国際人事マネジメント
第10章 国際人事マネジメント
人事マネジメントの4つの切り口
マネジメントの父と呼ばれるP・F・ドラッカーは、「マネジメントとは、事業に命を与えるダイナミックな存在である。彼らのリーダーシップなくしては、生産資源は資源にとどまり、生産はなされない」と述べています(P・F・ドラッカー『チェンジ・リーダーの条件』)。
一般的には、国際人事マネジメントの成功要因として、現地の気候やインフラ状況などの環境、国民性、文化などに適応したマネジメントを構築できるかどうかが挙げられます。
一方で、人事マネジメントを行う上で、変えてはいけない本質もあります。それは「組織とベクトルの合った人材を教育していくこと」です。この本質を変えてしまえば、会社として統一された人事マネジメントができず、国際経営もまた破綻します。本質的な人事労務マネジメントを考えるにあたっては、まず、人事を4つのテーマ(採用、賃金、評価、教育)に分けて考える必要があります。ミャンマーにおける人事マネジメントも同様です。
「企業は人なり」という言葉があるように、人材のいかんによって、企業の成長が決まると言っても過言ではありません。優秀な人材の確保には、外部から優秀な人材を連れてくる方法と、自社内の人材を教育する方法があります。採用は、外部からの人材調達であり、賃金、評価、教育は、内部の人材育成方法に関わるものです。人事マネジメントのポイントは、教育に繋げるための賃金設計と評価制度設計をひとつの人事マネジメント機能として構築することにあります。そのためには、会社として統一的な方針を持ち、それに合った行動ができているかという評価基準を持つことが必要不可欠となります。全社統一した人事マネジメント方針を明確に共有していないと、労働問題の解決やそれに必要なミャンマー人との交渉を有利に進めることが困難になる恐れがあります。
全社として統一的な方針を定めた上で評価を行い、出した評価結果は必ず社員にフィードバックすることが重要です。「当社は○○を評価する会社です。しかしあなたは○○が××の分だけ足りません。だからあなたの評価は△△です」といった評価結果のフィードバックは、会社の方向性および「優秀な人材の定義」を会社として示すことを意味します。
フィードバックに際しては、定量化して具体的に明示できるようにしておくことが必要です。「何が、どれだけ足りないのか?」を会社として社員に明示できることが望ましいと言えます。このフィードバック機能が十分でないとミャンマー人からの賃金アップの交渉に対応ができません。
評価制度の構築は、「会社としてどのような人材を評価するのか」という優秀な人材の定義づけを明確にすることから始まります。「どのような人材を理想とするのか」を決めることが、組織における評価や採用、教育までのすべての方向性を決めることになります。最終的に、この方向性が実際の人事に反映されることにより、社員への浸透が図られるのです。
また、一貫性と透明性のある評価制度の導入は、社員の納得性を高め、会社が優秀とみなす社員の定着率向上にも繋がります。社員に甘い評価制度は、全体の社員定着率を高めますが、必ずしも会社が欲する社員の定着率を向上させるわけではありません。会社が優秀とみなさない社員の定着率の高さは、優秀な社員の採用を阻害する要因にもなります。
人事マネジメントの指針
ミャンマーでは、個人が仕事において重要と感じることはスキルの向上とそのための経験であると考えられています。社員は、職務をまっとうすることを求められ、それが自己の成長や評価に繋がると認識できれば、意欲を持って仕事に取り組みます。
そのためには、職務を明確に区分し、各自の役割を明らかにしなければなりません。日本におけるマネジメントのように上司が部下に「背中を見せる」だけでは部下にはその意図が伝わらないばかりか、求める方向に行動を起こさせることはできません。特に「チームワーク」や「忠誠心」のように成果の見えづらい行動を求める場合はなおさらです。日本人がミャンマー人を動かすうえで苦労しがちなのは、指示された内容に含まれた意図を読み取り最善の行動をすることを促すという点だと言われます。指示した内容は忠実に行う一方、ミスや想定外の事態が起こり業務が遂行できない際に、自ら解決策を模索することや新たな指示を仰ぐことが十分でない場合があり、行動することで得られる利益を明確にして教え続けることが要求されます。〔要確認:国民性に関する一般化。現地知見で実態に合うかご確認ください〕
たとえば、ミャンマーや日本をはじめ約80カ国に事業所を持つP&Gでは、「世界の人々の、よりよい暮らしのために」という企業理念を持ち活動しています。これは国や地域が変わっても普遍的なものです。国や文化によって「よりよい暮らし」の定義が変わるため、販売などの戦略は変化しますが、より良い暮らしを目指すことには変わりはなく、会社のビジョンや戦略に基づいて統一された人材の育成や採用・評価が行われています。
私たち日系企業にとって、ミャンマーは魅力的な市場であり、今後の発展の可能性を強く感じることができる国だと言われています。
しかし、単に自社の利益のみを追求するのではなく、自社が進出することによりミャンマーにどんなことをもたらしたいのかといった社会的意義を、現地のスタッフに伝える必要があります。
会社が本国の利益のためだけに活動をしているとなれば、現地の社員にとっての働く目的は「お金を稼ぐため」「家族のため」「ステータスのため」と自分本位になりやすくなります。ミャンマーでは家族を大切にする価値観が強く、時として、仕事より家族の事情を優先する場面が日本人の一般的な行動とは異なる形で現れることがあります。家族を大切にすること自体は良いことですが、たとえば家族の体調不良を理由に、業務の繁忙にかかわらず休暇を取得する場面もみられます。〔要確認:休暇取得行動に関する記述。現地の労務実態に合うかご確認ください〕
このように、ミャンマー人の考え方を正しく理解したうえで、管理をして行く必要があります。ミャンマーにおいて、企業の社会的意義や経営理念を浸透させることは、日本で行う以上に労力を要しますが、良い企業を作るためには不可欠です。
採用実務
採用フロー
日系企業がミャンマーに会社を設立した後、活動規模に応じて、現地労働者を募集する必要が出てきます。
ミャンマーにおいて現地スタッフの募集を行う場合には、日本と同様に募集要項を掲示し、書類選考や面接を経て採用を行います。ミャンマーでもインターネットの普及により、求人サイトや自社ホームページからの募集が行われています。また、古くから新聞紙面での募集活動も行われてきました。
[募集要項]
ミャンマーの採用方法は日本よりも欧米のそれに近く、多くの企業が職務分掌(ジョブ・ディスクリプション)で職務範囲を比較的明確に規定しています。
職務範囲は採用後にも大きくかかわってきます。職務範囲を明確に定めることは、良い面と悪い面があります。良い面としては、与えられた自分の仕事に、責任を持って取組みやすくなります。
一方、悪い面は2点あります。1点目は、与えられた仕事にしか取組まない傾向が出やすいことです。たとえば、職務分掌に記載されていない清掃は清掃担当者の仕事であると考え、自分の作業場の近くにゴミが落ちていても拾わないことがあります。これは、日本企業が得意とするカイゼンや5Sにも影響します。2点目として、その場で自分が対応できるか不確かな仕事に対しても、相手を安心させようと“It's OK, no problem.”(問題ありません)と返答する場面がみられることです。
これには注意が必要です。実際には“No problem.”と答えておきながら、後で知り合いに聞いたり、調べて対応することもあります。この背景には、相手を安心させるための言葉を選ぶ傾向があると言われます。〔要確認:返答習慣に関する一般化。現地知見でご確認ください〕
