設立
ミャンマー進出ガイド(完全版)
改訂日:2026年6月 / 送付先:ミャンマー現地駐在員・現地法人責任者の皆様
Ⅰ.進出時の特殊な留意事項一覧
ミャンマーは、第二次世界大戦後に独立するまで、日本を含む帝国主義国家、特にイギリスを宗主国とする植民地であった歴史があります。独立後は社会主義体制に移行し、クーデターによる軍政が敷かれるなど、変遷が相次ぎましたが、国の法体系自体はイギリスがインドで作成して転用したコモンローの体系を基礎としています。
従って、すべてを文言とするのではなく、条文の解釈や詳細については前例を範として適用する性格を有しており、法律上の判断がそのように運用されることはよくあります。
民政時代に多くの法律が制定され、近代化がすすめられたため、会社法や税法はシンプルかつ明示的に整理されています。
従って、政治的に突然行われる制度上の変更を除いては、法律自体は先進国のものと大きく変わりませんが、運営主体である政府機関の役人に教育が行き届いていなかったり、詳細の定まっていない状態の規則に関して、属人的な判断のもとで一貫性のない対応が取られたりする点、賄賂の温床となっています。
この点、手続きが不当に長引かされる可能性があると共に、公の手続きに当然のように「プレゼント」として金品が要求される側面があり、証憑の出てこない取引にも覚悟が必要です。
外資規制と外貨規制、輸入
ミャンマーは近代史において、第二次世界大戦以降、社会主義の路線で鎖国状態に入り、欧米各国の経済制裁も手伝って、経済的には大きく出遅れています。
その後、民政化により外国直接投資を呼び込む政策に舵を切りましたが、国の政策は飽くまでも国内の経済、権益、文化の保持に力点が置かれ、現在でも他国と比べて非常に多い外資規制が設けられています。
具体的には、国の天然資源を扱う事業、国防にかかわる事業、教育や文化の伝播にかかわる事業、薬物や農業など国内伝統産業を脅かす事業等は、一律外資には禁じられています。
また、卸も小売も、多額の投資により大規模に店舗を構えて営業する以外の方法では、外資には参入が禁じられており、国内事業者を保護する方向に規制がかかっています。
一方、国内は全般的にインフラが脆弱で産業構造が一次産業に偏っているため、輸出による収入は輸入による支出を常に下回り、深刻な外貨不足に陥っています。
【2026年6月更新】外貨規制の経緯と現状
2021年の政変にて実権を掌握した軍部は、2022年4月3日付の中央銀行(CBM)通達No.12/2022等により外貨規制を発動し、国内取引は原則すべてMMKで行うこと、国外からの外貨収入を一定期間内にMMKへ換金すること、国外送金の際は外国為替監督委員会(FESC)の認可を得ることを義務付けました。当初、輸出代金の強制兌換率は65%(2022年8月、CBM通達No.36/2022)とされ、固定参照レート(1USD=2,100MMK)と市場レート(当時1USD=3,500MMK前後)との乖離が事業者を強く圧迫しました。
その後、規制は段階的に緩和されてきています。主な経緯は以下のとおりです(いずれも変更が頻繁なため、取引前にAD銀行・FESCの最新ガイドラインを必ず確認してください)。
- 強制兌換率の引き下げ:65%(2022年8月)→ 50%(2023年7月13日、CBM通達No.15/2023)→ 35%(2023年12月6日、CBM通達No.26/2023)と低下。さらに2024年8月(CBM通達No.37/2024)、2026年1月7日(CBM通達No.2/2026)にも見直しが行われ、緩和方向が継続しています。
- 外国法人の兌換義務免除:FESC会合(第78/2022号)の決議に基づき、CBM書簡(2022年12月30日)により、外国法人は強制兌換の対象から除外されました。
- 市場レートの容認:2023年12月5日のCBM書簡により、AD銀行を通じたオンライン取引のレートをCBMが固定する運用を取りやめ、市場実勢に近いレートでの取引が認められるようになりました。
- FESCの再編:2025年8月6日、国家防衛治安評議会(NDSC)命令No.20/2025により、FESCが再編され、首相が委員長に就任しました(委員にはMIFER大臣、CBM総裁、財政・歳入大臣等が含まれます)。FESCの役割(外貨使用・送金・兌換免除の審査・承認)は従前と同様です。
- 課税基準レート:2025年1月25日以降、輸出入課税はCBM参照レート(1USD=2,100MMK)を基準に再導入されました(MOPF通達No.8/2025、税関通達No.001/2025)。
なお、CBMは2025年6月30日、2016〜2020年の輸出代金を回収・送金しなかったとして197社とその取締役をブラックリスト化し、輸出入証明書を停止する等の行政措置を取っており、外貨管理に対する当局の姿勢は依然として厳格である点に注意が必要です。
【2026年6月更新】輸入ライセンスの現状
過去にもしばしば認可のタイミングの不安定さが問題視されていた輸入ライセンスについては、依然として一部品目で認可が下りない・大幅に遅延する状況が続いています。米国農務省(USDA)の報告等によれば、輸入ライセンスの取得に2〜5か月を要し、港湾でコンテナが滞留する事例も報告されています。
一方、輸出側では2024年12月17日、商業省(MOC)がミャンマー会社法に基づき設立された外国法人に対し、国内産の8カテゴリーの産品の輸出を認める方針を発表するなど、運用は流動的です。最新の輸入・輸出許認可状況(対象品目・所要期間)は必ず現地で確認してください。
輸入した半製品を加工して再輸出するスキーム、CMP(委託加工)のビジネスであれば、加工賃を収受するモデルであるため継続は可能ですが、輸入型のビジネスは引き続き事業継続のハードルが高い状況です。
インセンティブとボトルネック
外資誘致のためのインセンティブとして、ミャンマーは投資委員会(MIC)が認可証明書(MIC Permit/Endorsement)を発行して免税/減税を実現しています。
また、経済特区には各政府機関の事務所を集約したワン・ストップ・サービス・センター(OSSC)が作られ、事務手続きを簡素化しています。
こうした投資委員会の認可や経済特区への入居にはいずれも多額の投資や大量の従業員の採用が要件となりますが、得られる特権が免税/減税に限らず、敷地の確保や外貨取り扱いにおける優遇もあり、大きなアドバンテージとなります。
ボトルネックは、こうした巨額の投資が常に、撤退時の難しさを意味する点にあります。
また、財閥など大手ミャンマー資本との提携は、時に予想もしない軍部とのつながりが指摘され、レピュテーションリスクにさらされることもあります。撤退時にはやはり契約の解除などで交渉が長引き、不要な賃料を負担させられる等、多くの困難が伴います。
当然の帰結ではありますが、深く入り込めば入り込むだけ、出るのが難しくなる国だと言えるでしょう。
また、政治的な影響も経済に直結するため、注意が必要です。2011年の民政移管から、国外からの投資先としての注目度が高まり始め、2016年のNLD政権移行により、さらに外国投資が加速してきました。しかしながら、2021年2月の政変以降、各国との協力関係が悪化して一部制裁なども課され、治安も悪化して、外国投資は減り、また撤退する企業も相次ぎました。外貨の移動には制限がかかり、配当金の国外送金は勿論の他、輸入代金の支払いすら影響を受けてきています。
Ⅱ.各進出形態まとめ
会社法上、以下の種類の会社形態の登記が規定されています。
会社形態 | 会社法 条文番号 | 特徴 |
|---|---|---|
非公開株式会社 (Private Company Limited by Shares) | 第2条(a)(i) | 株主は有限責任(株主は50名以下)。現地法人の場合に一般的に用いられる |
公開株式会社 (Public Company Limited by Shares) | 第2条(a)(ii) | 株主は有限責任(株主数は制限なし) |
有限責任保証会社 (Company Limited by Guarantee) | 第2条(b) | 社員数は任意で、株式資本を有する必要がなく、社員は保証金を限度とする有限責任 |
