を解決するにあたっては、一部の国会議員への働きかけ、ロビー活動などを行なうこと
- 労働組合の重要性について絶えずキャンペーン活動を行なうこと
- 利害関係者への覚書の提示
- 関係者間の社会的対話
- 雇用契約と就業規則
- 雇用契約書
マレーシアでは労働者を雇用する際には、書面で雇用契約書(マレーシア語または英語など、労働者と雇用者の双方が理解できる言語で記載する)を作成する必要があります。また、雇用契約書に付属する書類として、法定ではありませんが、一般的に作成される書類として職務記述書があります。
雇用契約書には職務内容、雇用期間、試用期間などを明記しなければいけません。原則として雇用契約書は期間の定めのない契約とされますが、有期雇用契約を結ぶ場合は5年未満にする必要があります。
労働者側から雇用契約に関して異議申し立てがあった場合、期間を限定して雇用契約を作成した理由を雇用者側が立証しなければなりません。立証できなかった場合、期間の定めのない雇用契約が作成されたと判断されます。
マレーシアで雇用契約書を作成する時は、以下の条項が含まれている必要があります。
・労働者の氏名
・雇用者の氏名
・雇用者の納税識別番号(NRIC)
・仕事内容、雇用者についての情報
・雇用契約の締結場所、締結日
・役職、職務内容
・雇用契約期間(有期雇用契約の場合は、有期契約とする理由)
・就業場所(支店等他の場所が就業場所となる場合は、その場所)
・給与の支払の期間、支払日、支払方法
・労働時間、休暇
・重労働や危険を伴う仕事内容の場合の手当
・特別な職務の場合の規定
・社会保障に関する事項
・雇用法に規定されているその他事項
・試用期間について
・秘密保持の義務
・任意保険の種類と条件
・労働者とその家族への任意の福利厚生
・雇用者および労働者の権利・義務の詳細
雇用契約書において上記の項目に不足がある場合、雇用契約が無効となることはありません。ただし、不足している場合には加筆修正する必要があります。
雇用契約書は雇用者、労働者が相互に署名した日から有効となります。もし書面を交わさずに雇用を開始し、労働させた場合は、できるだけ早く雇用契約書を作成する必要があり、雇用開始日はその労働させた日となります。
また、雇用者は雇用契約書の他に就業規則等の雇用に関して規定されている書類があれば、労働者に対して明示する必要があります。特に雇用契約書に従業員の義務等について詳細な記載がない場合は、職務内容について従業員へ伝える必要があります。労働者に対して雇用に関する書類をすべて開示しなければならないため、雇用者はその書類について把握し、可能であれば、その写しを労働者へ渡すことが望ましいと考えられます。
- 職務記述書
職務記述書は、マレーシア労働法に記述はありませんが、従業員の役割、義務、責任範囲のみならず、当該職務に求められる事項(能力、経験等)を含む重要な文章になっています。書式に関しての法的な定めはなく、雇用者が任意の形式で作成することが可能です。職務記述書の変更は、労働契約で定められた職務の変更が前提となるので、労働者に対して書面にて事前通知をする必要があります。
マレーシアでは、職務記述書は労務管理上重要な書類になっており、以下のケースで一般的に使用されます。
- 候補者の不採用のケースで説明する材料となる
- 試用期間の満了前、当該従業員を正社員として本採用するかどうかを決めるうえでの評価基準として使用できる
- 解雇する際の基準になる
- 採用する際の求められる人物像を具体的にイメージすることができる
職務記述書への記載内容を以下に例示します。
一般的には職務の具体的な内容を列挙するケースが多いですが、どの人が当該職務に就くとしても、読んで理解できるような明確なものにすることが理想的です。
- 職務名称
- 職務の概略・業務内容
- 組織内での位置関係
- 内部・外部との接触時のルール
- 権利・義務および権限の範囲
- 必要な能力、専門知識、心構え
- 就業規則
マレーシアでは、就業規則作成の義務はありません。しかし、従業員を2名以上雇用している場合、各自の雇用契約は開示する性質のものではない以上、雇用条件の公平さを明示するうえで、就業規則の設定は重要になります。
なお、管轄官庁への届出が求められることはありません。
就業規則は労働者の理解できる言語で作成し、採用時、雇用契約締結時に、内容を十分理解したうえで同意することが重要です。
また、特に賃金等条件にかかわる変更が行われる際には、変更後の内容を周知し、書面で確認を求めることが必要になります。
- 労働条件に関する法制度
- 最低賃金
マレーシアにおける最低賃金は、2011年制定の国家賃金諮問評議会法(National Wages Consultative Council Act 2011)に基づき定められており、最低賃金制度は「最低賃金令(Minimum Wages Order)」として法的拘束力を持ちます。従来の地域差(マレー半島とサバ・サラワクで別々の最低賃金)を廃止し、近年の国家的な生活費上昇や労働者保護の要請を受けて、全国統一の最低賃金制度が整備されました。
2025年2月1日から、最低賃金は **全国一律で月額1,700リンギットに引き上げられ、従業員数5人以上の雇用主およびマレーシア標準職業分類(MASCO)に該当する専門職を雇用する事業者に適用されました。さらに、2025年8月1日からは全ての雇用主に対してこの水準が義務付けられ、従来のような地域による差異はほぼ解消されています。
多くの会社は賃金の他に医療費や保険、交通費、年間ボーナス、退職金や従業員ファンドなどを提供しており、これらが福利厚生として認識されています。ただし、最低賃金の基準はこうした福利厚生の要素を取り除いた給与の部分のみである点に注意が必要です。
最低賃金を支払わなかった場合、事業主は労働者一人あたり最大でRM10,000の罰金が科せられます。
- 労働時間および時間外労働に対する時間外手当
労働時間に関しては、基本的には雇用契約で定められる事項ではありますが、雇用法の規定を参考にする例が多くみられます。
特に時間外労働は、雇用法の対象者である月給RM2,000以下の労働者のみが時間外手当支払いの義務対象となりますが、実際にはその規定を設けないことで、人材確保が難しくなるリスクがあることから、一般には月給RM2,000を超える労働者に対しても同様に時間外労働・休日労働の規定を設けている企業が見られます。
時間外手当は時間外労働をする日が勤務日か休日か、または祝祭日であるかによって扱いが異なります。また、時間外労働の月間最長時間なども定められており、以下のようにまとめられます。
項目 | 区分 | 限度 |
労働時間 | 一日当たり(実働) | 8時間まで |
一週間当たり(実働) | 48時間まで | |
時間外労働 | 一か月 | 104時間まで |
時間外勤務レート | 勤務日・時間外 | 最低1.5倍 |
休日・時間内・半日以下 | 1日分 | |
休日・時間内・1日まで | 2日分 | |
休日・時間外 | 最低2倍 | |
祝祭日・時間内 | 2日分 | |
祝祭日・時間外 | 最低3倍 |
労働者の希望があった場合は、超過労働に対する代替として振替休日を提供することができます。また、
労働者の希望があった場合は、休日労働に対する代替として振替休日を提供することができます。