日本人にも「はい、わかりました」とばかり答えるイエスマンが多いとよく言われます。日本人は言い方や表情で自信のなさが読み取れる場合も多いのに対し、自信を持って答えられると判断がつきにくいことがあります。“I see. No problem.”(わかりました)は、「やってみます」くらいの意味で捉えたほうが無難な場合があります。
書類選考や面接などの際には、語学能力について確認することも必要です。募集をする現地労働者に英語力を要求する場合には、筆記試験の実施や合格証明書などで、その能力を確認します。
[労働条件明示書]
書類選考や面接を経て、応募者に内定を出す際には、内定通知書(Offer Letter)を提示します。内定通知書を提示する際には、単に労働条件等を伝えるのではなく、内定の理由、自社で働いてほしい理由、自社がミャンマーで企業活動を行っている業務の目的や社会的意義、本人の志望動機とのすり合わせを行うことで、求職者の入社率を高めることが大切です。
応募者が入社の意思を示した場合には、労働条件明示書(Appointment Letter)の提示、雇用契約書(Employment Contract)の締結、就業規則の確認を行います。ミャンマーでは、雇用契約書は当局(労働事務所)が提示するひな形(標準雇用契約書テンプレート)を利用することが実務上求められるため、企業によっては、雇用契約書の他に、自社で独自の就業規則を作成しているところもあります。
[試用期間]
ミャンマーでは労働者保護が強い傾向にあり、雇用契約書のひな形においても解雇について厳格に規定されています。そのため、労働者の雇用にあたっては、試用期間を十分に活用して、雇用のミスマッチを防ぐことが大切です。
雇用及び技能向上法(ESDL 2013)自体は試用期間の詳細を定めていませんが、標準雇用契約書テンプレート上、試用期間は最長3カ月とされています。また、試用期間中の賃金は**基本給の少なくとも75%**を支払う必要があります(最低賃金を下回る扱いが認められるのは、この75%基準の範囲かつ試用期間中に限られます)。
試用期間が終了し本採用をする場合には、事前に本採用決定通知書(Confirmation Letter)を明示することが望ましく、同様に不採用の場合には、最低でも1カ月前にその旨を通知することで、トラブルを防ぐことが大切です。また、試用期間中の退職通知期間については1週間程度と、正社員と比べ短く設定しておくことが、被雇用者および雇用者双方にとって良い条件となります。
就業規則
日本では常時10名以上の労働者を雇用している事業場の場合、労働条件や服務規定など、会社と従業員の決まりごとを就業規則によって明文化することが義務づけられており、会社は就業規則を労働基準監督署に届け出ることになります(労働基準法89条)。
ミャンマーの就業規則は主に三種類あります。
- 雇用及び技能向上法(The Employment and Skill Development Law, 2013)によって規定されている雇用契約書(Employment Contract)
- 企業で作成し従業員に開示するCompany Regulation、Employee Handbook、HR Policy
- HRの担当者が実務的に用いるHR Manual(従業員開示内容に比べ、より複雑な手順等が記載されている)
※企業の規模および条件によって②および③の作成のない会社もある
Employment Contractでは、役職、労働時間、シフト制、休日、始業・終業の時刻、雇用の終了、停職または解雇、違法行為などの労使双方の権利・義務について規定します。ほとんどが法務および労務に関わる内容となります。就業規則はHR PolicyやCompany Regulationの名称で作成するケースが多くなります。
規定する労働条件は、事業所の業種や人数によって、店舗及び商業施設法や工場法で定める労働条件以上の条件を盛り込みます(小規模店舗法や工場法の詳細については、8章を参照)。
就業規則に規定する項目の例として、下記が挙げられます。
[雇用契約書の作成・届出義務]
雇用契約書の作成・届出義務はすべての企業が対象となります。各事業所は郡労働事務所に雇用契約書を届け出て、許可を受けなければなりません(ESDL 2013 第5条)。
[雇用契約書に関する罰則]
雇用契約書の作成を怠り、採用から30日以内に届出を行わない場合には、6カ月以下の懲役、または罰金、もしくはその両方が科せられます(雇用及び技能向上法(ESDL 2013)第38条)。
また、記載内容については郡労働事務所に提出する際に職員により確認がされ、ひな形と異なる文言がある場合には許可されないことが往々にしてあります。
[ノンワークマンの取扱い]
労働法上、ノンワークマン(Non-Work Man)は、就業規則や労働法の適用外となります。したがって、ノンワークマンについては、個別の契約において雇用関係、権利義務などを定めることになります。
[就業規則・服務規程作成の準備]
ミャンマーにおける就業規則作成にあたっての要検討事項は、下記のとおりです。以下の表を参考に、事前に検討しておくことで、スムーズに作成することができます。
【就業規則作成時の検討項目】
重要度の凡例 ◎:必須項目/○:推奨項目/△:参考項目
会社規定
No. | 条項 | 重要度 |
|---|---|---|
1 | 就業規則の目的 | ◎ |
2 | 会社理念・行動指針 | ◎ |
3 | 従業員の種類 | ◎ |
4 | 道徳(社員としてあるべき行動や態度) | ◎ |
5 | セクシャルハラスメント規定 | ◎ |
6 | 規則の提示方法 | ◎ |
従業員規定
No. | 条項 | 重要度 |
|---|---|---|
1 | 採用の手順 | ◎ |
2 | 入社時に従業員へ実施する事項 | ◎ |
3 | 試用期間 | ◎ |
4 | 等級表、役職表 | ◎ |
5 | 給与支給日 | ◎ |
6 | 就業時間 | ◎ |
7 | 遅刻の扱い | ◎ |
8 | 欠勤の扱い | ◎ |
9 | 制服、ドレスコード | ◎ |
10 | 苦情申出の手順 | ◎ |
11 | 違反行為の懲戒手順 | ◎ |
12 | 辞職 | ◎ |
13 | 機密保持 | ◎ |
福利厚生および手当
No. | 条項 | 重要度 |
|---|---|---|
1 | 有給休暇の取扱(取得日数/残日数の扱い/取得ルール) | ◎ |
2 | 産休 | ◎ |
3 | 祝日 | ◎ |
4 | 残業の取扱(代休を含む) | ◎ |
5-1 | 帰省手当 | ○ |
5-2 | 医療費補助 | ◎ |
5-3 | 従業員積立基金および従業員年金基金 | ○ |
6 | 退職金規定 | ◎ |
7 | 通信費 | ◎ |
8 | 出張旅費 | ◎ |
9 | 転勤手当 | ○ |
10 | 会社所有物規定 | ◎ |
11 | 従業員の誕生日および記念祝賀規定 | △ |
12 | 部門別親睦会および創立記念日 | △ |
人事評価および教育制度
No. | 条項 | 重要度 |
|---|---|---|
1 | 評価基準 | △ |
2 | 教育 | △ |
3 | 社員からの提案受け入れ | △ |
4 | 表彰制度 | △ |
以下に具体的な記載内容のポイントを解説します。
給与と経費(Salary And Expenses) 職務分掌や給与構成の詳細、勤務時間などは、別紙(Annexure)として記載するケースが多くなっています。
