投資環境
経済■ 経済動向
フィリピンは、ASEAN第2位の人口と国民の英語運用能力の高さという強みから、投資する魅力を備えた国です。VIP(ベトナム、インドネシア、フィリピン)の一角に位置付けられており、今後20~30年先を見据えた場合に経済成長率や人口増加率の面では勢いがあるといえます。外国企業がフィリピンに興味を持つ理由として、フィリピン人の高度な英語運用能力や、中国に比べて安価かつ豊富な若い労働力にあります。近年は理工系大学も充実しており、工学系人材を30万人、IT系人材を26万人輩出しています。豊富な外貨準備高と健全な国際収支からも、わが国との関係性を深めていくことが期待されています。
フィリピン中央銀行(BSP:Bangko Sentral ng Philipinas)が2025年に発表したデータによると、フィリピンのGIR(総外貨準備額)は2022年~2023年の初頭まで7カ月以上の減少を続けていましたが、その後回復を徐々にし、2025年の9月で前年同月比の2.5%増となりました。フィリピンでは伝統的に農業が主要産業でしたが、近年はコールセンター業務などのビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)産業の発展により、サービス産業の比重が高まっています。
フィリピン経済では、2012年以来継続的にASEAN諸国でトップクラスの経済成長率を維持しています。国家経済開発庁のリポートによると、2021年第1四半期のGDP成長率は-4.2%となり、2020年より世界的猛威を振るった新型コロナウイルスの影響により下降へと向かいました。特にコロナ以前までフィリピンの景気を支えていた個人消費、および小売業の成長の鈍化が上記の煽りを受けたことが大きな要因となっています。そして、フィリピン統計庁(PSA)は2025年11月7日、2025年第3四半期のGDP成長率が前年同期比4.0%だったと発表し、前期の5.5%、前年同期の5.2%を大きく下回っています。これは、公共事業予算の支払いをめぐる問題を受けて政府からのプロジェクトに対する要件が厳格化されて支出が遅れている事も要因としてあげられています。また、民間消費は、台風や地震などの自然災害による経済活動の停滞で減速もしており、消費者や投資家の信頼回復を目的に、政府は災害対策への投資を含む改革や中長期的な施策を推進しています。
■ 経済成長率の推移
フィリピン経済は、実質GDP成長率が2012年から2019年まで毎年6%を超える水準を保っていました。特に、2016年には7.15%を記録し、翌年からも続いて6.93%、6.34%、6.12%と他のASEAN各国との比較においても高い伸びを記録していました。しかし、2020年には新型コロナウイルスの影響を受けて一時期では-16.9%のマイナス成長となっています。ただ翌年の2021年には12%にまで伸び戻り、2022年には実質GDP成長率は前年比7.6%でした。この数値は、政府が目標としていた6.5%~7.5%の成長率目標を上回っただけでなく、1976年の8.8%に次ぐ経済成長率となりました。
フィリピンの景気を根本的に支え大きなシェアを占める民間最終消費支出は8.3%で、国内での需要増加が経済成長を導きました。産業別では、鉱工業の成長率が6.7%、サービス業が9.2%、農林水産業は0.5%でした。この経済成長の理由については、主に新型コロナウイルスに伴う経済活動規制の緩和が国内で十分に進展し、繰越需要が起きたことだと考えられます。翌年2023年ではGDP成長率は5.6%、2024年は前年比5.7%と連続で政府目標(6.0%~6.5%)未達成が続きました。
【国内総生産(2018年一定価格)】
*前年比成長率(%)
2018-2019年第1四半期~2024-2025年第3四半期
出典:フィリピン統計局
以下のグラフは東南アジア主要国における名目GDPおよび構成比です。フィリピンが占める名目GDPの割合はASEANにおいてタイに次いで第4位となっています。
【東南アジア諸国の成長】
出典:International Monetary Fund
■ インフレ