振替休日をとった場合は、休日労働に対する賃金は支払い対象とはなりませんが、念のために書面にて合意しておくことが推奨されます。
- 年休、病気休暇等
日本の有給休暇にあたる年休(Annual Leave)についても、雇用法により基準が定められており、多くの企業では労働者の月給によらず、雇用法よりも多い日数で年休を付与しています。
また、年休とは別に、病気にかかって医師に診断を仰ぎ、その結果が休息をとるべきだというものであった場合、年間一定の日数まで有給が取得できる、病気休暇という制度が存在しています。
女性労働者が妊娠した際の保護として設けられている出産休暇と合わせて、以下のような日数が雇用法で定められています。
項目 | 区分 | 限度 |
年休 | 勤続年数2年未満 | 最低8日 |
勤続年数5年未満 | 最低12日 | |
勤続年数5年以上 | 最低16日 | |
病気休暇 | 勤続年数2年未満 | 14日まで |
勤続年数5年未満 | 18日まで | |
勤続年数5年以上 | 22日まで | |
入院が必要な場合 | 上記含め60日まで | |
出産休暇 | 出産予定日の30日前から | 連続60日(休日含む) |
上記のような内容で、会社の就業規則として日数、条件などを明記し、雇用契約締結時に確認するのが一般的です。
なお、このうち年休以外は基本的に最低日数である雇用法の日数を適用する企業が多くみられます。
- 解雇制度
解雇に関する規定は個別の雇用契約により定められるところに属します。
例えば、期間の定めのある雇用契約に関してはその期間の到来により解雇が行われ、一定の業務の遂行を条件とする雇用契約に関しては、業務の完了をもって解雇が行われます。
一方、期間の定めのない雇用契約による場合、雇用法に従えば、一定の通知期間(Notice Period)を設けて契約解除の意図を伝えればそれをもって解雇が成立することになりますが、産業関連法に従えば、正当な理由がなければ解雇は認められないということになっており、一般的には後者の規則が適用されることになります。
ただし、試用期間に関してはあくまで雇用契約書の文言に従って即日解雇などが行われるケースもあり、それ自体特に大きな問題はないと考えられます。
なお、雇用法で定める通知期間は以下の通りです。
勤続期間 | 最低通知期間 |
2年未満 | 4週間 |
5年未満 | 6週間 |
5年以上 | 8週間 |
この通知期間は長ければ長いほど通知を受ける側の身を守り、通知をする側を拘束することになる点、一概にどちらに有利になるというものではないと考えられており、したがって必ずしも上記通知期間を超えていなければいけないというものではなく、雇用契約や就業規則である程度自由に定めることができるとされています。
雇用者と労働者の間にこの通知期間についての書面での合意がない場合には、上記雇用法の期間が適用されることになります。
解雇に理由が必要であるという観点から分類すると、以下のような2種類に分けられます:
・懲戒解雇
・整理解雇
懲戒解雇は2日以上連続した無断欠勤、犯罪、業務遂行困難、反復的怠慢などが生じた際にとられる対応です。警告書の発行、調査などの手続きを経たもの以外は正当な解雇とは認められないことに注意が必要です。
また、解雇事由発生から2週間以内に、警告を発していることも必要とされています。
整理解雇は辞任過剰や会社都合の人員削減などが理由となりますが、この整理解雇がほかの手段を講じた後の最後の手段として利用されることが条件とされています。
具体的には時間外労働の制限、労働時間の削減、新規採用の中止、全社的賃金カットなどが考えられます。
その上で整理解雇を行う場合、以下の手続きを踏みます。
1. 労働者、または代表する組合との話し合いを行う
2. 妥当な金銭補償を行って自主退職の機会を与える
3. 1980年就業規定に沿った解雇手当の支払い
4. 定年以上の労働者の契約解除
5. 他社就業先への斡旋援助
6. 外国人から優先的に解雇するなど、段階的整理解雇の実施
このうち、3.の解雇手当の支払いは、1980年就業規定に定められる以下の金額を下回ってはならず、かつ解雇から7日以内に支払われるものとされています。
勤続期間 | 金額 |
2年未満 | 10日分×年数分 |
5年未満 | 15日分×年数分 |
5年以上 | 20日分×年数分 |
- マレーシアの社会保障制度
- 社会保障制度の概要
マレーシアでは、年金給付、労災給付等の社会保険制度、医療保障、感染症や生活習慣病等の疾病予防、健康の保持増進のための公衆衛生施策、高齢者、障害者、支援を要する児童や家庭等に対する社会福祉施策が展開されています。
社会保険制度については、日本のような全国民を対象とする制度設計とはなっておらず、民間労働者と公務員を対象とする制度が並存しています。医療保障については、英国の制度に由来し、マレーシア国民は公立の病院・診療所において非常に少ない負担で受診することができます。なお、公的な医療保険制度、介護保険制度は存在していません。
- 健康保険について
前述のとおり、公的な医療保険(国民健康保険)、介護保険、失業保険は存在しませんが、政府が一律医療補助を行っているため、公立の病院についてはわずかな負担で受診することができます。
- 年金保険と従業員積立基金
民間労働者を主な対象とする退職給付制度(従業員積立金Employees Provident Fund:EPF)と、公務員を対象とする年金制度(KWAP)があります。自営業者については、従業員積立金への加入が任意となっており、日本のような国民皆年金の仕組みにはなっていません。
なお、民間企業では一般的に55歳が退職年齢でしたが、平均寿命の伸び(男72歳、女77歳)、退職後の生活のための貯蓄が不十分であること、近隣諸国との退職年齢の差異等を踏まえ、2013年8月、民間企業の最少退職年齢を60歳とする法律が公布されました。一方、公務員の定年は、これに先立って、2008年に58歳、2012年に60歳に引き上げられています。
従業員積立基金(EPF)は1951年に設立され、現在では1991年に従業員積立基金法(EPF Act 1991)に基づき、財務省の監督下で退職給付制度を運営しています。すべての雇用者がEPFへの登録・拠出を義務付けられており、約50万社が登録しています。これらの雇用者の元で働いている民間労働者が主な加入者ですが、自営業者、公務員、主婦、も任意で加入が可能です。
財源は、加入者の個人貯蓄口座に対する労使双方の拠出(確定拠出型)であり、各個人の積立金と資産運用による配当(約6%)を合わせて退職時等の給付に当てられます。拠出額は定期的に見直されており、2012年1月以降は、労働者は月収の11%、雇用者は昨年より1%増えて同13%相当額を拠出することとされています(ただし、労働者の月収が5,000リンギを超える場合の雇用者負担は12%のまま)。55歳以降もEPFへの拠出を続ける場合は、労働者は月収の5.5%、雇用者は6.5%(労働者の月収が5,000リンギを超える場合の雇用者負担は6%)を拠出します。
一方、自営業者等については、任意に拠出額を決めることができ(最低50リンギ)、この5%相当額を政府が拠出します(最大年間60リンギ)。外国人労働者の場合は本人が月収の11%、雇用者が月額5リンギを拠出します。いずれの場合も、労働者本人が定められた額以上を拠出することが可能です。なお、雇用者拠出額は税控除の対象(給与総額の19%相当まで)であり、同様に労働者はEPF拠出と生命保険料を併せた最大6,000リンギまでが税控除の対象になります。