解雇(Termination) 解雇の具体的な条件などを規定します。日本においても、雇用契約解約に際しては、遅くとも1カ月前までに互いに通告する旨を就業規則に記載しますが、ミャンマーでも同様に1カ月前に通知をするか、もしくは1カ月分の給与を支払い即時解雇することが可能となっています。どのようなときに普通解雇・整理解雇・懲戒解雇をするかについて、具体的なケースを記載しておくことが望ましいでしょう。また、有期の労働契約の場合には、契約満了の前に更新/改定または終了について通知をする必要があります。
利益相反(競業避止義務)(Conflict Of Interest) 他の企業に雇用されたり、競合するビジネスに関与することを禁じる項目を記載しておく必要があります。また、Continuing Obligations(守秘義務の退職後の継続)のように退職後の禁止事項を規定している企業もみられます。なお、競業避止・非勧誘条項は、郡労働事務所がひな形からの逸脱とみなし登録を認めない場合もあるため、事前確認が必要です。
労働者の就労に係る重要な事項ですので、事前に十分な準備と検討を重ねて就業規則を作成することが肝要です。
[ミャンマーの雇用慣行に関する留意点]
就業日や休日、有給休暇の管理をする際には、日本とミャンマーの違いに留意する必要があります。ミャンマーでは、工場法・店舗及び商業施設法で週の法定労働時間が44時間〜48時間(工場は週44時間、特定目的で最大48時間。店舗・商業施設等は週48時間)となり、製造業においてもその他サービス業などにおいても多くは土曜日も営業日です。そのため、有給休暇や傷病休暇の取得率は日本と比較すると高くなる傾向があります。
たとえば、日本人の場合、企業の繁忙期や突発的な顧客対応が必要な場合には、有給休暇の取得時期をずらすなど、組織や仕事を優先した行動を取るのが一般的とされます。一方、ミャンマーでは、会社の状況にかかわらず家族や宗教の行事を優先する場面が比較的多いと言われます。〔要確認:休暇取得の優先順位に関する記述。現地知見でご確認ください〕週6日勤務にして、必要な労働日数を確保している日系企業も多くみられます。ミャンマー人を管理する日本人社員は、日々の労務管理の場においても、このような現地の雇用慣行に注意する必要があります。
ミャンマーの祝日(Public Holiday)は、政府が毎年官報(Gazette)で告示します。仏教暦(太陰暦)に基づく祝日が複数あるため日付・日数は年によって変動し、近年は告示される休日が概ね20〜30日程度となっています(一例として、2026年の告示では計32日とされています)。また、ティンジャン(水祭り)、タディンジュ、タザウンモンなど太陰暦に依存する祝日は、暦委員会の告示により日付が直前に前後することがあります。
なお、日本と異なり、祝日が土曜・日曜に重なっても自動的に振替休日になるとは限りません。内閣府(Cabinet Office)が観測日=振替日を別途告示する場合もありますが、法律上一律のルールではなく、各社の就業規則・実務運用に委ねられる部分が大きい点に注意が必要です。各企業はこれらを踏まえ、毎年初めに業務カレンダーを作成・周知する必要があります。〔要確認:最新年の官報告示で、祝日日数および土日重複時の振替の有無をご確認ください〕
雇用契約書
前述のとおり、ミャンマーで雇用契約書の作成と届出が義務付けられているのは、原則としてすべての企業となります。上記雇用契約書には労働条件や服務規定その他の項目が定められています。そのため、ミャンマーでは、日本に比べて(別途の)就業規則を作成していない企業が多くあります。
雇用契約書に記載する項目として規定されているのは以下の通りです。
【雇用契約書の規定項目】
No. | 項目 |
|---|---|
1 | 役職 |
2 | 試用期間 |
3 | 給与 |
4 | 勤務地 |
5 | 契約期間 |
6 | 就業時間 |
7 | 休暇日数、休日日数 |
8 | 残業について |
9 | 食事手当について |
10 | 住宅手当について |
11 | 医療手当について |
12 | 通勤及び出張時の車の手配について |
13 | 就業規則 |
14 | トレーニングコース参加者の最低就業期間 |
15 | 退職と停職について |
16 | 契約期間満了時の対応 |
賃金制度
[成果主義を補完する賃金制度]
ミャンマーでは採用後、従業員が自ら就業する企業で成長をしていくためには、賃金、評価、教育が一体となった制度づくりが重要です。中でも賃金制度には、企業が求める人物像を明示する重要な役割があります。大切なのは、賃金の分配の仕方に、会社としてのメッセージを込めることです。
ミャンマー国内で長期的に成長している企業は、従業員全員が会社の理念を共有し、それを実践する従業員を評価しています。短期的には売上や業績に貢献しても、長期的には組織の成長を阻み、または混乱させる人には、特に注意が必要です。
そのためにはミャンマーにおいても「禄」と「格」という考えに基づいて分配と処遇を行うことが有効です。禄と格は、日本において、どのように人を動かし成果に繋げるのかを論じる中から発展したマネジメント手法です。
同じように成果を上げても、優秀な管理者としての能力を持たない者には禄のみが与えられ、管理者としての能力の高い者には、組織を動かすための格が与えられました。
この考え方は、現代におけるミャンマーの評価制度でも同様に応用することができます。給与の分配は、評価制度における短期的な目的のために、一定の期間の売上や利益への貢献で分配額を決定します。つまり一定期間の業績に対する貢献を禄(=賞与や業績給)という形で反映させます。しかし、重要なのは短期的ではなく長期的に会社への貢献ができる社員です。組織を作り、部下や周囲を巻き込んで会社を成長させることができる人材をこそ、重要なポジションに充てるべきです。
格とは、昇給や昇進を意味します。格決定の際に、どのような人材を評価するかは、会社としてどのような人材を優秀な人材と定義しているのかを全社に示すことでもあります。ミャンマーで企業理念を浸透させ、会社に対する忠誠心を育てることは容易ではありませんが、志向性評価制度として成果主義を補完する仕組みづくりをすることは、長期的な売上・利益を生み出し、成長性の高い企業に成長させるポイントになると言えます。
次に、具体的な給与や賞与への分配について考えます。ミャンマーにおいても、基本給のほかに、役職手当、業績手当、賞与※、その他家族手当、住宅手当等があります。賞与の支給月数は、職種に応じて平均1〜3カ月分となっています。
※すべての会社が支給をしているわけではない。
[長期的な賃金と短期的な賃金]
ミャンマーでも、給与や手当は長期的な賃金と短期的な賃金に分けて考えることができます。短期的な業績を測る項目による評価点数は、業績手当や賞与により大きな金額で加算し、長期的な評価項目による評価点数は、基本給や役職手当に大きな金額で加算することが重要です。また、役職への登用も、長期的な評価項目による評価点の配分を大きくします。
【長期的/短期的な評価項目と賃金の関連性】
区分 | 該当する賃金 |
|---|---|
長期的な賃金 | 基本給、役職手当 |
短期的な賃金 | 業績手当、賞与 |
たとえば、短期的な評価が高く長期的な評価が低いAさんと、短期的な評価が低く長期的な評価が高いBさんの分配の例を考えてみましょう。
このような場合、Aさんは業績手当や賞与は多く支給されますが、基本給の上昇や役職への登用はあまり行われず、結果として役職手当も上がりません。一方のBさんは、業績手当や賞与はAさんと比較すると低い金額となりますが、基本給が上がり、役職に登用され、役職手当が上がります。このように、長期的に会社がどのような人物を求めているのかを明確にし、賃金の分配もその方針に沿って行うことで、統一されたメッセージを発信していくことができるのです。
〔参考:最低賃金〕 ミャンマーの最低賃金は最低賃金委員会が改定します。2024年8月時点では、従業員10名以上の事業所について日額6,800チャットとされています。最低賃金は改定されるため、賃金設計の際は最新の告示を確認してください。〔要確認:執筆・改訂時点の最新最低賃金額〕