2018年よりフィリピンのインフレ率は急激な高騰の一途をたどります。同年6月のインフレ率は前年同月比の5.2%とフィリピン中央銀行のターゲットであった4.0%を上回る水準となりました。背景には税制改正や通貨ペソの下落、さらに国内景気の過熱があり、そこでフィリピン中央銀行は4年ぶりの利上げを敢行しました。2019年から2021年までは2~3%と落ち着きをみせていたものの、2022年に入ると再び高水準へ上振れした結果、同年1月のインフレ率は8.7%まで上昇します。これは2008年11月に記録された9.1%よりも高い数値となりました。この高振れの原因としては、食糧価格、住宅賃料や水道代、電気代などの生活費にかかわる物価の高騰、レストランや宿泊サービスの需要増加によるものと考えられており、今後も年単位で継続的な上昇が予想されます。
【フィリピンにおける全ての品目を含んだ消費者物価指数(CPI)の変化(2018~2025年)】
出所:フィリピン統計局
■ 財政収支の推移
2019年には過去最大の6,602億ペソの財政赤字となりました。フィリピン第16代大統領ドゥテルテ氏は「ビルド・ビルド・ビルド」を中心としたインフラプロジェクトを掲げる一方で、国家予算成立の大幅な遅れや、中間選挙キャンペーンによる公共工事の禁止など、多岐にわたる過剰な予算執行によって財政を圧迫させました。
フィリピン財務局は2025年11月時点で1,576億ペソの赤字を発表し、前年同月比の12%増加となりました。これを受けた第17代大統領マルコス氏は、インフラ支出の削減はせずにGDP比で5~6%を維持し、広範な税制改正と経済成長による税収増に取り組む意向をみせています。
国際的格付機関フィッチ・レーティングス(フィッチ)は、2022年10月27日に「フィリピン共和国(フィリピン)の外貨建ておよび自国通貨建て長期発行体デフォルト格付(IDR)、外貨建ておよび自国通貨建て無担保優先債券の格付をトリプルB(BBB)に据え置く」と発表しました。BBBという格付は、投資適格最低基準であるトリプルBマイナス(BBB-)を一段階上回るステータスであり、「金銭債務の履行能力は概ね十分にあると考えられるが、経営又は経済環境の悪化がこの能力を損なう可能性がある」を意味します。フィッチは、2017年12月、フィリピンの格付をそれまでの(BBB-)から(BBB)へと引き上げ、それ以降、BBBを継続しています。
こうしたなか、ドゥテルテ前政権は良好な財政状況もあって財政支出や政府開発援助(ODA)を頼りにインフラ整備にこだわってきましたが、マルコス政権はやや方針転換し、官民連携(PPP)方式を積極的に活用していくことを明らかにしています。コロナ禍で財政収支が悪化し、政府の債務残高が膨らんでいることが背景にあります。とはいえ、マルコス政権の開発計画でもインフラ整備にかける財政支出のGDPに占める割合を引き続き5%~6%に維持することが明記されており、従来の財政支出とODAに頼りつつ、さらにPPPを加えることによってインフラ整備を加速させたい意向が示されました。しかし、政府の公共事業に関する不正や汚職問題が浮き彫りとなり、格付けの引き上げはしばらく見送りになる可能性が高いと言われています。
出典:フォーカスエコノミクス
【アジアおよびその他主要国の格付け】
|
| 国名 |
AAA |
| 米国、ノルウェー、スイス |
AA | AA+ | シンガポール、オーストリア、ドイツ、オランダ、フィンランド |
AA |
| |
AA- | 韓国、香港、フランス | |
A | A+ | 英国、中国 |
A | 日本 | |
A- | スペイン、ポーランド、チリ | |
BBB | BBB+ | インド、タイ、マレーシア |
BBB | フィリピン、インドネシア、ペルー、イタリア | |
BBB- | インド、ルーマニア、メキシコ | |
BB | BB+ |
|
BB | ブラジル | |
BB- | エジプト |
■ 経常収支
フィリピン経済を支える大きな柱の一つが、海外労働者からの送金による経常移転収支の黒字です。海外で季節労働者をするフィリピン人労働者はOFW(Overseas Filipino Workers、以下OFW)と略称され全人口の1割超に相当する1,000万人ほどが該当すると言われており、年々増加傾向にあります。行き先は割合が大きい順に、アジア、ヨーロッパ諸国(9.3%)、北および南アメリカ(8.9%)、オーストラリア(2.2%)、アフリカ(1.3%)となっています。季節労働者のおよそ6割を女性が占めています。フィリピン人は総じて英語力が高いため、優秀な人材が欧米に渡ることによってこのような状況が生じます。2025年中央銀行の発表によると、OFWの国別送金額は多い順にアメリカ(40.4%)、シンガポール(7.3%)、サウジアラビア(6.3%)、日本(5.0%)、イギリス(4.5%)、UAE(4.5%)、カナダ(3.2%)、カタール・韓国(2.9%)、台湾(2.7%)、香港(2.7%)となっています。