運用については、EPFの投資予算は7,311億リンギで、収益率は7.12%です。EPF理事会と併存する投資委員会が投資方針・戦略を決定します。2016年現在の資産構成は以下の通りです。
マレーシア政府関連証券(MGS):1,813億リンギ(収益率4.4%)
貸付金・公債:1,738億リンギ(収益率5.4%)
株式:3,094億リンギ(収益率10.35%)
金融市場:370億リンギ(収益率3.58%)
不動産:294億リンギ(収益率8.22%)
給付は、退職時や就労不能になった場合等に行われます。加入者の個人貯蓄口座は、拠出・配当額の70%に相当する第1口座と30%に相当する第2口座に区分されています。第1口座は退職時に備えるための口座であり、55歳到達時に貯蓄残高の全額を引き出すことができます。また、残高の一部は加入者自身による資産運用が可能です。
一方、第2口座は、住宅購入、不要児童への教育、医療等にあてることができるほか、50歳到達時にも引き出すことができます。政府は、最少退職年齢が60歳に引き上げられることに伴い、55歳から60歳までのいつでも残高を引き出せるようEPF関連法令の改正を行う方針です。ただし、55歳での引き出しが可能なままだと、退職年齢引き上げの目的(退職後のための貯蓄確保)が損なわれ、さらなる拠出額の引き上げを招くのではないかとの懸念もあります。
54歳時点での平均貯蓄額は、EPFへの拠出を継続しているアクティブな加入者と、そうでない加入者とで大きく差があり、前者は15万リンギであるのに対し、後者は2万3千リンギです。政府は、退職後亡くなるまで月700リンギ程度を生活費として使えるよう、55歳までに12万リンギを貯蓄するよう促しています。
なお、任意でEPFに加入している外国人労働者は24万人で、外国人のEPF加入者は、帰国時に貯蓄残高の全額を引き出せます。
2010年1月、それまでEPFがカバーしていなかった農業従事者、タクシー運転手等の退職後の所得保障に対する不安を解消するため、月収の不安定なこうした自営業者を対象に、月収に応じた少額の拠出を奨励しつつ、年額60リンギを上限に自営業者による拠出額の5%相当額を政府が拠出する貯蓄制度(Malaysia Retirement Saving Scheme)が導入されました。同年7月には、主婦も本制度の対象になりました。しかし、現在のところ、約190万人の自営業者及び家庭内労働者のうち、任意でEPFに加盟しているのは約5万人で全体の3%以下です。
■HRD Corp(人材開発基金)
マレーシアにおける人材開発制度の中核を担う仕組みとして、HRD Corp(旧HRDF)が運営する人材開発基金(Human Resource Development Fund)が挙げられます。本制度は、企業による従業員の能力開発を促進することを目的として設けられたものであり、一定の条件を満たす事業者に対して拠出および登録義務が課される点に特徴があります。
HRDFは、Pembangunan Sumber Manusia Berhad Act 2001(人材開発公社法)に基づき運用されています。同法は、企業に対して一定割合の資金拠出を義務付け、その資金を従業員教育・研修に活用させることで、国家全体の労働生産性向上および産業競争力の強化を図ることを目的としています。
本制度の特徴は、単なる税負担ではなく、企業が拠出した資金を自社の研修費用として還元できる点にあります。すなわち、「拠出と活用が一体となった人材投資制度」と位置付けることができます。
適用対象および登録義務
HRDFの適用対象は、原則としてマレーシア人従業員を一定数以上雇用する企業です。
具体的には、以下のとおりです。
マレーシア人従業員が10名以上の企業:登録および拠出が義務
マレーシア人従業員が5名以上9名以下の企業:任意登録が可能
4名以下の企業:原則として対象外
なお、対象業種については段階的に拡大されており、現在では製造業のみならず、サービス業を含む幅広い業種が対象となっています。そのため、多くの企業にとって実務上無関係ではいられない制度となっています。
拠出率および計算方法は以下の通りです。
企業は、対象従業員の給与に対して一定割合の拠出を行う必要があります。
従業員10名以上の企業:給与総額の1%
任意登録企業(5〜9名):給与総額の0.5%
ここでいう給与には、基本給に加えて一定の手当が含まれる場合がありますが、詳細はガイドラインに従い判断する必要があります。
資金の利用方法(クレーム制度)に関して企業が拠出した資金は、HRD Corpに積み立てられ、一定の要件を満たす研修等に対して払い戻しを行うことが可能です。
対象となる主な支出は以下のとおりです。
・外部研修機関によるトレーニング費用
・社内研修(インハウストレーニング)の実施費用
・マネジメント研修や専門スキル研修
・IT・デジタル分野の教育
・語学研修
・一定条件下での海外研修
ただし、クレームを行うためには、HRD Corpに事前に研修内容の承認(グラント申請)を取得する必要があり、事後的に自由に請求できるわけではありません。この点は実務上の重要な留意点です。
HRD Corp制度は、適切に運用すれば企業にとって有益な制度である一方、運用を誤ると単なるコスト負担となる可能性があります。
主な実務上のポイントは以下のとおりです。
第一に、登録義務の有無を適切に把握することが重要です。特に、従業員数の増加に伴い義務対象となるケースが多く、登録漏れはペナルティの対象となる可能性があります。
第二に、拠出のみを行い、研修への活用を行っていない企業が一定数存在します。この場合、実質的に給与の1%が追加コストとして発生することとなるため、制度の趣旨に反する非効率な状態となります。
第三に、クレーム手続の管理が重要です。研修内容が要件を満たさない場合や、事前承認を得ていない場合には、費用の払い戻しが認められないため、計画的な研修設計が求められます。
- 労災にかかる規定
- 労災の類型や規定、財源、給付
1969年労働者社会保障法(Employees Social Security Act 1969)に基づき、1971年に人的資源省の下に設置された社会保障機構(Social Security Organisation:SOCSO/PERKESO日本でいう労災保険)により、民間労働者を対象とする労災給付制度が運営されています(なお、SOCSOは1985年に人的資源省の内局から、政府関係機関に組織変更されました)。
すべての労働者及びその雇用者に制度加入が義務付けられていますが、公務員、自営業者、家事手伝い、外国人労働者等は対象外です。
以前は月給3,000リンギを超える労働者に関しては、雇用者と合意のうえでの任意加入でしたが、2025年現在はEPを取得している外国人労働者含むすべての労働者まで拡大されています。さらに
2017年6月、タクシードライバー等の自営業者もSOCSOへ任意で加入できるようになっています。
財源は、労使双方からの拠出であり、労働者が月給の0.5%(下記の疾病年金スキームへの拠出分)を、雇用者が同1.75%(下記の疾病保険スキームへの拠出分1.25%、疾病年金スキームの拠出分0.5%)を負担しています。