人事評価制度
人事評価制度の問題点
これまで中国をはじめとする新興国において、日系企業がとってきたビジネスモデルは、新興国の安い労働力を活用してモノを作り、日本など先進国の市場に輸出することが中心でした。そのため、現地で製造する製品は、日本製と同じ品質のものが安く製造できればよかったのです。
しかし、2008年以降、中国が輸出型から内需振興型に転換したことや所得が上昇してきたことをきっかけとして、日系企業が新興国をマーケットとして見る動きが加速しました。
ミャンマーに進出する日系企業も、その多くはミャンマーでの国内売買または近隣諸国への輸出を目的としています。そのため、日系企業としての品質を保ちながら、ミャンマーにあった価格帯の製品づくりやサービスを行う必要があります。この影響はミャンマーでの韓国との競合に顕著にみられます。日系企業の多くの製品やサービスは高品質なだけでなく高価格です。
一方、韓国企業は日系企業より製品の品質は劣る面があっても、価格を安くすることで、相対的に価値のある商品を提供しています。また、家電製品に関しては、長期の無償保証期間を設けることで、品質に対する不安を払拭させました。
この結果、日本製品は品質は良いが価格が高く、中国製品は安いが品質は劣り、韓国製品は安く品質も問題なしと評価され、ミャンマーで受け入れられたと言われます。
日系企業がミャンマーで成功するためには、ミャンマーの市場に合わせながらも、他国企業との差別化を図ることが重要です。そこで、それを支える人事制度をいかに機能させるかがポイントになります。
人事制度構築の影響は、企業の賃金にも及びます。人事制度を構築するにあたっては、優秀な人材ほどキャリアアップを求めて絶えずより良い条件の職場へと転職するという、日本の終身雇用的キャリアプランの考え方との違いに注意をする必要があります。
ミャンマー人はもともと転職率が高く、より高収入を目指して転職を繰り返す「ジョブホッパー」が比較的多いと言われます。そのため、多くの企業が人材の定着を図るために賃金を上げて対応しています。
また、ミャンマーでは同じ時期に昇給を行うと、結託して団体交渉をされる可能性があります。その対策としては、社員ごとに入社から1年おきのタイミングで昇給を行うなどが考えられます。
さらに、日本とミャンマーにおける根本的な人事評価制度の違いも、賃金の高騰を招きます。
そもそも日本における評価制度は上司が部下を評価し、社員はその評価に従うことが一般的です。「あなたの評価は○○です。したがってあなたの給料は○○になります」というように、部下をどう評価するかは上司の判断によるところが多く、また部下もその評価結果に黙って従うことがほとんどです。
一方ミャンマーでは、社員が自己評価をし、会社に交渉するのが一般的です。つまり「自分は今期これだけのことをした、だから給料は○○にして欲しい」というように、社員が会社に対してかなり積極的にアピールします。昇給基準についても、年功序列より能力評価や実績評価を重視した基準を望む傾向があります。
【日本とミャンマーの人事評価制度の違い】
観点 | 日本 | ミャンマー |
|---|---|---|
評価の主体 | 上司が部下を評価 | 社員が自己評価し会社に交渉 |
評価への姿勢 | 部下は評価結果に従うことが多い | 社員が積極的にアピール |
望む昇給基準 | 年功序列の要素が残る | 能力評価・実績評価を重視 |
このように、日本企業の場合、ミャンマーの経済的背景以上に、こうした両国の人事評価制度の違いが、賃金の高騰を招く大きな要因となっています。
ミャンマーの現地スタッフには「安定した職場で勤め続けたい」という志向を持つ人も多く、これは「解雇されにくい日系企業で安定して働きたい」という人が日系企業を選んでいる傾向の表れとも考えられます。〔要確認:前段の「転職率が高い/ジョブホッパー」という記述との整合。現地知見で、転職傾向と安定志向のどちらがどの層に当てはまるかご確認ください〕
したがって、比較的安定した日系企業の中で本人の能力や実績を正しく反映させる人事評価制度を導入することで、現地スタッフの定着率の改善を図ることが可能と言えます。
日本の労務管理とミャンマーの従業員の特徴
ミャンマーでの評価制度を構築するにあたり、まず、日本の人事評価制度の変遷を見てみます。日本においては、バブル崩壊までは、終身雇用・年功序列とともに学歴主義がありました。この頃は、モノが売れて、個人の能力より組織の能力により会社の業績が決まった時代です。
そのため、会社が求めるものは、何か特別に対処しなければならない事象が発生したときの問題解決能力を有する人が重要視され、普段の経営成績を測定する意義は乏しかったと言えます。問題解決能力は人間の根本的な能力ですが、これを測定することは非常に困難であり、結果として学歴という目に見える指標が重視されました。
バブル崩壊後、特に1995年以降、長期にわたる不況の影響を受けた日本では個人の成果が重要視されることとなり、結果として成果主義を取り入れる企業が多くなりました。
ところが、成果主義の弊害として、既存事業と比べて成果の出にくい新規事業にかかわる社員に対する公平性の問題や、短期的思考に陥りがちになるなどの問題が発生しました。そのため成果主義を見直す企業も多くなりました。早くから成果主義を導入した企業として知られる富士通でも、こうした問題が生じたことで、その運用を見直しています。
【日本の評価制度の変遷】
そうした中で、成果を生み出す原因、すなわち行動(プロセス)に着目する企業も増えてきました。コンピテンシー・モデルに代表されるような行動自体を評価対象として取り入れるものです。
これは、良い行動が良い成果を生むという考えに基づくものです。成果と行動には因果関係があります。成果は外的要因と内的要因によってもたらされますが、我々を変化させるのは内的要因だけです。内的要因は、我々自身の行動を変化させることによって変えることができます。つまり、結果を変えるには、行動を変えることが重要なのです。
このように考えれば、行動の変化に着目したコンピテンシー・モデルは、結果ではなく原因に着目したものであり、非常にすぐれた側面を持っていると言えます。
【成果主義とコンピテンシー・モデル】
区分 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
成果主義 | ・最終業績に繋げるために熟考するので、経営革新や業務改革に結びつけることができる<br>・業務革新へのチャレンジ精神を促す<br>・具体的行動と成果の尺度の洗い出しが行動の実現に繋がり、競争力の高い会社となる | ・貢献度によって報酬が決まるため目先の業績に目が向き、全体最適ではなく部分最適に意識が向いてしまう<br>・連帯感がなくなり、全体最適を取る人にとって不公平感を高めることになる<br>・失敗と報酬が連動するため、目標設定が無難になり、チャレンジしない風土になりかねない |
コンピテンシー・モデル | ・結果だけでなく社員の行動を把握でき、職務ごとに求められる能力行動を示し、能力開発を促せる<br>・求める人材の能力要件を明確化できる<br>・客観的な評価基準を導入でき、評価の透明性が高まる<br>・自己評価と高業績者の水準を比較することで、自己啓発すべきポイントが明確になる | ・客観的な評価項目を設定するのが困難である<br>・能力要件が社内で統一・明確にされていないと誤ったメッセージ発信に繋がりかねない<br>・特定項目で良い成績を出すことに注力しすぎ、全体最適化に繋がらないことがある |
しかし、多くの企業ではプロセス評価もまた、機能させることが困難でした。業務プロセスが部門ごとに異なるので、あるべき行動を定義することが難しいだけでなく、測定にもまた恣意性が介入します。