貿易
フィリピン経済における問題の一つは財政赤字ですが、 その主な原因は貿易赤字です。貿易構造は、電子機器の半完成品を輸入し、それを半導体などに加工した上で輸出する中間貿易が主流となっています。2020年には新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けたものの、2025年9月には貿易赤字も前年同月比で縮小し、年々減少の兆しを見せています。本節ではフィリピン統計局(PSA)の2024年貿易資料よりフィリピンの貿易概要を確認します。
■ 対外貿易総額と貿易収支
2024年の対外貿易総額はおよそ2,003億6,600万USDであり、前年の対外貿易総額1,990億2,900万USDから年間0.7%増加しています。 2022年と2021年には、対外商品貿易総額はそれぞれ13.2%と23.6%の年間増加を記録したのに対し、2023年は7.8%の減少をしていました。2024年の対外貿易総額のうち、63.6%が輸入品で、残りが輸出品です。
【フィリピンにおける対外貿易総額の業績】
出所:フィリピン統計局
貿易収支(BoT-G)とは輸出額と輸入額の差額を示すもので、2023年のBoT-Gは-525.9億米USDと年間8.8%の貿易赤字でした。2022年の貿易赤字は年率36.6%の増加、2021年では年率71.5%の増加となりました。
【フィリピンにおける輸出入統計額】
出所:フィリピン統計局
経常収支全体では総じて黒字となっていますが、これは貿易赤字を大きく上回る海外からの送金に支えられた経常移転黒字によるものです。このような経常収支構造はASEAN諸国では異例であり、メキシコと似た構造となっています。
【フィリピンにおける経常収支(2014~2024年)】
出所:フィリピン統計局
■ 輸出
下記のグラフは2006年から2024年にわたって年度ごとのフィリピン における輸出額を示しています。2024年の同国の総輸出売上高は732億6,800万USDで、前年の総輸出額795億7,000736億2,000万万USDから年間0.6%増加しています。2022年と2021年の輸出総額は、それぞれ年間6.5%と14.5%の増加を記録し、2023年では7.5%減少しました。
【年度毎のフィリピンにおける輸出額(2006~2024年)】
出所:フィリピン統計局
[品目別の輸出]
2024年の輸出額の年間減少幅が最も大きかった品目グループは電子製品で、その額は42億4,500万USDでしたが、2024年には28億1,400万USDの増加で回復しました。これに対し、ココナッツオイルが2023年には9億2,058万USD、2024年には1億4,100万USD、さらに、その他工業製品が2023年に4,290万USD、2024年に7億700万USDと連続で減少しています。
【年単位で増減した5つの主要輸出品目グループ】
出所:フィリピン統計局
電子製品は引き続き2024年も同国の最大の輸出品であり、同期間の総収益は390億9,400万USDで、同国の総輸出の53.4%を占めています。これに、その他の工業製品の輸出額が46億7,600万USD(6.4%)、その他の鉱物製品の輸出額が30億646万USD (4.1%) と続きました。電子製品商品グループは引き続き輸出売上高でトップを維持しており、今後も高い輸出売上高が予想されます。
[国別の輸出]
主要貿易相手国別では、米国への輸出が最も多く、2024年の輸出総額に占める121億4,400万USDに相当し、シェア16.6%を占めています。2024年の主要輸出貿易相手国上位5位のその他の国の輸出額と輸出総額に占める割合は次のとおりです。
・中華人民共和国、94億4,400万USD(12.9%)
・日本、103億3,000万USD(14.1%)
・香港、96億500万USD(13.1%)
・韓国、35億7,000万USD(4.9%)
【主要提携国によるフィリピ ン輸出額(2024 年)】
出所:フィリピン統計局
また、タイは輸出総額で東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国をリードしています。ASEAN加盟国への輸出総額は110億1,500万USDに達し、2024年の同国の総輸出収入の15%を占め、特にタイへの輸出は、2023年でASEAN加盟国への輸出総額の31.4%を占めていたシンガポールを差し置いて26.8%にあたる29億5,600万USDで最も高いシェアを占めました。