月給が4,000RM以上となる労働者の場合、一律月給4,000RMの労働者と同額の拠出をすることになっています。
2016年には32.億リンギの拠出金が集まり、基金は256億リンギに達しました。
投資予算は250億リンギ、資産構成は以下の通りです。
- マレーシア政府関連証券(MGS):40.55%
- 貸付金・債券:11.04%
- 株式:17.57%
- 金融市場:28.48%
給付は、労災保険スキーム(Employment Injury Insurance Scheme)と疾病年金スキーム(Invalidity Pension Scheme)の2種類があります。労災保険スキームは、労働者の勤務(通勤を含む)に伴う負傷、疾病、障害、死亡に対して補償を行うものであり、医療給付、障害給付、葬祭給付、遺族給付リハビリテーション給付及び教育ローン給付があります。一方、疾病年金スキームは、勤務に起因するか否かを問わず、重度の身体障害や治療困難な疾病が原因で収入が3分の1以下になった場合に補償を行うものであり、給付を受けるにあたっては55歳未満であること、SOCSOに設けられている医療評議会(Medical Board)の審査を経ること等の要件を満たす必要があります。疾病年金(一時金)、介護給付、葬祭給付、遺族給付、遺族給付リハビリテーション給付及び教育ローン給付があります。
- 非熟練外国人労働者に対する労災・医療制度
マレーシアの労働力人口(約1,470万人)の約12%を占める外国人労働者(約180万人、これに加え相当数の違法外国人労働者が居住していると言われている)のうち、特に非熟練外国人労働者に対しては、民間保険会社が提供する特別な労災保険、医療保険スキームが用意されています。
従来まではSOCSOは対象外として取り扱われていましたが、2019年1月1日以降、外国人労働者の加入が義務付けられることになりました。
1)労災(Foreign Workers Compensation Scheme)
雇用者は、外国人の労働災害をカバーする外国人労働者補償保険への加入が義務付けられています。死亡・後遺障害の場合の保険金は最大23,000~25,000リンギほどですが、医療費・入院費は最大750リンギ程度と少額です。指定された十数社の民間保険会社が同保険商品を扱っており、保険料は一人当たり年額80リンギ程度からです。
2)医療(労災を除く)(Foreign Workers Hospitalisation & Surgical Insurance Scheme)
2011年1月より、民間医療保険への加入が義務化されたプランテーション業と家事手伝いを除く。未加入の場合は労働許可が下りない)。これにより、労働災害以外の医療費(公立医療機関での診療のみ。10,000リンギまで)をカバーします。保険料は年間120リンギで、労働者側が保険料を支払います。数十社の登録民間保険会社が同商品を扱っています。
- 日本人を駐在させる際の注意点
- 外国人労働許可
- 外国人労働者の在留許可
マレーシアにおける外国人労働者の就労査証(就労ビザ)は、駐在員のための長期滞在・就労のための雇用パス(Employment Pass)と、機械設置や研修などの短期就労のためのプロフェッショナル・パス(Professional Visit Pass)、外国人労働者(ワーカー)に対するワークパーミットなどが主なものです。これら在留許可の申請先は2017年の法改正により業種によって異なっているため、注意が必要です。
業種 | 申請先 |
製造業、国際調達センター、地域流通センター、経営統括本部 | マレーシア投資開発庁(MIDA) |
マルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)ステータス取得企業 | マレーシアデジタルエコノミー公社(MDEC) |
上記以外の非製造業 | 入国管理局(ESD) |
また、外国人の就労枠取得は永久ポスト(Key Post)と期限付きポスト(Time Post)があります。後者は3~5年の期限付きポストで、入国管理局への申請により10年までの延長が可能です。
1)雇用パス(Employment Pass)
雇用パスは、通常2年以上、最大5年滞在する駐在員が取得する就労ビザです。マレーシアの雇用主(すなわち、マレーシアで法人化された子会社、マレーシアで登記された外国企業の支店、マレーシアの駐在員事務所)に雇用される管理職・専門職の外国人に発給されます。
雇用主である企業には最低払込資本金の定めがあり、以下の金額を満たしている必要があります:
資本構成 | 払込資本金 |
100%マレーシア資本 | 250,000リンギ |
マレーシア資本との合弁(外資30%以上) | 350,000リンギ |
100%外国資本 | 500,000リンギ |
外資51%以上、流通・サービス取引会社/レストラン | 1,000,000リンギ |
外資51%以上、未規定のサブセクターのサービス取引会社 | 1,000,000リンギ |
また、外国人への雇用パスの発給について労働者の最低月額と雇用期間をベースに3つのカテゴリーに分類されています。
カテゴリー | 最低月給(リンギ) | 雇用期間 | 帯同家族 | メイド雇用 | 更新 |
Ⅰ | 10,000以上 | 5年まで | 可能 | 可能 | 規定なし |
Ⅱ | 5,000~9,000 | 2年まで | 可能 | 可能 | 規定なし |
Ⅲ | 3,000~4,999 | 1年まで | 不可 | 不可 | 最大2回 |
カテゴリーⅢの雇用パスを申請する会社は、月額給与が5,000リンギを下回ることについて内務省から認可を受ける必要があります。
⚠ 【2026年6月1日施行】雇用パス最低給与要件の大幅引き上げ:内務省(MOHA)は2025年10月のキャビネット承認を受け、2026年6月1日よりすべてのカテゴリーの最低給与要件を引き上げました。カテゴリーⅠ:2万リンギット以上(旧1万リンギット以上)、カテゴリーⅡ:1万〜1万9,999リンギット(旧5,000〜9,999リンギット)、カテゴリーⅢ:5,000〜9,999リンギット(旧3,000〜4,999リンギット)。さらにカテゴリーⅠ・Ⅱは最大10年、カテゴリーⅢは最大5年の雇用期間上限が設けられ、カテゴリーⅡ・Ⅲには現地人材育成計画(サクセッションプラン)の提出が義務化されました。2026年6月1日以降の新規・更新申請はすべて新基準が適用されます。
2)レジデンス・パス(Residence Pass)
2011年4月、マレーシア政府は、国家重要経済分野(National Key Economic Areas)に外国人の優秀な人材を長期にわたり、マレーシアに誘致・確保するために、政府のイニシアティブにより長期就労を可能にするレジデンス・パスの制度を発表しました。このパスの特典として、以下の点が挙げられます:
・
マレーシアで最長10年の就労・滞在が可能
・パスを更新せず、就労先が変更可能
・配偶者及び18歳未満の同伴家族も当該パスの申請が可能であり、配偶者も雇用パスの取得なしに就労可能
・18歳以上の同伴家族、両親、義理の両親にも5年の滞在ビザ(Social Visit Pass)の申請が可能