無限責任会社 (Unlimited Company) | 第2条(c) | 社員数は任意で、社員は無限責任を負う |
事業団体 (Business Association) | 第3条(a) | 非営利目的の事業に限る。事業から発生する全ての責任に対して個人責任を負う |
海外法人 (Overseas Corporation) | 第3条(b) | 海外支店、駐在員事務所の場合に用いられる |
会社法その他の法により会社として登記する権利を持つ法人 | 第3条(c) | 特別会社法(Special Companies Act 1950)によって設立された会社など |
連邦大臣が随時定める団体 | 第3条(d) | 特記事項なし |
上記の通り、会社法上、各種会社登記形態が規定されていますが、一般的に用いられるものは、現地法人の場合には非公開株式会社、支店や駐在員事務所の場合は海外法人となります。以下、この2つを中心に説明します。
会社の設立(登記)の種類の他に、投資法や経済特区法による投資許可・承認を取得するかどうかを検討する必要があります。大枠は以下の通りです。
会社法 | 投資法による承認の要否(判断項目/基準) | 経済特区法による投資許可(事業タイプ/基準) | |
|---|---|---|---|
現地法人 | 非公開株式会社が一般的 | 税務インセンティブ(資本金30万ドルが要件)・土地の長期リースを享受したい場合に承認取得が必要 | フリーゾーン企業=輸出型事業/プロモーションゾーン企業=輸出型以外の事業(いずれも経済特区での事業) |
支店 | 海外法人として登記 | 原則不可 | 原則不可 |
駐在員事務所 | 海外法人として登記 | 不可 | 不可 |
その他の進出形態
100%外国資本で現地法人を設立する他、合弁契約を結んだ上で設立を行う場合や、契約書ベースでの合弁事業・委託加工契約など、海外で事業展開する際によく検討される形態は以下の通りです。
[合弁会社]
合弁会社は外国資本(外国人または外国企業)とミャンマー資本(ミャンマー人・ミャンマー企業・ミャンマー政府機関等)が共同で出資して設立する会社をいいます。会社法上、外国資本が直接または間接的に35%超の株を保有する場合は外資企業として規定されます。
設立手続きは、非公開株式会社を前提にすれば通常の非公開会社の手続きと大きくは変わりません。ただし、設立手続きを始める前に合弁企業間の取り決め(合弁契約書)の締結を行い、新会社(合弁会社)の定款を合弁契約書に合わせる調整が必要になるため、その分時間がかかることが想定されます。また、合弁契約書は設立登記申請時に他の書類と併せてMyCO上でアップロードすることが要求されます。
[ローカル企業との提携]
提携とは、ローカル企業とのプロジェクト活動を行うため契約によって成立する形態です。
法人を新たに設立せず現地企業との間で委託加工契約(CMP)を締結する方法や、自ら工場を設立してその新設法人との間でCMPを締結する方法も利用されています。CMPはミャンマーの代表的産業である靴製造や縫製の分野で多く利用されています。外国企業がミャンマーで土地を所有することはできないため、ミャンマー企業が土地や工場等を出資し、外国企業は原材料・消耗品のほか製造設備・機械等をリースや販売形式で出資する形態です。外国企業との委託契約によって製品を製造し、すべての完成品を輸出します。メリットとして、原材料の輸入免税を受けられることが挙げられます。
Ⅲ.各種設立スケジュール及び必要資料
ミャンマーで現地法人を設立する場合、手続は大きく分けて2つあります。
一つは、ミャンマー投資委員会(MIC)への投資許可/認可の申請です。この手続きは、投資法に基づく投資許可が必要な場合、または税制優遇措置(免税・減税など)といった優遇措置を受けたい場合に求められます。ただし、MIC許可を取得するためには、まず会社としてDICAに登録を済ませた上で、その後にMIC許可を申請するという順番で進める必要があります。なお、特別経済区域(SEZ)で事業を行う場合は、SEZ法に基づく別途の申請が必要となり、すでにDICAに登録済みであっても、改めてSEZ OSSC(ワンストップサービスセンター)にて自社の登録を行わなければならない点にご留意ください。
もう一つは、投資・対外経済関係省(MIFER)傘下の投資企業管理局(DICA)への事業許可および会社登記の申請です。この手続きは、海外法人の現地子会社・支店・駐在員事務所を問わず、すべての企業が行う必要があり、いかなる場合でも必須となります。
【2026年6月注記|管轄省庁名】 DICAはMIFERの下にある登記当局ですが、近時の政府機構再編に伴い、当局の公式表記では「Ministry of National Planning, Investment and Foreign Economic Relations(計画・投資・対外経済関係省)」の名称が併用されています。DICAの名称・機能自体は継続していますが、書類上の正式な省庁名は現地で確認することを推奨します。
さらに、事業許可(ライセンス)が必要な業種については、上記の手続に先立ち、管轄省庁からの許認可申請を行わなければなりません。
1.現地法人
外資企業の現地法人、地場企業、合弁会社などは、そのほとんどが非公開株式会社(Private Company Limited by Shares)の形態を採用しています。ただし、証券取引所などに上場する場合には公開株式会社(Public Company Limited by Shares)が求められるため、上場を目指す会社や株主が50名を超える会社は公開株式会社の形態をとります。
◆基本要件(第4条a)
- 商号を有すること(i)
- 定款を有すること(ii)
- 1株以上の株式が発行されていること(iii)
- 1名以上の株主がいること(iv)
- 1名以上の居住者である取締役(v)(※1)
- (公開会社の場合、3名以上の取締役、かつ1名以上のミャンマー人で居住者である取締役(vi))
- 登記住所をミャンマー国内に有すること(vii)
(※1)居住者(ordinarily resident)の要件は、「ミャンマー法規に基づく永住者」もしくは「各12カ月において183日以上ミャンマー国内に滞在する者」と定義されています(第1条(c)(xix))。
◆会社設立登記手続の方法(現地法人=非公開株式会社を前提)
会社登記手続は、投資企業管理局(DICA)が管理するオンラインシステム(MyCO)上で申請します。非公開株式会社の会社登記は、MyCO上の申請フォーム Form A-1(Application for incorporation as a private company limited by shares) を用います。
申請フォーム上必要となる情報・資料は以下の通りです。
① 会社名 会社名は「英語表記のみ」もしくは「英語表記およびミャンマー語表記」のどちらかとなります。会社名の末尾に有限責任を表す「Limited」もしくは「Ltd.」を付す必要があります(第13条(a))。「National Government」「State」「Central Bank」「Union Government」「President」「Ministry」「Municipal」など政府系機関を示唆する名称は、管轄省庁の大臣からの書面での承認がある場合を除き使用できません(第25条(c))。既存の登記会社と同一・類似で混乱や誤解を招く名称も使用不可です。
② 外資企業の該当の有無 登記会社が外資企業(foreign company)に該当するか申請に含めます。判断は、持分比率の35%超を直接的または間接的に外国人・外国企業が保有するかで行います(第1条(c)(xiv))。
③ 申請者情報 申請手続を行う者の氏名・国籍・ID番号・住所・emailアドレスが必要です。申請者は取締役・株主である必要はなく、手続代行のエージェント等でも問題ありません。