【ASEAN 貿易提携国によるフィリピン輸出額(2024 年)】
出所:フィリピン統計局
ASEAN加盟国への主な輸出品目と、それに対応する輸出額およびASEAN輸出総額に占める割合は次のとおりです。
・電子製品、63億3,700万USD(57.5%)
・精製銅製のカソードおよびカソード部分、7億7,400万USD (7.0%)
・その他の製造品、9億600万USD(8.2%)
・機械および輸送機器、4億3,900万USD(4.0%)
・ココナッツオイル、4億6,400万USD(4.2%)
地域別での比較では、2024年の輸出額で最も高いのは東アジアで364億1,000万米USD(49.5%) です。次いで、北米が輸出額121億3,000万USD(16.5%)、東南アジアが輸出額112億2,000万USD(15.2%)となっています。
【地域別フィリピン輸出額(2022~2024年)】
出所:フィリピン統計局
■ 輸入
2024年の輸入品総額は1,275億9,600万USDで、前年の1,262億900万USDから年間1.0%程増加しました。過年度での傾向でみていくと、2023年は年間8.0%減少したのに対し、2022年と2021年には、総輸入量はそれぞれ17.4%と30.1%の年間増加を記録しました。
【年度毎のフィリピンにおける輸入額(2006~2024年)】
出所:フィリピン統計局
[品目別の輸入]
商品グループ別での輸入品目では、電子機器が266億4000万USDと1位を占め、2022年度と比較すると6000万USDほど減少している一方で、輸送機器では124億5100万USDと1000万強USDほど増加しました。
【品目別輸入額上位5 位(2023~2024 年)】
出所:フィリピン統計局
主要な品目別では、原材料と中間財の輸入が2024年の輸入総額の最大の割合を占め、464億7,100万USD(36.4%)に達しています。次いで資本財のシェアが357億2,800万USD(28%)、消費財の輸入額が258億2,300万USD(20.2%)となりました。
【フィリピン主要商品輸入額(2023~2024年)
出所:フィリピン統計局
[国別の輸入]
中華人民共和国は、2024年の輸入総額の25.7%に相当する328億3,200万USD相当の輸入品の最大の供給国となっています。2024年の主要輸入貿易相手国のその他の上位5位について、対応する輸入額と輸入総額に占める割合を集計すると、次のようになります。
・インドネシア、106億4,000万USD(8.3%)
・日本、101億800万USD(7.9%)
・韓国、96億3,300万USD(6.4%)
・米国、81億6,700万USD(6.4%)
【主要提携国によるフィリピン輸入額(2024年)】
出所:フィリピン統計局
2024年のASEAN加盟国からの輸入総額は360億4,200万USD、つまり同国の総輸入額の28.2%を記録しています。輸入の大部分はインドネシアからのもので、ASEAN加盟国からの輸入総額の29.5%にあたる106億4,000万USDとなりました。
【ASEAN 貿易提携国によるフィリピン輸入額(2024 年)】
出所:フィリピン統計局
投資環境
■ アンケートから見る投資環境
国際協力銀行(JBIC:Japan Bank for International Cooperation)が実施したアンケート調査(右記表)をもとに、すでに海外への進出経験のあるわが国製造業企業が、フィリピンを事業展開先としてどのように見ているのか。
ASEAN加盟国に着目すると、上位国から順にベトナム、インドネシア、タイ、マレーシア、そして2025年には8位となったフィリピンが続きます。カンボジアは19位、シンガポールは24位、ミャンマーは33位となっています。
加盟国内で比較すると芳しくないが、全世界からの位置づけは、次のように言えます。2014年においては11位であったところ、2015年に8位に浮上し、2019年以降7位~9位の順位を維持しています。
このランキングでフィリピンより上位に位置する国は、当該国自体が巨大市場である場合や(中国、インド、米国)、自動車などの産業集積が一定程度進んでおり第三国への輸出拠点としての地位を確保している国(タイ、インドネシア、ベトナム)が目立ちます。
他のアジア諸国と比べて遅れをとるフィリピンの今後に向けた課題となっています。
【わが国製造案企棠が中期的に有望視する国】
出所: JBIC 「わが国製造莱企業の海外事業展開に関する調査報告」(2024年、2025年度調査より作成)