さらに、良い結果を出すべき行動を網羅することも困難です。結果としてコンピテンシー・モデルは複雑化し、運用段階で失敗するケースが多く見受けられます。
あるべき人材としてのビジョンを共有し、それを実現させることを評価制度の本質と考えれば、成果のみを評価するような成果主義や、行動のみを評価するコンピテンシー・モデルも、本来の評価制度の目的には合致していないと言えます。
評価制度のポイント
評価制度を構築するためには、次の3つを決めることが重要です。
- 「評価対象」(成果、行動、考え方、能力 等)の決定
- 「測定方法」(インタビュー、評価シート 等)の決定
- 「分配」(給与・賞与への反映・昇進 等)の決定
「評価対象」の決定とは、「何を評価するのか」を決めることです。三項目のうち、評価の対象を決定することが最も重要なポイントとなります。何を評価するかの定義付けは、社員が成長すべき方向性を示し、ビジョン達成のために会社が求めている人物像を明確にすることになるからです。
また、評価には客観性が求められるため、客観的に測定しやすい評価対象、つまり定量化できるものが評価対象として選択され、定性目標がおざなりになってしまうケースが往々にしてあります。定量的な指標と定性的な指標の両方の視点から評価をしていくことが大切です。
「測定方法の決定」とは、「評価対象を誰がどのように評価するか」を決めることです。通常、評価を行うのは上司です。上司からの評価のみでは評価が主観的になされる傾向があり、360度評価など上司以外の視点を取り入れる企業もあります。ただし、360度評価は被評価者が好き嫌いで判断されたり、相対評価となる可能性を孕んでいます。自分自身の認識と上司との認識の違いを明らかにし、今後の変化を生みだすために、自己評価を導入することも有効です。特に、評価制度を人材育成に活用する際には、自己評価を導入するケースが多くあります。
最後の「分配の決定」とは、「評価結果をどれくらい社員へ分配するのか」を決定することです。会社レベルでは、全体賃金管理として労働分配率の目標値を決めることであり、個人レベルでは、評価を給与等へどれくらい反映させるかを決めることです。また、前述のように、給与の各手当や賞与などの分配に意味合いをもたせることも大切です。
このように、「評価対象」「測定方法」「分配方法」の3つを決定することが、評価制度を構築する上での基本となります。中でも「評価対象」は、会社の「求める人物像」を社員に伝えるメッセージとなるため、特に重要です。
通常、評価制度には主に2つの目的があります。第1は「分配」、つまり賃金を決定することです。評価を行い社員に対し給与をいくら払うのかを決定することで、一般的にはこれが主たる目的と考えられています。評価結果に基づき給与を決定することは、組織全体で見れば能力に応じた利益の分配となります。これにより、社員の毎年の処遇が明確になるので、短期的にみて必要不可欠な目的です。
第2に、会社として優秀な人材の定義を行い、それを社員に知らしめることです。評価の目的としては忘れられがちですが、長期的観点からは非常に重要なものです。これは「昇進」を決定する基礎になる概念です。会社にとって必要な人材に役職を与え昇進させることには、会社の求める人物像を社員に知らしめる役割があります。
ミャンマー人は、ポジション(役職)を重視する傾向があると言われます。高いポジションにつけば、次の転職に有利になるためです。社員の離職率を抑えるためにポジションを与えることは重要ですが、安易な昇進の決定は、組織の混乱を招きます。〔要確認:ポジション重視に関する一般化。現地知見でご確認ください〕
会社が定義する優秀な人材との違いを評価結果として社員にフィードバックすることは、社員の改善を促し、社員の育成にも繋がります。長期的な視点では、この第2の目的がより重要なもので、教育制度とリンクさせて考えるべきものと言えます。
第1の目的である「分配の決定」は、第2の目的である昇進する優秀な人材の定義があってはじめて公正な決定ができるとも考えられます。つまり、評価制度の構築の本質とは、「組織の理想とする人物像を制度に反映させ、維持すること」なのです。
優秀な人材の定義付けが正しくできれば、海外法人で人を採用する際の基準にもなります。また、人事評価制度や教育にも会社の定義する優秀な人材の人物像を反映させることで、透明性の高い組織の構築が可能となります。これにより、現地スタッフの給与の上昇や社員の定着率の低下といった問題を防ぐことができるのです。論理的に説明をし、納得させることが重要です。
成果主義による評価
現在、ミャンマーにおける人事評価は、成果主義が中心です。ミャンマー人の志向からしても、成果主義は比較的マッチした考えと言えます。現地に合わせた人事評価制度づくりのポイントは、この成果主義を活用することです。特に個人の短期的で明確な目標に基づいた成果や行動を評価していくことが有効です。このときの評価項目は、定量化できる指標を選択することが大切です。ミャンマー人は、自分の評価結果がなぜそうなったのかという根拠を知りたがる傾向にあるからです。
たとえば、国際事業におけるサービスにおいて、「スピード&クオリティ」を掲げる企業があるとします。そこで、個人の成果を評価する指標のひとつにスピードがあります。提供するサービスの納期について提出日前日に提出することを目標設定します。これが達成できたかどうかは評価対象の一つとなりえます。
定量的評価を行わないと、「納期に間に合わなくても、いずれできるから問題ないだろう」と考えられてしまう場面もあります。〔要確認:時間感覚に関する記述。現地知見でご確認ください〕
明確な目標による評価の注意点としては、必ず結果に基づき評価し、決して期待で評価してはいけない、ということです。日本のマネジャーは、従業員に対する期待を上乗せして込めて給料を上げることがよくあります。
これを受けて、ミャンマー人は給料が上がったのは自分の成果が認められたからだと解釈します。ひとたび「自分の仕事ぶりが認められた」と感じると、仕事への取り組み方を変えようとはしない場合があります。改善すべき部分があるのなら、明確にフィードバックする必要があります。日本に特有の以心伝心は通用しにくいと考えたほうがよいでしょう。
成果の項目については結果で評価すると同時に、従業員の要求が自分の評価よりも高い場合には、次回の評価に際して明確な目標を掲げさせることを条件とするのが有効です。
たとえば、現在の給与の月額が20万チャットであるミャンマー人スタッフに対して、会社としては20万3,000チャットまでの昇給を考えているが、本人は20万5,000チャットを要求してきた場合、「20万5,000チャットにするためには○○をしてください。○○ができたら20万5,000チャットにします」と具体的な目標管理、会社として求めている成果・行動と結びつけることで、評価の納得性を持たせることができます。
このような短期的な成果による分配は、賞与や業績手当などで支給するのがより望ましいと言えます。
一方、成果主義だけで評価を行うと人材の流出を招きやすく、金銭面だけの繋がりになる傾向があります。日系企業として差別化を図っていくためには、日系企業としての経営理念の追求が必要です。そのためには、経営理念を促進するための制度づくりが必要です。
日本の企業は職務範囲があいまいであることが特徴として挙げられます。チームビルディングにおいては、あいまいさが致命傷となることもあります。日本では、自分の職務範囲を自ら大きくし、責任範囲を広げられる人が評価され、マネジャーになる傾向があります。
