会社法
+ .1 .機関の体系
機関の体系
バングラデシュの会社運営について規定している法律は、会社法(Companies (2nd Amendment) Act, 2020)です。2020年11月27日にCompanies Act, 1994が改定されました。同法では、会社の機関設計から設立、株式の発行といった基本事項を定めており、バングラデシュで登記される法人は、同法に従って活動を行わなければなりません。本章では、日系企業が進出時に一般的に選択する進出形態である非公開株式会社について解説していきます。
+ .2 .株主(株主総会)
株主(株主総会)
■ 株主数
バングラデシュの会社法上、非公開会社の場合には会社の従業員を除いて、2名以上の株主、公開会社の場合には7名以上の株主を設置することが義務付けられています(5条)。6カ月以上の期間継続してこの人数を下回った場合には、すべての株主はこの期間に発生した会社が負うべき債務を個人的に支払う義務が生じます(222条)。
さらに、非公開会社の場合には、株主数の上限があり、50名以下でなければなりません(2条1項q)。
■ 株主の権利
株主の権利には日本の会社法と同様、大きく分けて自益権と共益権があります。
自益権とは、会社から利益配当や残余財産の分配その他の経済的利益を享受する権利をいいます。この権利は日本の会社法上の株主の権利と違いがなく、主に金銭的な利益を受ける権利です。
一方、共益権とは、株主総会に参加して議決権を行使すること等により経営に参加する権利をいいます。
この権利は、株主総会決議や少数株主の権利の行使によって経営に参画する権利です。しかし、日本との会社法とは決議要件や決議事項、権利行使要件の点で異なるので注意する必要があります。
発行済株式保有割合が一定数以上を条件とする権利の一部を紹介します。
[株主総会招集権]
発行済株式総数の10%以上の株式を保有する株主は、臨時株主総会の招集を要請する権利を持っています。株式会社でない会社の場合、要請がなされた日に総投票権の10%以上を有する出資者は、臨時総会の招集を要請する権利を持っています(84条)。
[株主議題提案権]
発行済株式総数の5%以上の株式を保有する株主は、定時株主総会時に、議題を提案する権利を有します。(85条(h))
共益権の一部として、以下のような少数株主の保護規定が設けられています。
[決議取消請求権]
発行株式の10分の1以上を保有する株主は、取締役の利益相反行為や株主に不利な決議があった場合に、裁判所に訴えの請求をすることで、決議の取消を求めることができます(233条)。
具体的には以下のような事項が挙げられています。
・ 特定の株主、社債権者、利害関係者にとって不利益な行為
・ 特定の株主、社債権者を差別している、もしくはしていると思われる行為
・ 特定の株主、社債権者を差別している、もしくはしていると思われる決議
上記の通知を受取った裁判所は、取締役に対して意見聴取の場を設け、その結果、特定の株主もしくは利害関係者が不利益を受けているとみなされた場合には、決議や取引の取消もしくは修正の命令が下されます。
会社は裁判所による命令が下されてから14日以内に、書面で登記局に通知しなければなりません。通知を怠った場合、会社及びすべての役員は1,000タカ以下の罰金を支払わなければなりません(233条5項)。
■ 株主総会
[株主総会の種類]
バングラデシュにおける第一回株主総会は、会社の登記日から18カ月以内に開催され、その後、1年に一度開催される定時株主総会(Annual general meeting)(81条)、取締役が必要と認める場合などに開催される臨時株主総会(Extraordinary meeting)(84条)があり、公開会社の場合には、会社設立時に開催される創立総会(Statutory meeting)があります(83条1項)。
創立総会は、事業を開始してから1 ~ 6カ月以内に開催されなければなりません(83条1項)。創立総会では、発起人の行った設立手続の承認を行い、会社定款の承認や取締役・会計監査人の選任、株式の数や内容について決議をします。
創立総会において違反・報告懈怠があった場合には、裁判所は会社を解散させることができるため(83条10項)、必ず議事録の作成と報告をしなければなりません。なお、創立総会の規定は非公開会社には適用されません(83条12項)。