金融(株式)市場
フィリピン証券取引所(PSE:The Philippine Stock Exchange, Inc. 以下PSE)は、首都マニラにあるフィリピンで唯一の証券取引所であり、2025年3月時点において283社が上場しています。 1992年にマカティにあるMkSEとマニラにおけるMSEをPSEに統合し、さらにPSEはマニラ首都圏マカティ市にある取引所の地方事務所をセブ市に開設しました。これは、首都圏に集中している投資家以外に、フィリピン第2の経済圏を持つセブ地方の小口投資家を狙ったものと見られています。
2011年6月にはASEAN4カ国の証券取引所(マレーシア証券取引所、フィリピン証券取引所、シンガポール証券取引所、タイ証券取引所)がオンラインで結ばれ、国家間のクロスボーダーのオーダー・ルーティングやトレーディングがネット上で可能となりました。これにより、投資家や取引所会員各社は単一の接続で、ASEAN市場にアクセスすることができるようになり、今後はPSEの一層の活性化が期待されます。
しかし、フィリピンでは 株式市場を通じたガバナンスが有効に機能していないこと、また、企業の情報開示も十分ではなく、一般株主が企業業績を正確に把握することが困難であることから、株式市場の投資家が企業経営に関与しようとする意識が低いとの指摘がありました。また、PSE年報および市況報告書によると、IPO発行実績が年平均2~4件と取引規模が小さいのが現状であり、国内資本の大手企業においても未上場企業が多数存在しています。
2020年以降のフィリピン総合指数(PCOMP)、および株価時価総額の加重平均推移では、フィリピン証券取引所に上場された商工業、不動産、鉱業、石油部門の銘柄で構成されてれおり、1994年9月30日を基準日としています。コロナ禍を機に2020年には大きな落ち込みがあったものの、翌年には回復の兆しを見せながら2025年まで横ばいの推移となっています。
■ 為替レート
フィリピンペソは2020年から2021年にかけて為替が下落したものの、2022年7月頃から上昇し、2023年にはコロナ以前よりもレートが上がっています。ASEAN諸国においては変動が激しく、今後も順位の入れ替わりが予想されます。
【ASEAN各国通貨の為替レート(対ドル、期中平均)】
出典:JETRO
【ASEAN 主要国通貨の為彗レート(対ドル、期中平均、2019 年1 月=100)】
出典:JETRO
■ 直接投資(FDI)
フィリピンは、自動車や電子部品などの業種を中心にグローバル輸出拠点として外資系企業の進出が増加した背景があります。日系企業の主要進出企業は、自動車・電子機器・機械など、中国一極集中の懸念から周辺のASEAN諸国へと展開が図られたことが要因だと考えられます。前アキノ政権では民間資金を導入する官民パートナーシップ(PPP)スキームを推進しており、海外からの大型投資により一層のインフラ投資の加速が見込まれます。
【フィリピンの外国直接投資受入状況(100万USドル)】
出所:フィリピン中央銀行
■ 業種別受入動向
フィリピンにおける外国直接投資を業種別でみると、2023年に続いて2024年も再生可能エネルギー(再エネ)分野を含む「電力、ガス、空調」の投資額が3,415億100万ペソと最も大きくなっています。前年比では53.4%減となったものの、2022年の法改正により水力発電プロジェクトを除く再エネ事業で外資100%による運営が可能になったことや、2023年に開始されたグリーンレーンの導入が、引き続き再エネ分野での投資を後押ししていると考えられています。「製造業」は13.7%増の1,261億3,300万ペソと伸びを続けています。また、「ホテル、外食」は前年比81.0倍の200億9,800万ペソでした。フィリピン移民局によると、2024年にフィリピンを訪れた外国人観光客数は1,470万人を超え、新型コロナ後の観光業の順調な回復が見られています。2022年単年および2019年~2022年の4年間累計では通信業の投資が最も大きくなっています。これは、2021年にフィリピン経済区庁(PEZA)による認可が進んだことで、マニラ首都圏でのソフトウェア開発やBPO産業が振興しました。
【フィリピンの業種別外国直接投資受入状況】
出所:フィリピン統計局
■ 国別外国投資受入額