この滞在許可の所得要件は、以下のようにまとめられます:
・マレーシアの経済に貢献していること
・大学で準学士以上の資格、または専門機関による資格を有していこと
・マレーシアで3年以上継続して勤務し、申請時に有効な雇用パスを有していること
・就業経験が5年以上あること
・課税所得となる給与が月額15,000RM以上であること
・マレーシアの所得税ファイル番号を有し、2年以上所得税を払っていること
3)プロフェッショナル・パス(Professional Visit Pass)
プロフェッショナル・パスは、マレーシア国外の会社に籍をおいたまま、マレーシア国内で短期就労を行う外国人に発給されます。たとえば、機械の据付や研修の実施等を行う場合です。申請を行う会社は、申請理由などを記載したカバーレターおよびマレーシア国内の保証人の保証書を添えて、パス申請者がマレーシアで行われる活動の予定表を提出します。プロフェッショナル・パスは通常数カ月程度の短期間の認可ですが、最長1年まで認められます。場合によっては、1年経過後の延長申請も可能です。
4)ディペンデントパス(Dependent Pass)
駐在員の雇用パスが取得できると、その家族(雇用パスを取得している駐在員の配偶者・子供に限られます)の滞在許可がディペンデントパスとして発給さます。このパスの有効期間は、駐在員の雇用パスの有効期間と一致します。
学童に関しては、ディペンデントパスに加え、学習認可(Study Approval)を取得して初めて就学することができます。
駐在員の配偶者が就労する場合、従来、駐在員とは別に雇用パスを取得する必要がありましたが、2009年1月より、ディペンデントパスを保持したまま、就労許可を取得することが可能となりました。
5)マレーシア人の外国人配偶者の就労許可
マレーシア人の配偶者である外国人は、配偶者として申請を行えば、1年の長期滞在ビザを取得することができます。延長すればさらに4年の長期滞在が可能となり、ビザの切り替え等を行う必要なく、就労が許可されます。
また、マレーシア人の配偶者が5年以上結婚生活を続けられた場合、永住権保持者(Permanent Resident)となるための申請が可能となります。
永住権取得後は、EPFへの拠出義務など、ほぼマレーシア人と同様の条件で就労することになります。
6)半熟練/非熟練労働者の就労許可
マレーシア政府は、「マレーシア人の雇用第一(Malaysians First)」という政策を掲げ、マレーシア人の雇用確保を方針としています。
約178万人(2017年現在)の外国人労働者を適切に管理・削減するため、2011年から2014年まで、不法就労の外国人労働者を合法化する包括的なプログラムが実施されました。これは「6P」と呼ばれる、(1)登録、(2)合法化、(3)恩赦(帰国)、(4)モニタリング、(5)取締り、(6)国外退去という内容で、約35万人が帰国したといわれています。
不法就労者の登録、合法化、生体認証登録などを行うことによって、その人数及び外国人労働者を必要とするセクターを把握し、外国人労働者及びその雇用主に法令遵守を促し、適切な管理・モニターを可能にしました。外国人労働者の削減のため、不法就労者の監督・取締りが行われています。
8) MM2H
MM2Hビザは、長期滞在を目的とした外国人向けのマレーシア政府公式プログラムです。ワークパーミットのように特定の職業に限定される就業ビザとは異なり、リタイアメント、セミリタイア、投資家、起業家など幅広い目的でマレーシアに滞在することができます。
MM2Hは主に、以下の方を対象としています。
・長期滞在を希望する外国人
・定年後にマレーシアで生活したいリタイア層
・マレーシアで不動産購入や投資を希望する方
国籍制限はなく、世界各国からの応募が可能です。ただし、申請にあたっては財務状況や健康状態の審査が行われます。
MM2Hの滞在期間は最大で10年間であり、更新も可能です。初回のビザは通常1年から5年ごとの更新方式で発給されるため、長期にわたる滞在計画に柔軟に対応できます。
また、MM2Hでは家族の帯同も認められており、配偶者や21歳未満の子どもを同行させることができます。条件次第では、高齢の親を同居させることも可能です。
ただし、原則としてマレーシア国内での就労は認められておらず、ビザ取得者が働く場合は政府の承認を受けた上で、限定的な就労許可が付与されるケースに限られます。
さらに、申請にあたっては財務面での要件も重要です。銀行預金や収入証明、資産証明などを提出し、金融的に自立していることを証明する必要があります。これにより、MM2Hはマレーシアでの安定した生活基盤を持つことを前提とした制度であることが理解できます。
MM2Hの申請には、以下の条件が課されます。
健康診断:指定病院での健康診断が必要
経済力:一定額以上の預金や年金、収入証明
犯罪歴証明:過去の犯罪歴がないこと
投資・不動産条件(任意):
不動産購入の場合、地域・価格帯の条件を満たす必要あり
政府は自国民の雇用・安全保障を考慮し、審査を厳格化しています。書類不備や財務証明の不十分な申請は却下されるケースが多く、注意が必要です。
7)ワークパーミット(Work Permit)
ワークパーミットは、製造業・建設業・サービス業(家事使用人、レストラン労働者、清掃人、洗濯人、荷役労働者、福祉施設労働者、リゾートやゴルフ場労働者)・農業など、限られた業種について、外国人労働者を雇用するための就業ビザです。
主に、インドネシア、ネパール、バングラデシュ、ミャンマー、インドなどの国から渡航してくる労働者に発行されます。
マレーシア政府は自国民の雇用確保のために外国人労働者の数を減らす方針で、発給のための審査を厳格に行なうようになってきているほか、「電気電子産業ではマレーシア人2名に対し外国人1名」「インド人は農業、サービス業(料理)、建設業(高圧線修理)のみ」などの規制を細かく設け、発給基準を厳しくしています。また、外国人労働者に課せられる年次雇用税についても、近く増税が行なわれる見込みです。
- 雇用パス(Employment Pass)の取得
外国人労働者の雇用パス(Employment Pass)取得手続きは、2014年4月よりオンライン申請が導入されたことにより、新規取得・期間延長に関わらずオンライン手続きが必須となります。
申請の流れとしては、入国管理局の外国人サービス部門(Expatriate Service Division:ESD)に会社を登録し、登録完了後、申請者の雇用パス申請を、同様にオンライン申請となります。
詳細については、下記ESDからガイドラインが出されているためご参照ください。
https://esd.imi.gov.my/portal/pdf/TC-ESD-Quick-Guide-V3-September-2017.pdf
また、会社登録申請の際には、プロジェクション(雇用パス申請予定枠数)の申請も行います。
プロジェクション申請人数については、雇用パスの申請を予定する申請者の詳細(氏名、パスポート番号、役職名、給与額、職務内容)を記載したレターを提出することとなっており、予め多めの申請をしておくことはできません。
上記のような会社登録及び雇用パス発給の申請手続きは原則として雇用主が行ない、実際は企業と契約しているコンサルティング会社が行なうのが一般的です。発給まで通常約1ケ月の期間がかかり、申請には保証人も必要となります。