定時株主総会について、会社の設立が完了した後18カ月以内に最初の定時株主総会を開催しなければなりません。その後は通知の上、1年に一度以上定時総会を開催する必要があります。また、前回の定時総会の日から15か月以内に次回の定時総会を開催しなければなりません(81条1項)。定時株主総会では、株主への決算報告や取締役・会計監査人の選任が主な決議事項となります。
臨時株主総会は、取締役が必要と認めるときにはいつでも開催することができます(84条1項)。
その他、発行株式の10分の1以上を保有する株主の要求があった場合には、取締役は臨時株主総会を招集しなければなりません(同条項)。この場合、開催要求書にその目的を記載しなければならず、開催要求者の署名を必要とします(84条2項)。
この要求があった場合、取締役は21日以内に、45日以内の開催日を設定して、臨時総会を招集しなければならず、招集が行われない場合、株主は自ら総会を招集することができます(84条3項)。
[開催場所]
開催場所については、非公開会社、公開会社ともに明文規定がないため、株主総会招集に際して、取締役が決定し、招集通知に記載して株主へ周知することになります。これは日本の制度と同様です。
[招集権者と招集通知]
招集権者については明文規定がありませんが、通常は取締役が招集を決定することになります。株主総会開催にあたっては、株主全員への招集通知の発送による伝達が必要となります(85条1項)。
また招集通知は、普通決議事項の場合、特別決議事項の場合、ともに21日以上前に発送する必要があり(85条1項a)、招集通知には場所、日時、議題を記載します。
※普通決議の場合、招集通知は14日前以上とされていましたが、会社法“Companies(2nd Amendment) Act, 2020の施行に伴い、21日前以上の事前通知と改定されました。
定時株主総会の場合にはすべての株主、それ以外の場合は95%以上の株式を保有している株主の書面による同意を事前に得ていれば、上記の招集通知発送期限は短縮することができます(85条1項a)。
[株主総会の議長]
明文規定はありませんが、議長の権限として議事の運営に関する権利が与えられており、滞りなく議事を運営していく義務があります。
議長は、株主総会において、出席者の中から互選により決定することになります(会85条2項c)
[株主総会の決議]
株主総会は会社の最高意思決定機関であり、役員の選任や決算書の承認、配当の決定、増減資など、会社にとっての重要事項は取締役会ではなく、株主総会決議により決定しなければなりません。この点は日本と同様ですが、定足数や決議条件などの点で異なります。
定足数
非公開会社の場合、定足数は株主の人数によって違いがあります。非公開会社の場合、株主が6名以上の場合は2名以上、株主が7名以上の場合は3名以上出席しなければ決議を行うことができません(85条2項b)。
一方、公開会社の場合、株主5名の出席が必要となります(85条2項b)。
また特別決議事項については非公開会社、公開会社ともに要件が厳しくなり、4分の3以上の株主の出席が必要となります。これを下回った場合の決議は有効とはなりません(87条1項)。
決議要件
会社法上、明文規定がないため、出席した株主の議決権の過半数の賛成多数決により決議が行われるものと解釈されます。
原則として、挙手制(Showing Hand)にて出席株主数の頭数ごとに議決権が付与される点に注意が必要です。議決権数割合による決議を行うためには、5 名以上の出席株主、株主総会の議長、議決権を 有する発行済株式総数の 10%以上を保有する株主が、挙手制に代わり投票制(Poll)を要請することが必要となります。投票制が適用された場合、日本と同様、1株1議決権が付与されることになります。
議決権
会社法上、株主には、1株1議決権、もしくは、保有する株式100タカごとに1議決権が付与されます(85条2項d)。
議決権の代理行使と書面による行使
日本では、株主の議決権行使の機会を保障するために、議決権の代理行使や書面による投票を認めています。バングラデシュでは書面投票について、明文規定はありませんが、議決権の代理行使は認められています(85条2項e)。
代理行使をする場合には、委任状を文面で記載したうえで株主総会の開始時より前に会社に提出しておく必要があります(85条2項f)。
[登記局への報告義務]
特別決議事項を決議した場合には、決議日から15日以内に、登記局に対して通知を発しなければなりません(88条1項)。この通知を怠った場合には、会社及び会社役員に罰金が科されることになります(同条)。
+ .3 .取締役(会)
取締役(会)