たとえば、勤務中に席を離れて私用でスマートフォンを使うスタッフがいて、仕事の効率にも影響するため、同僚のミャンマー人に注意するよう促したところ、そのスタッフは「注意するのはマネジャーの仕事ではないのですか」と答えた、という場面があったとします。確かにそのとおりで、本来注意するのはマネジャーの仕事であり、同僚の仕事ではありません。
そこで、上司はそのスタッフと話し合いました。「自らの職務の範囲を広げられる人がマネジャーになれるのです。あなたはマネジャーを目指していますか? もしマネジャーを目指しているのであれば、今からあなたの職務範囲を広げてみてはどうでしょうか」と聞いてみました。すると、そのスタッフは「もちろん、やってみます」と言って、管理者的な行動を取るようになりました。
マネジャーに昇進する人は、昇進する前から管理者としての行動ができる人です。マネジャーに昇進すれば管理者としての役割が求められますが、その役割を十分に果たすためには、マネジャーになってからでは遅いのです。管理者意識は、管理者になる前に植え付ける必要があります。
このように、日本の企業に見られる職務範囲のあいまいさを保ち、ミャンマー人に広い職務範囲での仕事をしてもらうためには、なぜそのようなあいまいさや広い職務範囲が大切なのかを十分に説明することが大切です。
また、日本人は相手の悪いところを具体的に指摘することが苦手な傾向があります。日本人のマネジャーが、評価の際にミャンマー人に対してできていないところを明確に伝えないために、ミャンマー人が不満を持つケースもあります。評価のフィードバックには客観的な指標が重要であり、360度評価を導入し、マネジャーから見えない情報を入手することも有効です。
360度評価制度では、通常の評価者である上司のほかに、同僚からの評価と自己評価を行います。一般に自己には甘く他人には厳しい評価をしがちな傾向は各国共通でみられますが、360度評価は、日本人が気付かないポイントを知ることができる可能性がある手法と言えます。〔要確認:自己評価・他者評価の傾向に関する記述。現地知見でご確認ください〕
自己評価と上司や同僚からの評価の違いを明確に示し、客観的な指標で評価することで、評価の透明性と納得性を保つことができます。
志向性評価
次に、教育システムを構築するために重要な役割を果たす評価制度について見ていきます。現在まで企業で採用されてきた評価制度は、能力、成果や行動など、その時どきの経営環境や情勢の変化に応じて変化してきました。
しかし、評価が本来持つ意味からすると、市場や情勢の変化に応じて分配の量が変化したとしても、長期的な観点から会社として評価すべき人は変わらないはずです。
人間の行動は、その考え方、つまり「志向性」に依存します。どのような行動をするかは、どのような考え方(志向性)をしているのかによって決まります。志向性が正しければ、目的にあった行動が取れます。この発想からすると、行動自体を規定する必要はありません。その原因となる志向性が正しければ、経営環境に応じて最適な行動を取ることができるはずです。これは、コンピテンシー・モデルの弱点を補う考え方と言えます。ミャンマーで日系企業が差別化を図っていくためには、志向性評価を導入することが有効と言えるでしょう。
元マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授は「組織の成功循環モデル」を提唱し、人の考え方を変化させるためには信頼関係(関係の質)の構築が重要で、お互いの関係構築のためにはコミュニケーションを変化させることが必要であると述べています。
良い結果を出すためには、行動を変化させることが必要です。良い行動を取るためには、その行動を取ろうとする意識、考え方自体を変化させなくてはなりません。何を意識するかによって、取る行動が異なるからです。
意識を変化させるためには、お互いの信頼関係を変化させなくてはなりません。何を言われるかではなく、誰から言われるかによって人間の行動は変化します。信頼関係のない人から言われても、素直に従うことはありません。社員の意識を変化させるためには、まずは、信頼関係の変化に着目する必要があります。
信頼関係の形成は、やがて意識、行動そして結果の変化へと繋がっていきます。そして良い結果はさらに良い関係を生み、プラスの成長循環が起こるのです。
たとえば、過去に評価制度を見直した会社も「思うように人材が成長しない」という問題に直面することがあります。これは評価制度の整備はできているものの、運用がうまくいっていないことが主たる原因でした。評価制度は整備するよりも運用することの方がはるかに難しいと言えます。
多くの会社ではすでに、評価項目の中に志向性に当たる定性目標が取り入れられていますが、定性目標よりも定量目標に偏重されがちです。これは、評価制度では客観性が重要視されるため、計量的に測定することが困難な定性目標は、評価対象として軽視される傾向があるからです。
さらに、評価者に定性目標で管理・評価を行う能力が乏しい場合や、評価者自身が定性目標の意義を十分理解していないことが原因で、正しく評価して社員にフィードバックすることができないケースもあります。
結果として、評価が教育と結びつかず、賃金を決定するためだけに用いられる傾向が強くなったのです。
ミャンマーにおける評価についても、同様のことが言えます。ミャンマーに進出した日系企業では、日本におけるミドルマネジメント層がミャンマーのマネージング・ディレクターとして現地スタッフをマネジメントし、経営をしていきます。日本ではいわゆる中間管理職であった人が、現地ではトップマネジメントを行わなければなりません。そのため、日本の親会社との間に視点の違いや温度差が生じてしまう恐れもあります。
特にミャンマーの現地法人では、日本の親会社と異なる成果主義的な評価項目で評価される傾向が強くあります。成果主義そのものは、ミャンマー人が好む評価方法ではありますが、結果として人材育成機能を持たない評価方法に陥っているケースが多数見られます。
長期的に成長している企業は、必ず会社の理念を共有し、それを実践できる社員を評価しています。短期的には売上を上げるが、組織の成長を阻み、また混乱させる人には特に注意が必要です。
人材育成制度
ミャンマーにおける人材育成
前述の5Sなど、企業が大切だと考えることを社員も同様に大切だと考えるようにするには、企業理念・哲学を社員と共有し、行動や結果に繋げる必要があります。そして、評価制度と結びつけ、5Sを徹底することで本人にどんなメリットがあるのかについて説明をします。評価制度で5Sについての項目を設け、その志向性を測っていくことも有効です。
志向性評価は、社員の目標設定や仕事に対する考え方が、会社の目指しているものと一致しているかどうかを評価することを意味します。したがって、志向性が高いことは、会社の目指しているものと同じ考えのもとで行動することに繋がります。志向性評価のメリットは、どんな部門でも導入可能であること、そして会社が必要とする人材の育成に結びつけることができるということです。
これまで多くの企業では、成果を求めるあまり、結果にウェイトを置いた評価がなされました。その結果、評価の2つの目的のうち賃金の分配ばかりに焦点が絞られてきたのです。
しかし、成果や結果ばかりに着目しても、組織の成長には繋がりません。組織の成長のためには、原因となる社員の考え方に着目しなくてはなりません。評価結果のフィードバックは、社員とのコミュニケーションであり、教育機能を持ちます。これにより、社員と企業との間で価値観の共有ができるようになり、結果として組織力の向上を図ることができます。
では、志向性評価を実施した後に、どのような教育をしていく必要があるのでしょうか。ミャンマー人の多くは、働く目的を「家族のため」と考えていると言われます。しかし、日系企業がミャンマーで製品・サービスの質を保つためには、社員の働く目的が「顧客のため」でもあることを理解させる必要があります。〔要確認:働く目的に関する記述。現地知見でご確認ください〕