④ 取締役情報 設立時取締役について、氏名・国籍・ID番号(ミャンマー人はNRC番号、外国人はパスポート番号)・性別・生年月日・居住住所が必要です。任意でemail・電話番号も申請可能で、申請しておくと当局からの連絡を受け取れます。非公開株式会社の場合、少なくとも1名はミャンマー居住者である必要があります。NRCコピーまたはパスポートコピーのオンラインアップロードも必要です。
取締役の資格要件(第175条):
- 株式保有が求められる場合は、2カ月以内もしくは定款記載の期間内に株式を保有すること
- 18歳以上の自然人であること
- 健全な精神を有していること
- 会社法その他の法律により取締役として不適格とされていない者であること
- 債務未返済の破産者ではないこと
- (定款に追加要件がある場合)会社法と矛盾しない規定に基づくこと
⑤ 秘書役情報 秘書役を選任する場合、指名・住所・国籍・ID番号・性別・生年月日・居住住所が必要です。秘書役の設置は任意です。
⑥ 登記住所および事業活動の拠点 登記住所は必須。別途、事業活動の拠点住所があれば任意で登録可能です。
⑦ 資本構成 総株式数、資本金の通貨(MMKまたはUSD)、最終持株会社の情報(※)、払込金額等の記載が必要です。 ※最終持株会社=他の会社の子会社でない持株会社。株主をさかのぼり、最終的にどの企業にも株を保有されていない企業を指します。
⑧ 株主情報 株主の登記番号・設立国(個人はパスポート番号・生年月日等)・住所、株式引受数、払込金額等が必要です。法人株主は設立登記申請では設立証(登記簿等)は不要ですが、法人名義の銀行口座開設時に必要となるケースがあるため注意(投資法・経済特区法に基づく投資許可/承認申請時には株主法人の登記簿・財務諸表等が必要)。
⑨ 会社定款 「モデル定款を使用」か「独自の定款を添付」かの二択。後者はMyCO上でアップロードします。会社定款には会社の目的(事業内容)の記載義務はなく、株主が制限しない限り記載不要です。モデル定款は柔軟な自治を想定しており、合弁等で株主間調整が必要なケースを除き十分と考えられています。
2.支店および駐在員事務所(海外法人 Overseas Corporation としての登録)
ミャンマー以外の国で設立された事業体がミャンマー国内で事業活動を行う場合には、海外法人として会社登記を行う必要があります。会社登記を行わずに事業活動を行うことは会社法上明確に禁止されています(第43条(a))。ただし、以下のケースは事業活動を行っているとはみなされず、海外法人としての登記は不要です(第43条(b))。
- 裁判の当事者であること若しくは当事者となること、又は裁判・請求・係争において解決を図ること
- 取締役会・株主総会の開催、又は内部事務の管理に関する他の活動の実施
- 銀行口座の保有
- 独立した契約者を通じての資産の売却
- ミャンマー連邦外において承諾される場合に限り拘束力を有する契約となる申込の勧誘又は斡旋
- 金銭の貸与、債務の負担、又は財産に対する担保権の設定
- 債権の保全若しくは回収、又は当該債務にかかる担保権の実行
- 同種の取引が繰り返し行われるものではない、30日以内に完了する単発の契約の履行
- 自己資金の投資又は資産の保有
ミャンマー会社法では、国外で設立登記された非居住法人として海外法人(Overseas Corporation)が定義されています。法人格は外国企業(本社)であり本社の一部と考えられるため、ミャンマーにおいてOverseas Corporationとして登記された支店等の契約行為から生じた債務については無限責任を負います。
法人税率は現地法人同様22%です(名目税率は25%、2021年10月以降の軽減税率22%が継続適用中)。 ただし課税所得の範囲は、居住者である現地法人が全世界所得であるのに対し、支店等のOverseas Corporationは非居住者としてミャンマー国内源泉所得に限定されます。
【2026年6月更新】 一般法人税率22%は、2024年連邦税法(2024 UTL)、2025年連邦税法(Law No.6/2025、2025/4/1施行)に続き、2026年連邦税法(Law No.18/2026、2026年3月15日制定・2026年4月1日施行)でも維持されています。ヤンゴン証券取引所上場企業は17%、石油・ガス探査生産事業は25%が継続。キャピタルゲイン税は原則10%(石油ガスは40〜50%)です。
◆海外法人登記手続の方法(支店/駐在員事務所)
現地法人同様、DICAが管理するMyCO上で申請します。海外法人の会社登記は Form A-8(Application register as an overseas corporation) を用います。
① 海外法人の情報:英語表記の会社名、設立国、設立国における登記番号が必要。
② ミャンマーにおいて使用する会社名称:別途設定可能。会社名の後ろに「Myanmar Branch」「Myanmar Representative Office」を付けたり「(Yangon Branch Office)」等を付すことが可能。会社名と著しく異なる名称は説明を求められることがあるため、会社名をそのまま使うか上記程度の付記が無難です。
③ 申請者情報:氏名・国籍・ID番号・住所・emailアドレス。取締役・株主である必要はなくエージェントでも可。
④ 取締役および秘書役情報:全取締役および秘書役(任命されている場合のみ)について、氏名・国籍・ID番号・性別・生年月日・居住住所が必要。任意でemail・電話番号も可。NRC/パスポートコピーのアップロードは不要。登記後の取締役・秘書役変更時も同オンラインシステム上で変更手続が必要で、多くの企業で実務負担が大きい部分です。
⑤ 授権代表者(Authorized Officer):ミャンマーにおける事業活動の代表者として任命が必要。氏名・国籍・ID番号・性別・生年月日・居住住所が必要。任意でemail・電話番号も可。授権代表者はミャンマー居住者である必要があります。 NRC/パスポートコピーのアップロードも必要です。
⑥ 登記住所および事業活動の拠点:登記住所は必須。別途拠点住所があれば任意で登録可能。
⑦ 設立国における登記住所又は事業活動拠点:いずれかを登録する必要があります。
⑧ 設立証および会社定款:設立証は通常、法人登記簿を用いますが、申請時点で発行から30日以内の書類であることが求められます。設立証・定款は、原文が英語の場合は英語原本にミャンマー語訳を添付、英語以外の場合は英訳とミャンマー語訳を添付し、取締役が正式に認証したものをMyCO上にアップロードします。なお、法人名義の銀行口座開設時には、設立国所在の在外ミャンマー大使館での認証手続が求められるケース(銀行による)があるため事前確認が必要です。
⑨ 決算期末日:設立国における決算期末日を登記します。この日付にかかわらず、ミャンマーにおける税務申告等は3月末決算です。設立国の決算期末日は、会社法第53条(a)(i)に基づく年次申告のタイミング(毎年、設立国の決算期末日より28日以内)で参照されます。
3.投資法に基づく承認申請手続きを伴う会社設立手続き
投資法に基づく承認(Endorsement)申請手続を行う場合、当該手続と会社設立手続は別個のものとして扱われます。会社設立登記申請と投資委員会への承認申請は、どちらが先でも問題ありません。
ただし、投資委員会の承認を受けられない場合に創業自体が不可能となるケースでは、会社設立だけできてしまっても清算手続等が必要となるため、申請の準備をしたうえで、承認がなされてから会社設立申請をスタートするのが安全です。
4.経済特区法に基づく投資許可申請手続き
経済特区における法人設立は、経済特区法(SEZ法)に基づき、中央管理委員会=ワンストップ・サービス・センター(One Stop Service Centre:OSSC)のサポート下で行います。
OSSCは日系企業の専門家も多く携わって設置された役所であり、計画から操業準備まで最短1〜2カ月と、投資法に基づく承認申請手続よりもずっと短い期間で設立を完了できます。
Ⅳ.外資規制
1.投資規制