■ 取締役(取締役会)
[取締役の人数]
取締役の最低人数は非公開会社の場合は2名(9 0 条2項)、公開会社の場合は 3 名となっています(9 0 条 1 項)。ただし、非公開会社であっても、公開会社の子会社である非公開会社の場合は、取締役の最低人数が3名となります(同条同項)。従って、親会社が日本で上場している場合には、3名以上の取締役が必要になります。
[取締役の国籍・居住性]
バングラデシュの会社法上、非公開会社、公開会社ともに、取締役の国籍や居住地についての規定はありません。従って、日本人であっても、また日本に居住しながらバングラデシュ法人の取締役に就任することができます。さらに、国籍の規定もないため、日本人のみで取締役を占めることが可能です。
[取締役の選任・解任]
株主総会に取締役を選任・解任する権限が与えられているのは、日本と同様です。非公開会社、公開会社ともに選任決議は普通決議で行い、解任決議には特別決議が要求されます(106条)。
[不適格要件]
しかしながら、以下の条件のいずれかの場合には取締役となることができません(94条)。
(a) 直轄裁判所から精神異常と認められた者
(b) 債務未返済の破産者
(c) 破産手続きを申請中の者
(d) 自己保有株式の払込要請の日から6か月後も未払い分がある者
(e) 未成年者
取締役は、別段任期が定められていない限り、任期に制限がありません。ただし、不適格要件が後に分かった場合、取締役の辞任、株主からの解任により、取締役は任期よりも前に任を解かれる場合もあります。一度、株主から解任となった場合には、再度取締役に就任することができません(106条2項)
[マネージングディレクター]
会社は、マネージングディレクター(MD:Managing Director)を任命することができます。MDは会社を代表して業務執行を行う権限が与えられます。
公開会社もしくは公開会社の子会社の場合には、他の会社のMDになっている者を選任することはできません(109条)。MDの任期は5年で、延長することが可能です(110条1項3項)。
[取締役会]
すべての会社は、3カ月ごとに1回(年に4回以上)、取締役会を開催しなければなりません(96条)。
取締役が、取締役会の承認を得ずに、取締役会を3回連続で欠席した場合や連続する3ヵ月の間に開催されたすべての取締役会を欠席した場合は取締役の資格喪失事由となるため留意する必要があります。
+ .4 .会計監査人
会計監査人
日本では上場会社や会社法上の大会社のみに会計監査人設置義務がありますが、バングラデシュでは会社の規模・業種を問わず外部監査が必須とされており、すべての会社は会計監査人を設置しなければなりません(210条1項)。
[会計監査人の要件]
会計監査人はバングラデシュ勅許会計士でなければなりません(212条1項)。また、会計監査人は会社との間に利害関係を有する者、取締役などの会社の役員、会社従業員、5%以上の株式を保有する株主、会社に対して一定額以上の債務を有する者などは選任することができません(212条2項)。
[選任・解任]
会社設立後、最初の会計監査人は、設立日後1カ月以内に取締役(会)によって選任されなければなりません(210条6項)。
以後、会計監査人の選任は株主総会の決議によって行われますが(210条1項)、任期満了前に解任する場合には株主総会の特別決議により決定する必要があります(210条9項)。また報酬も株主総会で決定されることになります(210条10項)。会計監査人に空席が生じた場合には直ちに臨時総会を招集し、新しい会計監査人を任命しなければなりません。
[会計監査人の権限]
会計監査人は会社が作成する決算書の監査を行い、監査報告書にて決算書の適正性について意見表明を行います(213条3項)。監査人には監査を実施するために会計帳簿・証票類の閲覧や質問をする権限が与えられており(213条1項)、会社は監査人の求めに応じて資料の提供や質問への回答をしなければなりません(213条2項)。
また、監査人は株主総会に出席できる権利を有しており、会社は株主総会の開催について、監査人に対して通知しなければなりません(217条)。上記義務を怠る場合には、会社に対して罰金が科されることになります(218条、219条)。
[報酬の決定]
監査人を取締役会で任命した場合には、取締役会で報酬を決定します。一方、株主総会で任命されていた場合、株主総会で決定するか、あらかじめ株主総会で定めた方法により報酬を決定します(210条10項)。
+ .5 .会社秘書役