MIDAより就労枠の認可を得ている場合は、入国管理局窓口に申請を行います。それ以外の企業については、Multimedia Development Corporation(MDeC)のeXpats Service Centreにオンラインにて行います。
2025年現在、駐在員・知的労働者の取得要件として年齢制限はありませんが、申請受理にふさわしい資格や経験が求められています。履歴書への記載が求められる要件としては以下の通りです。
1) 大卒以上で、かつ3年以上のrelevant fieldを経験していること
2) Diploma(短大卒業資格)保持者で、5年以上のrelevant fieldを経験していること
3) 職業訓練校などの技術系証書などの取得者なら、7年以上のrelevant fieldを経験していること
- マレーシア人の雇用義務
あらゆる職種においてマレーシア人が訓練を受け、雇用されること、および従業員構成がマレーシア社会の民族構成比を反映することがマレーシア政府の意向です。
1955年マレーシア雇用法では、雇用主が外国人労働者を雇用することを目的として、マレーシア人従業員の雇用契約を解除することが禁止されています。雇用法はまた、会社の従業員が削減される場合、雇用主は、マレーシア人従業員を解雇する前に、同程度の能力の外国人労働者を解雇するよう要請しています。
雇用法は、公務員および国家機関に雇用される者を例外として、西マレーシアの雇用に関するすべての事項を規定しました。雇用主と雇用契約を結んだ、または雇用契約に基づき就労する者で、1カ月の賃金が2,000リンギを超えない者を対象としています。
雇用法はまた、1カ月の賃金が2,000リンギを超える超えないに関わらず、肉体労働、および機械のオペレーション(ドライバーを含む)に従事するすべての従業員を保護の対象としています。
その他のすべての労働者は、雇用契約書および雇用法で規定されます。雇用法は従業員と雇用主に基本的な義務を課していますが、従業員の雇用条件は基本的に従業員と雇用主の同意に委ねられるとしています。
2010年パートタイム労働者就労規則(the Work Regulations Part-Time Workers 2010)が新たな条項として加えられ、雇用法の改正が行われました。これは主婦、障害者、学生等の潜在的労働人口を含むマレーシア人労働者が対象となっており、2010年10月1日より、マレーシアの労働者は、正規雇用以外にパートタイムでの就労が認められています。さらに、パートタイム労働者も従業員積立基金(EPF)、被雇用者社会保障機構(SOCSO)への拠出、医療保険の諸手当が受けられるようになりました。より働きやすい環境を整備することにより、マレーシア人の労働人口の増大、雇用促進、外国人労働者への依存軽減、国民の所得向上を図るものとしています。
- 駐在員の社会保険
- 社会保険
日本の雇用保険に該当するものは存在しません。
一方、マレーシア社会保険機構(Social Security Organization: SOCSO)は、原則すべての労働者を加入させる義務を雇用者に課しています。
従前は外国人労働者のSOCSO加入は免除されていましたが、2019年1月1日より全労働者の登録が必要になりました。
日本の年金に相当する従業員積立基金(EPF:Employees Provident Fund)は、政府が国民に課した強制預金です2025年10月以降外国人労働者も強制加入となりました。外国人労働者とローカル社員の場合の拠出金の負担割合は以下の通りです。
外国人労働者の場合
会社:2% 個人:2%
ローカル社員の場合
会社:13%(月額5,000RM以上の場合は12%)個人:11%
[社会保険の被保険者資格の継続・喪失]
日本から海外に出向する際、日本国内の企業との雇用関係が継続する(在籍出向)、あるいは継続しない(転籍出向)により、社会保険の取扱いが異なります。在籍出向であり、出向元から給与の一部または全部が支払われている場合には、海外に赴任している間でも、健康保険・厚生年金保険・雇用保険等の被保険者資格は継続します。
一方、日本の出向元との雇用関係を終了させ、海外現地法人等との雇用関係を結ぶ転籍出向の場合には、出向元との雇用関係が継続しないため、健康保険・厚生年金保険・雇用保険等の被保険者資格は喪失します。
- 国民年金の任意加入
転籍出向する場合には、厚生年金保険の被保険者資格を継続することができません。1年以内の赴任予定であれば日本国内の居住者となりますので、国民年金へ加入することになります。
しかし、1年以上の赴任予定の場合には日本の非居住者となりますので、原則として国民年金に加入する必要はありません。日本の年金制度に加入を希望する方は、国民年金の任意加入手続をすることができます(国民年金法附則5条任意加入被保険者3項)。国民年金の任意加入要件は以下の通りです。
・日本国籍を有する20歳以上65歳未満であること
・日本国内で保険料の納付が可能なこと(親族等による代行納付でも可)
- 海外で日本の健康保険制度を利用する際の注意点
海外赴任中に海外で医療行為を受けた際、日本の健康保険の被保険者資格が継続している場合であれば、加入する健康保険組合等に「療養費」の申請をすることが可能です。ただし、申請に当たっては、以下の点に注意をする必要があります。
・「療養費」での申請となるため、海外での医療費を一度全額本人が立替え、日本の健康保険組合等に申請すること
・海外で受けた医療行為について、日本国内で保険診療を受けた場合の保険診療点数に換算して算出した金額から、自己負担額を差引いた額が支給される
なお、健康保険の海外療養費申請には以下の書類が必要であり、提出書類が日本語以外の言語で記載されている場合には、翻訳者の氏名及び住所を明記の上、日本語翻訳文を添付しなければなりません。
・療養費支給申請書
・療養内容証明書
・領収明細書
・領収書(原本)
[日本国内の健康保険制度の継続]
日本国内の企業との雇用関係が継続しない場合には、健康保険の被保険者資格は喪失となります。しかし、健康保険の任意継続被保険者制度を利用する、もしくは国民健康保険に加入することで、日本国内の健康保険制度に加入することができます(健康保険法第37条任意継続被保険者)。
なお、健康保険の任意継続被保険者制度は資格喪失後20日以内、国民健康保険の加入は資格喪失後14日以内に行う必要がありますので、早急な対応が求められます。
[健康保険任意継続被保険者の保険料]
健康保険任意継続被保険者の保険料は、下記いずれか低い金額に保険料率を乗じた金額となります。
・退職時の標準報酬月額
・加入していた保険者ごとに定められる標準報酬月額の平均額
※在職中と異なり、事業所が負担していた保険料についても自己負担となる。
[国民健康保険の保険料]
国民健康保険の保険料は、被保険者の所得等に応じ、市区町村の規定により算出される金額となります。
[労災保険の特別加入制度]
労災保険は、日本国内にある事業所で働く労働者が給付対象となるため、海外事業に出向する労働者は対象外になります。
そこで、海外に出向する労働者についても、海外派遣者特別加入制度を利用することで、労災保険の保険給付を受けることが可能となります(労働者災害補償保険法33条特別加入)。