投資法第41条において、以下を禁止業種として、内資・外資を問わず投資(事業活動)を禁止しています。特定業種を禁止するというより、投資活動一般への制限という意味合いです。
- 有害または有毒な廃棄物をもたらす、または引き起こす可能性のある投資活動
- 検査中または未認可の栽培等の技術、医薬品、動植物、物品を持ち込む可能性のある投資活動
- ミャンマー国内の民族の伝統的な文化や慣習に影響を与える可能性のある投資活動
- 公衆に影響を及ぼす可能性のある投資活動
- 自然環境や生態系に重大な影響を与える可能性のある投資活動
- 法律によって禁止されている物品の製造やサービスの提供を伴う投資活動
投資法第42条は規制業種を以下の4区分に分けて設定し、第43条はその詳細を通達で公布すると定めています。当該通達である ミャンマー投資委員会通達 No.15/2017 が2017年4月10日付で発行されています。
- 政府のみが実施することを認められている投資活動
- 外国投資家による実施が認められない投資活動
- ミャンマー人または企業との合弁会社のみ実施することを認められている投資活動
- 関連省庁からの承認が必要な投資活動
現行の投資法は、投資委員会の認可の有無やミャンマー市民・外国人投資家の別にかかわらず適用されます。経済特区での投資は経済特区法等に準拠しますが、投資法上、税務インセンティブに関する条項のみ経済特区への投資で適用除外と明記されているため、業種規制については経済特区における投資にも適用されると考えられます。
2.規制業種の内容(投資委員会通達 No.15/2017)
(A)連邦政府によってのみ実施可能な投資業種
番号 | 業種 | 産業コード |
|---|---|---|
1 | 政府の告示により随時指定される安全保障及び防衛のための製品の製造 | ISIC 2520 |
2 | 国防用武器弾薬の製造および関連サービス | ISIC 2520, CPC 447 |
3 | 全国郵便切手の発行、郵便局・郵便ポストの設置及び雇用(組合を代表して郵便局運営者のみが行う) | ISIC 1811, 1812, CPC 326 |
4 | 航空交通サービス | |
5 | 航空機運航サービス | CPC 6752 |
6 | 炭素排出削減に係る事業を除く天然林及び森林地帯の管理 | CPC 7221/72212 |
7 | ウラン、トリウムなどの放射性金属の実現可能性調査と製造 | ISIC 0721/07210 |
8 | 電力システムの管理 | CPC 8631 |
9 | 電気工事の検査 | CPC 8631 |
(B)外国投資家によっては実施できない投資業種
番号 | 業種 | 産業コード |
|---|---|---|
1 | ミャンマー語を含む民族言語による定期刊行物の発行と配布 | ISIC 5813, CPC 3241, 8911, 8912 |
2 | 淡水漁業および関連サービス | ISIC 0312, CPC 0421, 8615 |
3 | 動物の輸出入のための検疫所の設置 | CPC 8352, 8359, 8612 |
4 | ペットケアサービス | CPC 8351, 86129 |
5 | 森林地域および国営天然林を利用した林産物の製造 | ISIC 0220, 0230 |
6 | 鉱山法に基づく中小企業向けの鉱物の探鉱・調査・実現可能性調査・開発 | ISIC 0510, 0520, 0710, 0721, 0729, 0990 |
7 | 中小規模の鉱物の精製 | ISIC 2410 |
8 | 浅めの油田活用 | ISIC 0610 |
9 | 外国人向けビザ・滞在許可証シールの印刷・発行 | ISIC 5819, CPC 89122, 91210 |
10 | 翡翠・宝石の探査・生産 | ISIC 0990, 3211 |
11 | ツアーガイドサービス | CPC 8555 |
12 | ミニマーケット、コンビニエンスストア(床面積10,000平方フィート(929平方メートル)以上である必要あり) | CPC 62 |
(C)ミャンマー人保有企業ないしミャンマー国民との合弁事業の形態でのみ許される投資業種
番号 | 業種 | 産業コード |
|---|---|---|
1 | 魚水揚げ場・漁港・魚競り市場の建設 | ISIC 5210 |
2 | 水産に関する調査研究活動 | CPC 8114 |
3 | 動物病院 | CPC 8351, 8352, 8559 |
4 | 農地での作物栽培、地元市場への流通、輸出 | ISIC 011/0111, 0112, 4631, 46312, 4759, 47593 |
5 | プラスチック製品の製造及び国内販売 | ISIC 1511, 1512, 1520, 46312, 4759, 47593 |
6 | 利用可能な天然資源を利用した化学品の製造および国内販売 | ISIC 2011, 202, 46312, 4759, 47593 |
7 | 可燃性固体・液体・気体燃料及びエアゾールの製造及び国内販売 | ISIC 201, 202, 46312, 4759, 47593 |
8 | 酸化剤・圧縮ガスの製造および国内販売 | ISIC 201, 202, 46312, 4759, 47593 |
9 | 腐食性薬品(硫酸、硝酸)の製造及び国内販売 | ISIC 201, 2012, 46312, 4759, 47593 |
10 | 工業用化学ガスの製造および販売 | ISIC 201, 202, 46312, 4759, 47593 |
11 | ビスケット・各種麺類等シリアル製品の付加価値製造および国内販売 | ISIC 1074, 46312, 4759, 47593 |
12 | スイート・ココア・チョコレート等各種菓子の製造・国内販売 | ISIC 1073, 46312, 4759, 47593 |
13 | 牛乳及び乳製品を除く食品の加工・缶詰・製造及び販売 | ISIC 1075, 46312, 4759, 47593 |
14 | 麦芽・麦芽リキュール・無気泡製品の製造・国内販売 | ISIC 1103, 46312, 4759, 47593 |
15 | 各種蒸留酒・酒類・アルコール/ノンアルコール飲料の製造・国内販売 | ISIC 1101, 1102, 46312, 4759, 47593 |
16 | 各種精製氷の製造・国内販売 | ISIC 1079, 46312, 4759, 47593 |
17 | 精製飲料水の製造・販売 | ISIC 1105 |
18 | 各種石鹸の製造・国内販売 | ISIC 2023/20231, 46312, 4759, 47593 |
19 | 各種化粧品の製造及び国内卸 | ISIC 2023/20232, 46312, 4759, 47593 |
20 | 住宅用アパート・マンションの開発・販売・賃貸 | ISIC 4100/41001, 6810, CPC 5411, 7211 |
21 | 現地ツアーサービス | CPC 8554 |
22 | 海外の病院への患者移送 | CPC 93121 |
(D)関連省庁からの承認が必要な投資業種
省庁別の主な対象業種は以下のとおりです(紙幅の都合により産業コードは代表例を示します。詳細は投資委員会通達 No.15/2017 の原典をご参照ください)。
- 内務省:麻薬及び向精神薬を使用して製造された医薬品の製造及び販売(ISIC 2100)
- 情報省:印刷/放送メディア間の相互所有、外国語による定期新聞の発行、FMラジオ放送、DTH/DVB-T2番組放送、ケーブルTV 等
- 農業・畜産・灌漑省:水産資源・魚種への投資、海上漁業、動物用生物学的製剤・医薬品の製造販売、商業畜産、ブリーダー農場・孵化場、種子・新品種植物・農薬・肥料等の輸入製造販売、ハイブリッド種子の生産輸出、農業研究 等
- 運輸・通信省:自動車登録検査、自動車教習所、鉄道(新線路・駅・車両製造保守・電力生成)、郵便・電気通信サービス、通信機器の製造販売、各種航空関連サービス(民間航空訓練、整備、グランドハンドリング、CRS、航空機リース、貨物輸送、空港の建設運営等)、各種海運関連サービス(造船所、沿岸・内陸水上輸送、船舶リース、曳航、船舶解体、港湾建設、深海港・国際多目的港等)