フィリピンは、自動車や電子部品などの業種を中心にグローバル輸出拠点として外資系企業の進出が増加した背景があります。日系企業の主要進出企業は、自動車・電子機器・機械など、中国一極集中の懸念から周辺のASEAN諸国へと展開が図られたことが要因だと考えられます。前アキノ政権では 民間資金を導入する官民パートナーシップ(PPP)スキームを推進しており、海外からの大型投資により一層のインフラ投資の加速が見込まれます。
【フィリピンの国別外国直接投資受入状況】
出所:フィリピン統計局
■ フィリピンへの日本企業の進出数
フィリピンに進出している日系企業総数は、2024年10月外務省の発表によると1,630社にのぼります。近年の傾向としては小売業の進出です。ユニクロ(ファーストリテイリング)が、2012年6月15日にフィリピン小売業のリーディングカンパニーであるSMリテールと合弁の形で進出しており、2019年10月末時点で60店舗出店しています。また、コンビニではファミリーマートが2913年4月に1号店を開店し、 2019年9月末時点で76店舗出店しており、ローソンが2015年3月に1号店を開店し、2019年6月末時点で45店舗出店しています。2019年にはホテルオークラが進出、さらには伊勢丹などの企業の進出が予定されており、フィリピン市場に目を向けた進出も目立ってきています。2024年4月には、ニトリホールディングスがBonifacio Global City(通称BGC)、MITSUKOSHI BGCにてフィリピン第1号店を出店しており、同企業は2025年に海外100店舗規模となる出店を見込んでいるなど、日系企業から新規設立・店舗拡大の国として注目されていることが分かります。
■ インフラ
アジア各国がインフラ整備を急務としており、フィリピンもその例に漏れません。ただし、厳しい国家財政事情もあり、計画通りに進まないのが現状です。
フィリピンのビジネスリスクの一つとして多くの企業が挙げる点が、電力インフラの未整備です。フィリピンでは電力の需給バランスが整っておらず、電気料金は周辺国のおよそ2倍となっています。また、電力の供給や質が不安定となっています。したがって、精密機器を製造するような工場では、自家発電用のディーゼル発電などの対策が必要となります。それゆえ他国より多くの投資が必要となってしまいます。
アロヨ政権下では、「フィリピン中期開発計画」の中で10大政策中の3つに交通インフラに関する政策が挙げられていたことから、以前からインフラの未整備については認識されていたようですが、一貫性のない政府方針が民間企業の不信を招き、なかなか整備が進んでいませんでした。
このため、前アキノ政権では官民パートナーシップ(PPP)によるインフラ整備を打ち出しました。PPPとはインフラ整備の運営権を民間企業に入札させ、その民間企業の資金によってインフラ事業を実施していくという手法です。
これにより2016年にはGDP比で1.8%だったインフラ整備費が2015年には同4%まで上がりました。
2016年6月末に発足したドゥテルテ政権もインフラ整備には積極的な姿勢を見せており、予算面ではインフラ整備費をGDP比の5~7%に拡大させると表明し、PPP事業の積極的な推進も掲げています。わが国からも安倍首相が2017年1月に訪比してドゥテルテ大統領と会談し、包括的な経済協力のため、政府開発援助(ODA)や民間投資を合わせて今後5年間で1兆円規模を支援することを表明しています。
これによって、地下鉄などのほか、地方都市への電力供給インフラの整備などが想定され、日本が官民を挙げてインフラ整備に協力すると表明しています。
マルコス大統領下での2024年度国家予算では、公共インフラ・農業などの経済サービス部門に対して前年比5.2%増額の1兆6300億PHPほどが割り当てられました。「ビルド・ベター・モア」を掲げたマルコス指導の下、近隣東南アジア諸国と比較すると30年の遅れと言われている不十分な状態の対処を課題としていることがうかがえます。
※ビルド・ベター・モア:Build Better MoreからBBMと略称される、マルコス政権下におけるインフラ開発プログラム。
またフィリピンは島国であることから、海路での運輸が発達しています。古くから貨物の往来も多く港が整備されており、空路においてもマニラ国際空港の存在は東アジアと東南アジアを結ぶ中心として重要な地域と認識されています。しかし、陸路では地方の自治体によって発達度合いにバラつきが見受けられ、インフラとして包括して考えたときには未整備地域が多く占めているとみなして良いでしょう。
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