特別加入者の保険料は、保険料算定基礎額に保険料率を乗じた金額で、年間で最低3,831円、最高27,375円です。なお、特別加入対象者は、以下の通りです。
・日本国内で行われる事業(有期事業を除く)から派遣され、海外で行われる事業に従事する労働者
・日本国内で行われる事業(有期事業を除く)から派遣され、海外にある一定数以下の労働者を常時使用する中小企業に従事する事業主及びその他労働者以外の者
・国際協力機構等開発途上地域に対する技術協力の実施に事業(有期事業を除く)を行う団体から派遣され、開発途上国地域で行われている事業に従事する者
※中小企業の規模
金融業・保険業・不動産業・小売業…50名以下
卸売・サービス業…100名以下
上記以外の業種…300名以下
- 海外旅行傷害保険
[駐在員赴任時の取扱]
海外赴任をする際には、公的な保険の加入状況の他に海外旅行傷害保険への加入を検討する必要があります。海外旅行傷害保険は、保険会社が契約を結んでいる病院で治療をする場合には、現金不要で治療を受けることができます。また、公的な保険とは異なり、契約した保険金額を限度として、実際にかかった医療費の実費が支払われます。海外旅行傷害保険の新規加入時には、出国後の手続をすることが出来ませんので、必ず出国までに加入手続を済ませる点に留意が必要です。
[駐在員帰任時の取扱]
駐在員が帰任することになった場合には、その年の年末調整の対象となります。対象となる給与は、居住者となった日(帰任した日)以後に支払われた給与です。また、給与以外の所得が一定の金額以上の場合などには、年末調整のほか、その年の確定申告を行う必要があります。
- 海外勤務者の税金と社会保険
1.海外勤務者の税金
海外勤務者の給与課税については、海外での勤務期間が1年以上となるか、1年未満
となるかがポイントとなります。海外での勤務が1年未満の場合には、日本の税法で規定
する「居住者」となり、日本国内での課税は今までと変わりません。
1年以上の予定で海外で勤務する人は、出国の翌日より日本の税法で規定する「非居
住者」となります。当初1年以上の予定で海外勤務者として出国しましたが、やむを得ず1年以内に帰国した場合にも、海外勤務中は「非居住者」として扱われます。1年未満の予定で海外勤務をしていましたが、途中で1年以上の滞在が必要となった場合には、延長が決まった日から「非居住者」となります。「非居住者」の給与課税については、次のような取り扱いになります。
1)所得税について
「非居住者」に該当し、海外で勤務している者に日本国内で支給される給与には、日本の所得税は原則課されません。日本で給与をもらっても海外勤務に対する給与となり、海外の勤務地で課税されます。
ただし、出国後最初に支給される給与については課税される場合があります。この場
合、対象となる勤務期間のすべてが国内勤務である場合を除いて日本では非課税とされるのですが、全てが国内勤務であった場合には、20.42%の源泉徴収が必要となります。
たとえば、給与が20日締めで末日支給の会社で、4月15日に出国した場合、4月度給与の支給日(4月30日)には出国していますので「非居住者」となりますが、勤務期間のすべてではなく一部だけ(3月21日~4月15日)が国内勤務ですので、4月度の給与は課税されません。一方4月25日に出国した場合には4月度給与の支給日には同様に「非居住者」となりますが、勤務期間のすべて(3月21日~4月20日)が国内勤務ですので4月度給与で20.42%の源泉所得税が徴収されることになります。(たとえば、4月度給与が50万円の人が4月15日に出国すれば4月給与の所得税は0ですが、4月25日に出国すれば所得税は10万2,100円となります)。
出国後に支給される賞与については、給与とは異なり、賞与の支給対象となる期間のうち国内勤務の分については20.42%の源泉徴収を行い、海外勤務の分については非課税となります。
なお、出国をした年は、出国のときまでにもらっていた給与について、出国時点で年末
調整を行う必要があります。社会保険料や生命保険料についても、出国のときまでに支
払った分が控除の対象となります。
2)住民税について
住民税は、所得税とは異なり、前年の所得に対する税金の後払いの制度となってお
り、前年1年間の所得に対する住民税が今年の6月から来年5月までの給与から徴収され
ます。
1月1日現在で日本に住所があれば、出国後であっても、前年の所得に対する住民税
を翌年5月までは支払うことになります。出国の年の所得に対する住民税は翌年の1月1
日には日本に住所がありませんので、発生しなくなります。
年末年始に出国するような場合には、年末に出国するか年始に出国するかで、住民税
の負担が大きく異なることになります。
たとえば、2024年12月31日に出国した場合、2025年1月1日には日本に住所がないので2024年の所得に対する住民税は発生しません。2025年1月1日に出国した場合には、2025年1月1日に日本に住所があるので2024年の所得に対する住民税が発生します。
2.海外勤務者の社会保険
基本的な考え方は次のようになります。日本の会社に籍をおかず、海外の会社に籍を移す場合は、日本の会社との雇用関係がなくなるため、日本での健康保険・厚生年金保険、雇用保険の被保険者資格は喪失します。
日本の会社に在籍のまま、海外の会社で勤務する場合は日本の会社との雇用関係は
継続しているので、日本での健康保険・厚生年金保険、雇用保険の被保険者資格は継
続します。健康保険と厚生年金保険とは抱き合わせになっているため、一方のみ加入す
ることは不可能です。
1)健康保険の海外勤務者への適用
健康保険は、昭和55年から外国の病院において療養を受けたときも療養費が支給さ
れるようになっています。ただし、国内とは異なり、療養の給付として現物給付は行われ
ないため、治療費を支払った後、療養を受けた病院で「診療内容証明書」と「領収明細
書」をもらい、これに日本語の翻訳文を付けて日本国内で保険者(社会保険事務所等)
に請求することになります。払い戻される金額は、日本国内で保険診療を受けたとして計
算した金額から自己負担分を差し引いた額が上限となりますので、海外で支払った費用
の7割が払い戻されるとは限りません。
2)厚生年金保険の海外勤務者への適用
海外勤務者は、原則として海外でもその国の社会保障制度に加入することになります
が、引き続き日本の厚生年金保険の被保険者となるため二重に年金の被保険者となり
ます。マレーシアの場合は、現地での加入義務が無い為、保険料が重複する問題はありません。日本との社会保障協定が結ばれている国においては、赴任期間が5年以
内の場合には、その国の社会保障制度への加入が免除されます。
3)健康保険・厚生年金保険の保険料
健康保険・厚生年金保険の保険料の算定については、原則としては日本側で支払う給与を元に算定されます。海外赴任者の日本側での給与は赴任後に低くなるケースが多いため、それに従って保険料額が減ることになります。厚生年金保険の給付額は納めた保険料に応じて算定されるので、将来の年金額が結果として減ることになります。
4)介護保険の海外勤務者への適用
介護保険については、原則として40歳以上の人が被保険者となりますが、海外勤務を
する際に「介護保険適用除外該当届」を保険者(社会保険事務所等)に提出し、住民票