- 天然資源・環境保全省:森林伐採、森林プランテーション、木質産業、エコツーリズム、GMOの複製頒布、希少樹種の研究商業活動、鉱物生産のための探査調査、宝石・宝飾品の製造販売、真珠養殖、オゾン影響物質の生成、紙パルプ大規模製造 等
- 電気・エネルギー省:大規模電力事業(30MW以上)、電力系統接続の電気工事、海洋掘削関連設備、石油・ガス・石油製品の貯蔵輸送設備建設、製油所建設、石油ガス探査・開発・生産・輸送に関する設備等
- 産業省:ワクチンの製造(ISIC 2100)
- 商業省:小売サービス(CPC 62)、卸売サービス(CPC 61)
- 厚生・スポーツ省:私立病院、民間一般/モバイル医療、民間介護シェルター、伝統的私立病院・クリニック、伝統医学・医療製品の製造、伝統薬製造、伝統医薬原料の取引・栽培、伝統医学研究、ワクチン/診断検査キット製造研究 等
- 建設省:建設省管理道路に関する事業、高速道路の高架・トンネル・環状道路・インターチェンジ等、高さ180フィート以上の橋、橋梁鋼構造物の製造販売、100エーカー超の都市開発、工業団地関連の集合住宅・低価格住宅、地域・州都の4エーカー以上の都市再開発、新都市・市街開発 等
上記の投資法第41条・第42条(投資委員会通達 No.15/2017 を含む)により包括的に規制されていますが、他の現行法や許認可手続において外資規制が存在するケースもあり、安全保障や政治に関連すると想定される業種については特に注意が必要です。
さらに、投資委員会は命令・通達・指示を発行でき、運用面の詳細が公表されます。例えば2018年4月20日付の投資委員会通達 No.7/2018 は教育事業をさらに細かく区分し外資規制を規定しています。
また管轄省庁が許認可基準を公表することもあり、小売業・卸売業については商業省の許認可が必要で、その基準・要件は商業省通達 No.25/2018(2018年5月9日付)に規定されています(後述Ⅵ章参照。免除品目の取扱いについては No.23/2019(2019年5月21日付)が追加で規定)。
Ⅴ.投資インセンティブ
1.投資法におけるインセンティブ
投資法上、投資許可(Investment Permit)もしくは承認(Endorsement)を取得することで、租税減免措置および土地使用権(土地の長期リース権)の申請が可能です。留意点として、租税減免措置は資本金額30万ドルが要件となっています。
投資許可は、投資法の要件に該当する場合に取得義務が生じます。一方、承認は、投資許可の取得要件に該当しないが税務インセンティブや土地使用権(長期リース権)を享受したい場合に任意で申請可能です。投資許可の取得義務の要件は以下の通りです。
① 国家戦略上、不可欠な投資活動(投資法第36条(a)、投資規則第3条)
- (a) 技術(情報・通信・医療・バイオ等)、交通インフラ、エネルギーインフラ、都市開発インフラ・新都市構築、採掘/天然資源またはメディア分野で、期待投資額が2,000万ドル超
- (b) 当局による譲歩・協定・同様の認可の付与に従うもので、期待投資額が2,000万ドル超
- (c) 国境地域・紛争地域で行われるもので、期待投資額が100万ドル超
- (d) 国境を跨いで実施されるもので、期待投資額が100万ドル超
- (e) 州または地域を跨いで実施される投資
- (f) 主に農業関連事業で、1,000エーカー超の土地占有・使用権を含む投資
- (g) 主に非農業関連事業で、100エーカー超の土地占有・使用権を含む投資
② 大規模な資本集約的な投資プロジェクト(投資法第36条(b)、投資規則第4条) 投資額が100,000,000ドル超の場合、大規模な資本集約的投資とみなされます。
③ 環境や地域社会に大きな影響を及ぼす可能性が高い投資活動(投資法第36条(c)、投資規則第5条)
- (a) EIAタイププロジェクトに分類される/される可能性が高い投資
- (b) 環境保全法等に基づき指定された保護地域・生物多様性重要地域・生態系・文化/自然遺産・文化記念碑・未開地域における投資
- (c) 一定の土地(連邦法に基づく収用等により100人以上の永住者の転居を招く可能性/100エーカー超等、土地使用・天然資源アクセスに非自発的制限が生じる可能性、既存の正当な請求・紛争の対象、100人以上の占有者の法的権利に悪影響)を占有・使用する権利を含む投資
④ 国有の土地や建物を使用する投資活動(投資法第36条(d)、投資規則第6条)
⑤ 投資委員会へ投資許可申請が必要と政府が定める投資活動(投資法第36条(e)、投資規則第11条)
投資許可・承認の取得後、租税減免措置および土地使用権の申請が可能となります。
租税減免措置
① 法人税免税(投資法第75条) 投資委員会が定めた投資奨励業種(投資委員会通達 No.13/2017 で公表)のみを対象に、法人税免税が与えられます。地域区分ごとに7年・5年・3年に区分され(投資委員会通達 No.10/2017 で公表)、開発が遅れている地域ほど長く、都市部ほど短く設定されています。ヤンゴン管区はほとんどの地域が3年です。
② ミャンマー人の投資に対する特別の措置(第76条) ミャンマー政府は、ミャンマー人所有の事業・企業に対し、補助金・能力開発等の援助ができるとされています。
③ 関税その他の租税の減免(第77条)
- 建設・準備期間の設備機械・建設資材等の輸入品目にかかる関税等の減免
- 輸出型製造業における輸出製品生産のための輸入原材料等にかかる関税等の減免
- 製造業における輸出品目生産のための輸入原材料等にかかる関税等の還付
- 追加投資を行う場合の設備機械・建設資材等の輸入品目にかかる関税等の減免
④ その他の租税減免措置(第78条)
- 投資事業から得た利益を1年以内に再投資した場合の法人税減免
- 規定耐用年数より短い耐用年数に基づく償却を行う権利の付与
- 経済発展に必要な研究開発費を損金算入する権利の付与
投資奨励業種(投資委員会通達 No.13/2017)
法人税免税の対象となる投資奨励業種は以下のカテゴリーに大別されます(各カテゴリーには多数の細目があり、詳細は通達原典をご参照ください)。
区分 | 業種カテゴリー |
|---|---|
(A) | 農業とその関連サービス(タバコ・バージニアの栽培生産を除く) |
(B) | 森林の植林・保全、その他森林を利用した事業 |
(C) | 畜産・飼育・水産物の生産及び付随サービス |
(D) | 製造業(タバコ・リキュール・ビール等、健康に有害な製品の製造を除く) |
(E) | 工業地帯の設置 |
(F) | 新しい市街地の形成 |
(G) | まちづくり活動(給水、廃水処理、廃棄物収集、手頃な住宅、公共交通等) |
(H) | 道路・橋・鉄道の建設 |
(I) | 海港・河川港・ドライポートの建設 |
(J) | 空港の管理・運営・維持管理 |
(K) | 航空機の整備 |
(L) | 供給および輸送サービス |
(M) | 発電・送電・配電 |
(N) | 再生可能エネルギーの生産 |
(O) | 電気通信事業 |
(P) | 教育サービス |
(Q) | 医療サービス |
(R) | 情報技術サービス |
(S) | ホテルと観光 |
(T) | 科学研究開発事業 |
注: (D)製造業には、食肉・水産加工、各種食用油脂、乳製品、製粉・製パン、砂糖・菓子、調味料、動物飼料、木材・木製家具、繊維・衣料・履物・革製品、プラスチック、紙パルプ、肥料・農薬、医薬品、タイヤ・ゴム、セメント・建材、鉄鋼・金属、宝飾品、電気・電子・通信機器、電池、車両・二輪・船舶・鉄道車両・航空機、石油化学・化学品、医療機器等、90品目超が含まれます。具体的な該当可否は産業コード(MSIC)に基づき個別確認が必要です。
地域ごと免税期間区分(投資委員会通達 No.10/2017)
免税期間は地区・タウンシップごとに 7年・5年・3年 に区分されています。概略は以下のとおりです。