志向性評価では、顧客に何を与えるのかという理念やビジョンがどの程度共有されているのかを、数値化することによって「見える化」し、教育機能を兼ね備えたフィードバックを組み合わせて行います。
会社は顧客や社会に対して、何かを与えることを目的として企業活動を行っています。これは会社の経営理念に反映されます。その結果、対価として利益を得ています。社会的役割を考えれば、企業の目的は利益を得ることではなく、社会に対して価値を提供すること、つまり経営理念の実現こそが本来の目的のはずです。
しかし、製品やサービスを通じての社会に対する価値提供は目に見えないものであるため、目的がどの程度達成されたのか直接測定することができません。一方、価値提供の対価である利益は、客観的なものとして測定可能です。
価値提供とその対価は、本来、等価交換と考えられるため、究極的には、社会に対する価値提供の大きさは対価によって測定することが可能です。
成果主義とは、対価を測定し評価に結び付けた発想と考えられます。これに対してコンピテンシー・モデルは、いかなる行動を取るべきか、つまり企業の中のベスト・プラクティスを定め、その実践度合によって評価を行うものです。
成果主義とコンピテンシー・モデルの最大の違いは、成果主義が「結果」を評価するものであるのに対して、コンピテンシー・モデルは「原因」を評価するものであるということです。コンピテンシー・モデルの最大の問題点は、ベスト・プラクティスそのものが職種により多岐にわたり、細かく規定することが非常に複雑かつ困難なことです。
そこで、志向性評価では、本来の目的である会社の経営理念・ビジョンと社員の働く目的のすり合わせに主眼を置いています。行動そのものを規定するのではなく、考え方の共有を行うことによって、社員は状況に応じて、自らベスト・プラクティスは何であるかを判断できるようになります。
コンピテンシー・モデルと志向性評価は、同じ原因を評価するものです。しかし、行動は志向性に影響されるため、望まれる行動を実践するためには、望まれる志向性が必要になります。
この志向性評価は、コミュニケーションを取りながら評価と教育(フィードバック)を合わせて行うことができるため、目標管理制度(MBO)とリンクさせることが可能となります。目標管理は、P・F・ドラッカーが「学習する組織」を作る手法として提唱したものです。日本でも多くの企業が導入しましたが、運用に失敗しているところが多く見られます。
その最大の理由は、目標管理を評価・査定と直接結びつけたことです。評価と結び付けるには客観性が要求されるため、目標管理が行動の管理だけでなく、結果の管理にも利用されました。
しかし、目標管理の最大の目的は「学習する組織」を作ることであり、そのためには会社の理念・ビジョンを明確化し、社員とのコミュニケーションを通じて、自らあるべき行動を取れるようにすることです。
その意味で、志向性評価はP・F・ドラッカーが提唱した「学習する組織」を実現するための評価方法と言えるのです。
企業の目的は、究極的には利益の追求ではなく、経営理念の実現にあるはずです。利益は、その達成度を測定するための道具にすぎません。経営理念の実現のためには、社員が組織目標を共有することが最も重要です。
会社のビジョンを個人レベルに落としこみ、行動を促し、その達成度を検証・評価するサイクルを回すことで、組織は成長します。組織目標を個人目標に落としこみ、合目的行動を自ら取れることが「学習する組織」なのです。
管理者能力を養う志向性評価
我々の行動は、目的とそれに対する結果の関係で決定されます。目標管理制度を導入したからといって、成長する組織ができるわけではありません。組織目標を掲げ、それを社員が共有して、体現する行動を促す仕組みを構築することが重要です。
この仕組みを促進するための評価制度は、定性目標である志向性を中心に考え、それを体現する行動、さらに結果にリンクさせることが必要です。ただし、正しい行動と結果との間には、タイムラグがつきものです。早急に結果を求めれば短期思考に陥りやすく、正しい行動ができなくなる恐れがあります。
志向性評価の最大のメリットは、人間を長期思考にさせ、本質に基づき行動することを促進することです。これは、まさに管理者能力の養成といっても過言ではありません。
志向性の意味を正しく理解するために、会社との理念共有度・目的共有度を「心」のベクトル、それを達成するための手段である知識・技術・経験などを「技」のベクトルで表現してみます。手段は目的に従います。したがって、「心」を高めることが、会社として本来行うべき「教育」であり、「技」を高めることは「研修」とも考えられます。会社にとって重要なことは、研修ではなく教育なのです。
【人財マトリックス】
心(理念・目的の共有)が低い | 心(理念・目的の共有)が高い | |
|---|---|---|
技(知識・技術・経験)が高い | 職人 | エース |
技(知識・技術・経験)が低い | 新人 | 幹部候補 |
このマトリックスで考えると、新卒社員は「心」も「技」のレベルも低い「新人」領域からスタートします。
企業が求めるのは「エース」領域の社員です。会社が目指す方向性を理解し、かつ実行する能力もある人で、組織を動かすリーダーとしての役割を持つ人物と言えます。
モデリングは人の成長を促進させる機能を持っています。エース領域を会社の理想として掲げることによって、個人の成長の方向性が定まります。教育とは、企業の個人に対する成長のサポートでもあります。福利厚生の一環としての教育ではなく、制度として評価にリンクさせることが、個人の成長を加速させると言えます。このようなモデリングを行い、評価に結び付けないと、社員は個人のキャリア・パスばかりを気にします。特にミャンマーでは終身雇用という発想が希薄なため、個人のキャリア・パスが重要視されます。
そのため、会社に対するロイヤルティを高めることより、自分自身の「技」である知識・技術・経験に強い関心を抱き、また、それを追求します。結果として、多くのミャンマー人はこのマトリックスでいう「職人」領域に入っていき、真の意味での管理者が育ちにくいのが現状とも言われます。管理者は経営者の持つ経営哲学を共有させる役割を負っており、本来、会社に対するロイヤルティなくして機能するものではありません。
結果として「職人」は、新たな知識・技術・経験を求めて転職をします。企業が即戦力として知識・技術・経験を求めれば、この傾向はさらに広がります。
また、企業が即戦力を求めることによって中途採用者の賃金水準が上がり、これが既存社員の昇給金額を押し上げるという悪循環にも陥っています。この傾向は、特に日系企業に多く見られます。
このような状況を打開するためにも、即戦力を求めるのではなく、将来の「エース」になる「幹部候補」を育成することが重要と言えます。幹部候補は、知識・技術・経験は乏しくても、会社の目的を理解し、個人の目標と会社の目標をリンクさせることができる人です。このような人を見つけるために、日本にいるミャンマー人の中から幹部候補を採用することも有効な選択肢です。最大のポイントは、日本在住のミャンマー人は親日派が多いということです。これは、企業立ち上げ時におけるミャンマー人幹部候補として、重要な要素です。
次に、日本語の理解力です。ミャンマー国内だけを考えれば英語だけでも十分ですが、日本の親会社の多くの社員とコミュニケーションを取るためには、日本語の話せるミャンマー人の存在は非常に有用と考えられます。
一方、デメリットは、候補者が少ないことと、ミャンマーで雇うより賃金水準が高くなるということです。しかし、良い人材が見つかれば、多少の賃金の差は大きな問題ではないとも言えます。