を除票すれば、介護保険料を支払う必要はありません。海外勤務中に40歳を迎えた場
合は、40歳になった誕生月に「介護保険適用除外該当届」を提出します。
5)雇用保険の保険料
雇用保険の保険料については、外地給与は賃金とされますが、当該外地給与がその者が日本国内において勤務する場合に通常支払われるべき給与の額(昇給が定期的に行われる者については、その昇給分を含めて差し支えない。)を超えて支払われる場合は、その超過額に相当する額については、通常実費弁償的な性質を有するものと考えられるので、賃金とは認められないとされております。なお、日本在住の本人の扶養家族に支払われる内地給与も賃金であり、この内地給与と外地給与が併せて支払われる場合には、その合計額について雇用保険料が課されます。
6)労災保険の海外勤務者への適用
労災保険は本来、日本国内にある事業場に適用され、そこに就労する労働者が給付
の対象となる制度ですので、海外の事業場で就労する人は対象となりません。国内の事
業場で就労していた人が転勤命令等で海外の事業場へ派遣された場合についても海外
の事業場で就労する限り同様です。ただし、このような場合についても労災保険の給付
が受けられる制度として、「海外派遣者特別加入制度」があります。派遣元の会社は、所
轄の労働基準監督署に「特別加入申請書」を提出します。
「海外出張」である場合には、当該海外出張者に関して何ら特別の手続きを要すること
なく、その人が所属する事業場の労災保険により給付を受けられますが、「海外派遣」で
ある場合には、当該海外派遣者に関して特別加入の手続きを行っていなければ、労災
保険による給付が受けられないこととなります。
なお、「海外派遣者」という表現ですが、一般的に「海外赴任者」を想定した制度となります。
- 海外在住者と日本の医療保険、年金
1)健康保険、厚生年金
海外でかかった医療費は、一旦全額負担した(支払った)後、加入している健康保険組合等に請求手続をすると、健康保険組合等が負担する分の医療費が戻ってきます。
請求手続には、療養に要した費用の額がわかる書類(診療報酬明細書や領収明細書等いずれも日本語翻訳文を添付)が必要です。
戻ってくる金額は、本国内で同じ保険診療を受けた場合が目安となります。
2)社会保障協定について
海外において就労する人は、原則としてその国の年金制度等に加入することになりますが、日本との社会保障協定が締結されている国(ドイツ、英国、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス)においては、日本からの派遣による一時的な就労(原則5年)の場合、日本の年金制度のみに加入することになり、その国の年金制度等への加入が免除されます。
また、保険期間の通算に関する規定を持つ協定が締結されている国の場合には、年金を受けるために必要とされる年金加入期間は日本と相手国との年金加入期間を相互に通算したものとなります。
- 駐在員の給与設計と計算事例
- 日本-マレーシア間の給与格差問題
マレーシア駐在員に対して給与を支払う場合、日本とマレーシアで給与計算方法、適用税率に差があることから、当該支給にあたっても一律日本と同様ではなく、給与額の設定、支給形態を事前に十分検討する必要があります。
特に、日本側で支給する給与がある場合、本来は現地法人がこれを負担し、関係会社間取引として、日本法人などが立て替えて支払いをする場合であっても費用計上する必要があると考えられますが、給与格差の問題を加味して、日本法人の費用とすることができる可能性があります。
居住者(Resident:183日以上マレーシアに滞在する者)の個人所得税に関しては、マレーシアも日本と同様、累進課税制度を採っており、税率は1%~30%です。日本は所得金額に応じて5%から45%という税率が適用されるため、場合によってはマレーシアの方が税率は低く抑えられます。
一方、非居住外国人の給与に対する税率は一律30%となっており、さらにマレーシアでの就労による滞在が60日以内である場合には、免税とされます。
なお、マレーシアはマレーシア源泉の所得にのみ課税する制度を採用しており、日本での不動産収入などは課税されません。
個人所得税は源泉徴収されますが、出来ない場合は年次の確定申告の際に申告し、納税します。なお、申告および納税の期限は原則4月30日(電子申告の場合は5月15日)です。
- 日本-マレーシア税率比較
日本側では、給与所得控除(55万円)と基礎控除(48万円)がありますので、収入ベースで103万円以内であれば所得税はかかりません。
マレーシアにおいては、基礎控除が9,000リンギット、配偶者控除が4,000リンギット受けられます。その他、扶養控除、教育控除、医療費控除、保険に関する控除等があります。
駐在員がマレーシアで給与を受け取った場合には、日本にいた場合より手取り額が減る場合があります。そのため、海外赴任者を出す場合には、事前に手取り額の試算を行い、他の手当と共に給与額の検討をし、赴任者の方に手取り額がいくらになるのか明確に伝える必要があります。
- 購買力補償方式で決まる海外基本給
その処遇のなかでも関心が高いのは、海外赴任者の給与です。海外赴任でも日本国内と同様に基本給(海外基本給)を設定し、それに諸手当(海外赴任手当など)を加算するというのが一般的です。
このうち、海外基本給部分の設定方式は大きく3つに分類できます。
1)購買力補償方式:外部コンサルタントなどが調べた赴任地の生計費指数などを基準にして決める。
2)別建て方式:国内月例給与とは切り離して、独自基準で支給する。
3)併用方式:日本国内の月例給与を現地貨幣に換算した支給分と、国別や郡市の在勤基本手当などを合算して支給する。
購買力補償方式は「国内と同等の購買力を駐在地でも補償する」というのが基本コンセプトです。つまり、海外にいても日本にいるのとほぼ同じような生活水準を維持できるだけの基本給を支払うということで、最も幅広く適用されています。
外部コンサルタントから提供されるデータを用いることで、任地ごとの物価水準やインフレ率を考慮した、客観的な海外給与体系が構築でき、海外要員へ適切な給与を支払うことができます。
参考文献
- International Labor Organization
- マレーシア雇用法(Employment Act 1955)
- 国際安全衛生センター「マレーシア連邦における労働安全基本法」
- JETRO「特集マレーシアの労働・社会保障事情および新労働法典について」
- JETRO「マレーシアにおける外国人出入国管理および労働関連法規の留意点」
- JETRO「欧州・マレーシア雇用制度一覧」
- Federal State Statistics Service
- Ernst & Young「マレーシア税率一覧」
- EPF「www.kwsp.gov.my/portal/en/about-epf/overview-of-the-epf」
- The sauce of Malaysia’s official status
「https://www.dosm.gov.my/v1/index.php?r=column/cthemeByCat&cat=117&bul_id=MDMxdHZjWTk1SjFzTzNkRXYzcVZjdz09&menu_id=L0pheU43NWJwRWVSZklWdzQ4TlhUUT09」