免税期間 | 主な対象(概略) |
|---|---|
7年 | カチン州、カヤー州、カレン州、チン州、ザガイン州(一部)、タニンダーリ管区(一部)、バゴー管区(一部)、マグウェ管区(一部)、マンダレー管区(一部)、モン州(一部)、ラカイン州、シャン州(多数)、エーヤワディ管区(一部)など、開発が遅れた周縁地域・国境地域の多くの郡区 |
5年 | カチン州・ザガイン州・タニンダーリ管区・バゴー管区・マグウェ管区・マンダレー管区・モン州・シャン州・エーヤワディ管区の主要郡区、ヤンゴン管区の周縁部(南・北・東地区の一部)、首都ネピドー(Dekkina地区・Oktara地区) |
3年 | マンダレー管区マンダレー市内中心部、ヤンゴン管区の都市中心部(東・北・西地区の主要郡区)、その他主要都市部 |
※本区分はMIC通達 No.10/2017 によるもので、その後も変更になる可能性があります。個別郡区の正確な区分は通達原典・現地確認をお願いします。
2.経済特区法におけるインセンティブ
経済特区の投資は、業種・商流により フリーゾーン(およびフリーゾーン事業) または プロモーションゾーン(およびその他の事業) に区分され、免税期間・対象が異なります。
【フリーゾーンおよびプロモーションゾーンにおける投資申請要件】
業種 | 最低資本金 | その他の要件 | |
|---|---|---|---|
① フリーゾーンおよびフリーゾーン事業 | 製造業 | 750,000米ドル | 製品の75%以上を輸出 |
フリーゾーン事業の支援事業 | 300,000米ドル | 製品の80%以上を輸出製造事業に販売 | |
輸出関連サービス業 | 500,000米ドル | ― | |
国際貿易展示場 | 10,000,000米ドル | ― | |
② プロモーションゾーンおよびその他の事業 | 製造業 | 300,000米ドル | ― |
サービス業 | 300,000米ドル | ― | |
ショッピングセンター・コンドミニアム等の不動産開発業 | 5,000,000米ドル | ― | |
ホテル業 | ― | 3つ星レベル以上 | |
訓練学校・職業訓練校・教育機関 | 2,000,000米ドル | ― | |
病院 | ― | 最低100床・最新治療法・ハイテク検査機器・研究室・手術室が必要 | |
畜産業 | ― | 管理委員会の助言を受けること | |
水産業 | ― | 最低100ヘクタールの土地が必要 | |
林業 | ― | 最低500ヘクタールの植林スペースが必要 | |
農業関連事業 | ― | 管理委員会の許可を受けること |
【フリーゾーンおよびプロモーションゾーンの税務インセンティブ】
項目 | フリーゾーン | プロモーションゾーン |
|---|---|---|
法人税 免税期間 | 操業から7年間免税 | 操業から5年間免税 |
免税期間後の減税 | その後5年間は50%減税(8〜12年目) | その後5年間は50%減税(6〜10年目) |
減税期間後の再投資減税 | その後5年間、1年以内再投資のための留保利益への課税を50%減税(13〜17年目) | その後5年間、同50%減税(11〜15年目) |
輸入関税等: 機械設備・車両等の事業用資産・建設資材の輸入 | 免税 | 操業から5年間免除、その後5年間50%減税 |
製造に必要な原材料・部品等の輸入 | 免税 | 課税だが、輸出製品に使用した原材料・部品の輸入関税等は還付申請可 |
商業税: 製品・サービス販売にかかる商業税 | 免除 | 所定期間のみ免税。その後は輸出分免税・国内販売分課税 |
ミャンマー国内からの仕入(輸入) | ミャンマー国内・プロモーションゾーンからの輸入にかかる商業税は免税 | 所定期間のみ免税 |
教育訓練費の損金算入 | 実額損金算入可 | なし |
研究開発費の損金算入 | 実額損金算入可 | なし |
繰越欠損 | 5年間繰越可(所得税法上は3年) | 5年間繰越可(所得税法上は3年) |
3.その他のインセンティブ
後発開発途上国に対する特別特恵措置(LDC特恵措置)として、ミャンマーからの輸入品については一般特恵・特別特恵対象品目とも関税が免除され、縫製業を中心とした加工貿易の後押しとなってきました。
【2026年6月注記】 LDC関連特恵やEUのEBA(武器以外すべて)等の対外通商特恵は、人権・政治状況を理由に各国・地域で見直し・一部停止の議論が続いています。現時点の特恵対象国・品目・条件は仕向地ごとに必ず最新情報をご確認ください。
Ⅵ.業種ごとの設立形態
1.事業形態ごとに見る進出スキームの検討
業種ごとに設立スキームを検討します。
2.製造業の進出
製造業では工場建設またはレンタル工場、設備投資が伴い、長期の土地(または工場)リース契約が必須となるため、経済特区での投資、または経済特区外であれば投資委員会から承認を取得して進めるのが一般的です。
経済特区はインフラ面で優位性があり、OSSC(総合窓口)により各種行政手続が簡潔・速やかに処理できるメリットがあります。一方、地代は高く、開発会社への管理費用負担もあります。
法人税免税は地域ごとに3年〜7年で区分され、免税期間が長いに越したことはありませんが、インフラ状況・労働力確保・輸送コストといった点も総合的に勘案する必要があります。
3.卸売業・小売業の進出
卸売業・小売業は、商業省通達 No.25/2018(2018年5月9日付) により以下のとおり規制されています(免除品目の取扱いは No.23/2019 が追加規定)。
卸売業 | 小売業 | |
|---|---|---|
定義 | 大量の商品を小売事業者に再販目的で、または製造業者に製造使用目的で販売 | 少量の商品を消費目的の消費者に販売(再販目的ではない) |
内資100% | 可能な範囲の初期投資で可能。700,000ドル未満は登録不要 | 可能な範囲の初期投資で可能。700,000ドル未満は登録不要 |
外資比率 0%超〜80%以下 | 地代を除いて2,000,000ドル以上の初期投資が必要 | 地代を除いて700,000ドル以上の初期投資が必要 |
外資比率 80%超 | 地代を除いて5,000,000ドル以上の初期投資が必要 | 地代を除いて3,000,000ドル以上の初期投資が必要 |
※外資・合弁が床面積929平方メートル(10,000平方フィート)未満のミニマーケット・コンビニを運営することは禁止されています。また、登録した投資額・床面積を登録時に満たせない場合、No.23/2019 により登録日から5年以内に充足することが認められています。
外資企業としての参入には大きな初期投資が求められるため、メーカー等が他国で生産した自社製品をミャンマー市場へ供給したい場合は、代理店等を通じて行うのが一般的です。
4.サービス業
サービス業は、投資委員会通達 No.15/2017 による規制がない限り、会社法に基づく設立のみで事業が可能です。税務インセンティブを取りたい場合、300,000ドル以上の資本金を設定できれば選択肢として検討できます。ただし法人税免税は十分な利益がないとメリットが小さく、サービス業では輸入関税のメリットも小さくなりがちなため、インセンティブ取得目的の増資は慎重に検討すべきです。なお、創業時に設備を国外から持ち込む場合は、その部分の関税等免除を受けられる可能性があるため検討の余地があります。
5.建設業
ミャンマーでは一般的な建設業は「建設サービス」に区分され、サービス業の一部とみなされます。純粋な「建設業(Construction Business)」は不動産開発(ディベロッパー)に近い意味になるため注意が必要です。
「建設サービス」は基本的に規制がなく、会社法による会社設立のみで操業可能です。ただし官公庁の入札工事では資本要件等があるため、資本構成(合弁会社)も含め検討が必要です。
一方、ディベロッパー的な「建設業」(不動産開発)は土地使用権が必須となるため、投資委員会からの承認取得か経済特区における投資のいずれかとなります。
Ⅶ.Q&A集
Q1.現地法人、支店、駐在員事務所の登記にかかる期間と費用感を教えてください。