今後、ミャンマーに会社設立を計画する企業は、フィージビリティー・スタディーを行う段階から、プロジェクトにミャンマー人を入れることが、質の高い情報を得る有効な方法と言えます。ミャンマーで成功するためには人脈も重要です。一人のミャンマー人を介して得られる情報の多さは、日本人にはない大きな特徴です。
人材教育のポイント
企業の人材育成の目的は何でしょうか。おそらく、次のような答えがあがるのではないでしょうか。
- 社員を成長させる
- 企業を成長させる
- 利益を上げる
しかし、これらは企業の長期的な経営理念・目的ではなく、短期的なビジョン・戦略に基づいた考え方ではないでしょうか。人材育成のポイントは、企業全体で見れば、企業の目的と照らし合わせて現状足りないものを補うこと、社員一人ひとりで見れば、目指すべき人物像と照らし合わせて足りないものを補うことです。
つまり、企業としての短期的なビジョンや戦略に基づいた教育を行っても、企業にとって長期的に求めている人材の育成はできません。
特に、社員や企業の成長・利益といった内向きの視点では、経営環境に左右されやすいミャンマーでのビジネスにおいては対応できなくなる懸念があります。
そこで、志向性評価で求めている人物像と、実際に志向性評価を実施して出た社員の差、足りないところを教育していくことが必要です。
成果の評価項目と志向性の評価項目を前述の心(目的)と技(手段)のマトリックスに当てはめると、高い技術や成果を上げるだけのタイプは、職人気質になりがちです。
特に教育が必要な人は、幹部候補に該当する社員です。幹部候補の志向性評価結果から足りないところの対策を人材育成制度として導入することで、長期的な成長に繋がります。これにより、ダニエル・キム教授による「組織の成功循環モデル」のとおり、関係性の変化を意識、行動、結果の変化に繋ぐことができます。
海外赴任者に求められるもの
ミャンマーで成功できるか否かは、最終的には、ミャンマーに駐在する日本人の考え方に左右されます。本章では、ミャンマー人の評価方法・教育方法について考えてきましたが、日本企業にとって最も欠けているのは、海外赴任者のリーダーシップ教育と言えます。
海外駐在員、特にマネージング・ディレクターは、真の意味での「起業家」であり、リーダーでなくてはなりません。
リーダーの条件は3つあると考えられます。
第一が「価値設定」です。 目的が何かを定めることです。赴任者が自分や家族のためだけに働けば、部下もまたその影響を受けます。早く日本に帰りたいと思っていれば、その気持ちは部下に伝わり、近い将来交代するであろう上司についてくるはずもありません。すべてに、海外赴任者の価値観が影響するのです。
第二は「価値共有」です。 価値共有のためには、熱く語り続けることが重要です。人間は感情の動物であり、理論だけでは動きません。パッションなくしてリーダーにはなれないのです。ただし、価値はリーダーの普段の言動に現れます。部下は、リーダーが何を話すかより何を行うかに着目します。価値観は、言葉より行動に反映されます。
第三は「価値実現」です。 これは、マネジメントという言葉に置き換えられます。マネジメントとは何か、その本質を知ることが重要です。海外赴任者は、経営とは何か、リーダーとは何かを問い続けなければなりません。
リーダーを養成できるか否かは、日本の本社が持つ教育システムに係っています。今後、日本企業は少子化により国内マーケットが縮小する中で、海外売上比率をますます高めていかなければなりません。そのためには、体系的な海外赴任者教育を行うことが急務と言えるでしょう。
Column 日本の外資系企業の実態
海外人事戦略を考えるにあたって、まず、日本に進出した外資系企業がどのようなことを行ったかを考えるとよいと思います。ここには多くの失敗事例・成功事例があります。失敗事例を研究することによって、自分が犯してはいけない誤りに気付くかもしれません。
多くの外資系企業は、初めて進出したとき、日本の商慣習や市場について十分な知識を持っていません。そこで、即戦力になる日本人の経験者を採用します。
進出したばかりの小さな外資系に入ろうとする人の多くは、その外資系企業を日本において成功させようと考えているよりも、外資系特有の高い報酬に魅力を感じて入社する傾向があります。そのような人材は、今までにも多くの外資系企業を渡り歩いてきた人であることも少なくありません。
しかし、外資系企業は、日本企業以上に過去の経験を重視します。ヘッド・ハンター等を通じて採用する場合にも、人柄よりも業界知識・経験が重視されます。
また、本社側の人物評価も、本社とコミュニケーションが円滑にできるかで大きく異なります。結果として、仕事ができる人より英語ができる人の評価が高くなる傾向があります。
経験者をたくさんそろえても、本社が求めるビジョンや志向性の共有を図らなければ、組織がまったくまとまらない状態になります。社員は、お互いが協力し合う関係になく、自分の与えられた責務だけにしか関心を持たなくなり、社内がぎすぎすした状態になることも、よく見られる光景です。
このような傾向は、社員数が100名以下の外資系に顕著に表れています。20名以下のところでは、1〜3年程度で頻繁に社長の交代が起きることもあります。日本人社長を雇っても、雇われ社長は、本社に対していかに日本のマーケットが特殊で売れないかを説明することが得意なだけ、ということもあります。
さて、このような話は、決して日本における外資系企業だけのことではありません。我々がミャンマーに子会社を設立したときにも起こりうる話なのです。では、日本の外資系でどのような企業が成功しているのか――。一言で言えば、現地駐在員が起業家精神をもって会社運営をしているケースです。このような会社は、ゼロから人材育成を行う仕組みを構築します。そして、独特の企業文化を作ります。
我々がミャンマーで成功するためには、現地駐在員の起業家精神と教育システムが鍵になるのではないでしょうか。
[参考資料・ウェブサイト]
〔要確認:参考資料の整合性〕 原稿には、他国(インド・中国)章からの流用とみられる文献が多く含まれていました。本章(ミャンマー)の内容と整合させるため、下記のとおりミャンマー労働法・人事関連の出典を中心に整理し直しています。著者自身の関連著作およびマネジメント理論の出典は残しています。最終的な掲載可否・URL・版年は、組版前に編集部でご確認ください。
ミャンマー労働法・人事関連(本章の根拠)
- 雇用及び技能向上法(Employment and Skill Development Law, Pyidaungsu Hluttaw Law No. 29/2013)原典
- ミャンマー労働・入国管理・人口省(Ministry of Labour, Immigration and Population)告示(標準雇用契約書テンプレート、祝日告示等)
- ミャンマー国家ポータル/政府公式の祝日告示(最新年の官報で日数を確認)
- 各法律事務所によるミャンマー労働法解説(Tilleke & Gibbins、Luther 等)
マネジメント理論・著者関連著作
- P.F. ドラッカー著、上田惇生編訳『チェンジ・リーダーの条件』ダイヤモンド社、2000年
- 城繁幸『内側から見た富士通:「成果主義」の崩壊』光文社、2004年
- 久野康成『できる若者は3年で辞める! ―伸びる会社はできる人よりネクストリーダーを育てる』出版文化社、2007年
- 久野康成・井上ゆかり『もし、かけだしカウンセラーが経営コンサルタントになったら―母性の経営』出版文化社、2010年
〔要確認:上記の「ミャンマー労働法・人事関連」については具体的な書名・URL・発行年を編集部で確定のうえ掲載してください。旧原稿のインド・中国関連文献(インド投資環境レポート、インドビジネス実務ガイド、中国統計年鑑、在アジア日系企業…インド編 等)は本章では使用していないため削除しています。〕