A1.新会社法における登記はシステム化されており、ポータルサイト(MyCO)上で登記を行うまでにかかる期間は、書類をそろえる段階から数えても1〜2週間程度です。そこから銀行口座開設に1か月ほど見ておけば、現地で活動する法人ないし支店/駐在員事務所としての建付けは整います。
一方、MICの投資認可を受けるには、スムーズに行っても半年程度を見る必要があり、申請側がいくら急いでも投資委員会の会議開催を待つなど時間がかかる傾向にあります。経済特区(SEZ)における設立は、OSSCの活動により、同じ投資認可手続でも1か月ほどで完了します。
費用は受けるサポートの程度によりますが、概ね月当たりUSD2,000程度の手数料を見込み、DICA登録のみなら数千ドル、MICならUSD15,000程度と見積もることができます。
【2026年6月注記】 上記の金額・期間はあくまで目安であり、クーデター後の物価・為替変動や代理人費用の改定により変動します。なお、MICは2026年も定例会合を開催し新規プロジェクトを承認するなど稼働を継続しています(例:2026年第3回会合で35件を承認)が、審査体制・所要期間は流動的です。最新の実勢費用・標準処理期間は現地代理人にご確認ください。
Q2.ミャンマー進出における事業形態は、どのように選べばいいですか。
A2.最も重要なのは、外資規制の有無と投資認可取得の必要性を理解することです。製造業でも、MIC認可やSEZ設立により、税制優遇のほか輸出入の利便性確保や必要資金の授受の自由度確保が必要になる点を考慮します。そのうえで、例えば外資100%でも問題なく実行できる事業となる場合に進出形態を検討します。
現地法人と支店・駐在員事務所の最大の違いは、実際には撤退のしやすさにあります。プロジェクトベースで母国(日本等)での収益が確保されればよい場合は、撤退しやすく資金繰りが容易な支店が選ばれます。一方、現地に根付き現地企業とのコネクションを確保する場合や巨額の設備投資を要する場合は現地法人がふさわしいと考えられます。
現地の市場調査では駐在員事務所が選ばれますが、駐在員事務所に加えて現地企業と合弁事業(=形態としては現地法人)を立ち上げるケースも多く、複合的な活動には合理的な選択といえます。
Q3.現地居住者の取締役や支店/駐在員事務所の代表者を、外部委託することはできますか。
A3.居住者要件を満たして現地代表を委任することは一般的に可能です。当局は DICA通達 No.7/2023(2023年1月17日発出、2023年2月17日施行。会社法第462条(a)(ii)に基づく) で、取締役および株主の名義貸し(nominee director/nominee shareholder)を認めないと明確にしました。
これは、名前だけを貸して責任を取れない立場が会社法の趣旨(会社の事務を実際に指揮・支配する者は取締役とみなされる)に反するという意味であり、責任も併せて委託し現地居住者代表としての役割を実質的に担わせるのであれば、外部の人間が取締役/代表者を担うこと自体は問題ありません。なお、会社法上、各社は183日超滞在する居住取締役を最低1名置く必要があります。
一方、住所貸しは特段禁止されておらず、バーチャルオフィスとして貸し出す事業者も多くあります。社員の個人宅を登録することもしばしば行われます。住所貸しを合法と認める明文規定は会社法にありませんが、特に妨げられていません。
Q4.ミャンマー法人の設立に際し、資金繰りで注意するべきことはありますか。
A4.外資規制業種で投資認可を受ける場合(SEZ設立を含む)を除き、必ず出資が必要な金額(いわゆる最低資本金)は指定されていません。また、他国のように資本金が一定額ないとビザを発行できないといった縛りもありません。
増資の登記手続もメールで議事録回覧・電子署名処理をすればオンラインで完了できるため、必ずしも最初に多額の資本金を計上する必要はありません。
一方、資本金の認識は原則として払込資本金のみをもってする方向に進んでおり、2023年4月のDICA通達により、現地法人設立登記後2か月以内に登記額の資本金が銀行口座に入金されなければならないという規則が設けられています。(この2か月以内の所定書類提出要件は、2025年1月8日付でDICAが株式異動・取締役変更時の提出書類要件を改定した際にも改めて注意喚起されています。)
外貨不足に苦しむ国家であり、2022年には外貨預金から現地通貨(MMK)への強制兌換が行われた経緯(その後段階的に緩和。Ⅰ章参照)もあるため、必要以上の投資を行うと自由に国外送金できなくなるおそれがあります。また、ローンについて、返済計画を添えて中央銀行の承認を経た金額を入金しても、国の外貨不足により返済計画どおりの返済が許可されない事例も起きています。
ミャンマーに送金はできても取り出せなくなる恐れがある点、慎重に資金繰りを検討する必要があります。
Q5.ミャンマーにおける従業員の雇用について、気を付けることはありますか。
A5.現地法人設立の条件として、投資認可を受けて活動する場合に投資計画に則った人材採用を行う必要がある点を除き、「現地従業員を何人採用しないと外国人を採用できない」といった制限はなく、採用人数に厳しい規則はありません。
ミャンマーの労務法制は、50年以上前施行の古い法律も含め非常に多くの法律が複雑に適用され、その多くは従業員が工場労働者・店舗従業員として働くことを念頭に、雇用主から従業員を守るために起草されています。
労務法制を司るのは各地の労基署(Labour Office)で、法制から導かれる規則に厳格に従うものだけを有効な雇用契約とし、契約書テンプレートを作成しています。従業員が合意していても、テンプレートを変更して規則を定める場合はLabour Officeの認可が必要で、多くの場合、雇用者側に有利な変更は認可されません。
従って、エンジニアやプロジェクト・マネージャー等の知識労働者に、柔軟な条件で働いてもらう雇用条件を設けることが難しい点に注意が必要です。
また、従業員を5人以上雇用する場合は社会保険庁への保険料支払いが必要となり、整理解雇を行う際は法定の月数で解雇補償を支払う必要があります。
Q6.ミャンマービジネスにおいて、法人登記だけしてある場合の維持費はどれくらいかかりますか。
A6.ミャンマー会社法上、法人の休眠(Dormant Company)というステータスはありません。MyCO上で登記法人(Live Company)である限り、売上やその他の収入が一切なくても、通常の営業法人と同様に会社法・税法のコンプライアンスを満たす必要があります。
具体的には、現地法人は小規模会社(Small Company)に該当しない限り、会計年度ごとに法定監査(Statutory Audit)済みの財務諸表を作成し、年次株主総会(AGM)で承認のうえ、会社法上の年次報告(Annual Return)を提出します。
海外法人(Overseas Corporation)の支店・駐在員事務所は、会社法上の年次報告(Form E-7)に加え、海外法人本社の財務諸表を提出(Form E-8)する必要があります。
現地法人・海外法人いずれの場合も、現地居住者として取締役・代表者を置く必要があります。
税法上は、商業税登録をしていれば四半期申告・年次申告が必要で、登録の更新も義務付けられます。法人所得税は年次申告が必要です。
これらのコンプライアンス対応のため外部委託または現地スタッフ委任でコストを取る必要があり、通常は維持費だけで USD5,000〜USD10,000/年 はかかります。
Q7.ミャンマーの会計記帳に関して、会計ソフトの指定など、制限はありますか。
A7.ミャンマー会社法は会計記帳をミャンマー語または英語で作成することを義務付けています。会計ソフトの指定はありませんが、この規定上、英語で作成できるものを選ぶとよいでしょう。
間接税は商業税(Commercial Tax)があり、原則5%ですが、一部のサービス(IT関連サービス等)では15%など多くのバリエーションがあるため、汎用性のある会計ソフトが望まれます。現地で会計人材を雇用する際は、MYOBで会計を学んだ人材が多いです。
会計年度は近年変遷がありましたが、現在は4月から翌年3月の12か月で、税務上の査定も同年度で行われます。
Q8.ミャンマーは、現在軍政で、外国からの経済制裁も受けていますが、カントリーリスクは高いですか。
A8.ミャンマーのカントリーリスクは、ASEAN諸国内で比較してもかなり高いと考えられます。法律の急な変更、輸入ライセンスの発行停止、国外送金の制限など、経済インフラを揺るがす事象が起きています。
中国・タイ・ラオス・インド・バングラデシュ等との国境付近では武装した少数民族が頻繁に中央政府軍部と対立し、軍部と民主派勢力のゲリラ的戦闘がヤンゴン・マンダレー等の都市にも余波を及ぼすことがあります。
世界的に話題となったロヒンギャ問題等で軍部・政府の対応が非難され、西側諸国から深刻な経済制裁を受けるなど、国際的にも孤立している側面が否めません。
ただしこうした事象は、強大国家に囲まれ国が統一されておらず軍事力による抑え込みが必要である点、インフラ未整備から極端に外貨が枯渇し財政が危うい点、西側と同調せず社会主義を選択してきた歴史等から、ある程度予想され得る展開でもあります。
政府担当官の属人的判断についても、トップダウン型の縦割り行政に加え、上に逆らえば失墜させられ得る国の構造として理解できれば、どこに・どこから声掛けすべきか、特定手続にどの程度時間がかかるおそれがあるかが見えてきます。
これらを踏まえ、国家としての基盤が脆弱であることを理解した長期目線での活動を考えることが重要です。
Q9.コストセンターの設置は可能ですか。ミニマムタックスなどの制度はありませんか。
A9.DICAは、会社法コンプライアンスに従わない企業、特に年次報告(Annual Return)を期限内に行わない企業に対し、警告のうえ登記抹消(Striking Off)を行います。しかし、それ以外の理由で登記抹消される例はありません。
税務当局も、利益の出ない企業に対し、諸外国にあるような売上基準の最低法人所得税(ミニマムタックス)を課すことはありません。
従って、費用が出るだけの拠点(コストセンター)であっても、コンプライアンスさえ守れば特にとがめられず存続可能です。
なお、累積欠損金は無限に繰越できるわけではなく、過去3年度分のみ益金との相殺が許されます。それ以前の損失は失効する点に注意が必要です。
Q10.ミャンマーへの進出方法として、企業買収を行う際に注意すべきことはありますか。
A10.ミャンマーでM&Aを実施する場合、事業買収・株式買収・固定資産買収などの種類が考えられますが、合併等の活動によっても必ずしも元の企業がなくならない点に注意が必要です。
各企業はDICAに法人登記されており、株式がどのように買収・譲渡されても、その行為だけで登記がなくなることはありません。法人登記が残る以上、会社法コンプライアンスは遵守する必要があり、法人清算(清算人の指名を要する)または当局による登記抹消(Striking Off、通常はコンプライアンス違反企業への罰則)が行われるまで登記は消せません。
税務上、特に売り手側で考慮すべきは キャピタルゲイン税 と 申告外所得(Undisclosed Source of Income)に対する課税 です。
【2026年6月訂正】 前版で「グリーンタックス」と記載していた点は誤りです。ミャンマーには資産譲渡に課される「グリーンタックス(環境税)」という制度はありません。正しくは、連邦税法(UTL)上の 申告外所得(出所を説明できない所得)に対する課税 であり、適用税率は年度のUTLに従います。キャピタルゲイン税は原則10%(石油・ガス事業は40〜50%)です。建物・自動車等の固定資産譲渡に加え、株式譲渡についてもこれらの課税を考慮する必要があります。具体的な税率・適用は最新のUTLおよび税務専門家の助言でご確認ください。
付録.駐在員レビュー用チェックリスト(更新後)
下表は、本完全版で反映した確認結果を踏まえた更新版チェックリストです。【保留】だった項目のうち本版で確認・更新できたものは状態を改めています。引き続き現地での最終確認が必要な項目には「要・現地最終確認」を残しています。
✓ | 区分 | 項目 | 本版での状態・反映内容 | 残る現地確認事項 | 優先度 |
|---|---|---|---|---|---|
☑ | 確認済 | DICAの管轄省庁名 | DICAはMIFER配下。近時、公式表記に「計画・投資・対外経済関係省」が併用。本文Ⅲ章に注記済 | 書類上の正式省庁名を現地確認 | 中 |
☑ | 確認済 | 法人税率22% | 2025 UTL(Law 6/2025)に加え2026 UTL(Law 18/2026、2026/4/1施行)でも22%継続を確認・追記 | ― | 低 |
☑ | 補完済 | 商業省通達No.(卸・小売) | 空欄を**No.25/2018(2018/5/9)**で補完。免除品目はNo.23/2019を追記 | 後続改正の有無を確認 | 中 |
△ | 要確認 | 設立費用感(Q1) | 金額は目安として維持。注記追加 | 物価・為替・代理人費用の実勢(要・現地最終確認) | 高 |
☑ | 特定済 | 名義貸し禁止通達(Q3) | **DICA通達No.7/2023(2023/1/17発出・2/17施行、MCL第462条(a)(ii))**と特定 | ― | 中 |
△ | 要確認 | MIC承認の期間・費用(Q1) | MICは2026年も稼働中である旨を確認・追記。期間「半年」は目安として維持 | 直近の標準処理期間・費用(要・現地最終確認) | 高 |
☑ | 大幅更新 | 外貨規制の最新状況(Ⅰ章) | 強制兌換率の段階的低下(65→50→35%)、外国法人の兌換免除、市場レート容認、FESC再編(2025/8 NDSC命令20/2025)等を反映 | 取引前にAD銀行・FESCの最新運用を都度確認 | 高 |
△ | 更新・要確認 | 輸入ライセンスの現状(Ⅰ章) | 依然遅延・停止リスク高。2024/12に外国法人の一部産品輸出解禁等、運用流動的と更新 | 対象品目・所要期間の最新状況(要・現地最終確認) | 高 |
☑ | 確認済 | 資本金2か月以内払込義務(Q4) | 2023年4月DICA通達で確認。2025/1/8通達でも書類要件が再確認された旨を追記 | 最新運用に変化がないか確認 | 低 |
☑ | 訂正 | M&A税務(Q10) | 「グリーンタックス」は誤り→申告外所得(Undisclosed Source of Income)課税に訂正 | 最新UTLの税率を確認 | 中 |
参照した主な公開情報(2026年6月時点)
- DICA/MIFER 公式サイト(dica.gov.mm、mifer.gov.mm)、ミャンマー国家計画省(monp.gov.mm)
- 連邦税法:2024 UTL、2025 UTL(Law No.6/2025)、2026 UTL(Law No.18/2026)に関する DFDL・VDB Loi・Allen & Gledhill の解説
- 外貨規制:CBM通達各号(12/2022、36/2022、15/2023、26/2023、37/2024、2/2026 等)、FESC再編(NDSC命令20/2025)に関する Tilleke & Gibbins・DFDL・VDB Loi・Allen & Gledhill の解説
- 名義貸し:DICA通達 No.7/2023 に関する Allen & Gledhill・Legal500・Global New Light of Myanmar の報道/解説
- 卸売・小売:商業省通達 No.25/2018、No.23/2019 に関する Tilleke & Gibbins・DFDL・KPMG・Conventus Law の解説
- 株式異動・取締役変更の書類要件(2025/1/8 施行)に関する Tilleke & Gibbins の解説
上記はいずれも公開情報に基づく要約であり、最新性・正確性を保証するものではありません。最終的な意思決定は、当局の最新発表および有資格の現地専門家の助言に基づいて行ってください。