会社秘書役
バングラデシュでは、会社秘書役と呼ばれる機関があります。日本では馴染みがありませんが、インドなどの南アジア諸国では多くみられる機関です。現在の会社法では、会社秘書役の設置義務はなく、コンプライアンスを重視する会社が任意で設置します。
会社秘書役は株主総会や取締役会の議事録の作成・管理、会社の重要な内部資料の作成・管理等の法務や総務に関する職務を負っています。
[会社秘書役の要件]
会社秘書役に選任される者は、下記のいずれかの要件を満たす者でなければなりません。
・ 会社秘書役協会の登録者(Chartered Secretary)
・ 勅許会計士(Chartered Accountants)
・ 公認管理会計士(Cost Management Accountants)
・ 課長補佐役以上で一定の経験を積んだ職員(Experienced Officials of General Disciplines)
[会社秘書役の権限]
会社秘書役とは会社の文書管理や株主管理、コンプライアンスの遵守に関する責任者及び管理者となります。
会社秘書役のいる会社から対外的な文書が出される場合には、会社秘書役名で出されるか、その認証を受けているかのいずれかであることが一般的です。会社秘書役の設置は、会社から第三者に交付する書類に対し信頼性を付与することを目的としています。会社秘書役は、不正行為、株主総会の招集、守秘義務の維持、法定文書の提出、法令遵守などについて責任を負う、非常に重要な機関です。
+ .6 .株式
株式
■ 株式の種類
日本では、会社法上色々な種類の株式を発行することが認められていますが、バングラデシュでは、普通株式のほか、償還優先株式を発行することができます(154条)。
[償還優先株式]
会社は定款に定めることで、償還優先株式を発行することができます(154条)。償還優先株式とは、あらかじめ定款に定めた事象が発生した場合、株式の払戻を受ける権利を付与された株式をいいます。
ただし、利益、償還目的の新株発行による利益、資産売却による利益等からしか償還することができません(154条1項a)。
償還優先株式を発行する場合、貸借対照表に償還優先株式の額、償還の時期、について記載する必要があります(154条2項)。
上記の規定に従わなかった場合は、会社及び会社役員は2,000タカ以下の罰金を科せられます(154条6項)。
■ 新株の発行
取締役は、授権資本の制限内で新たに株式を発行することができます。資本を増加する場合は以下の条件が求められます(155条1項)。
株式は申込日において株主が保有している株式数に応じて割当てられます。割当株式数、申込期限を既存株主に通知し、15日以内に引受の意思表示がない場合は、新株の引受を辞退したとみなされます。加えて、第三者割当増資を実行するための手続きとして、取締役会議決議として割当相手や該当株式数、払込価格等の案件が対象となります(155条2項)。仮に授権資本金額枠の拡大が必要な場合は、取締役会決議後には、について株主総会決議も必要となります(56条)。また授権資本枠を引き上げる際は、定款の変更も必要になります。
■ 増資
株式会社が増資をする場合、増資決議が行われた日から15日以内に増資した旨を登記局に対して通知しなければなりません(56条1項)。
通知には、発行する株式の種類及び発行条件、発行による影響を記載しなければなりません(56条2項)。
上記の通知を怠った場合には、その期間中、毎日200タカ以下の罰金を科せられます。加えて、通知を怠ったことについて知ることができた(有過失)すべての役員には同等の罰則が科せられます(56条3項)。
[資本金額に基づく公開会社化義務の廃止 ]
<2010年5月5日の通達>
証券取引法の2条CCに基づき、4億BDT以上の払込資本金を有す会社は有限公開会社(Public Limited Company)へ、5億BDT以上の払込資本金を有する会社は株式公開会社(Public Listed Company)へ登記変更が必要とする。
<2015年6月11日の通達>
外国企業、外国企業との合弁企業に対して、2010年5月5日の通達の免除とする。
<2018年10月22日の通達>
証券取引法2条Dに規定されている、1億BDT以上の払込資本金を有する会社が換金証明書(Encashment Certificate)を証券取引委員会に提出し、資本金額に基づく申請料の支払いを行う義務を外国企業に対しては免除とする。
上記の通達により、外国企業に対する払込資本金額に基づく公開会社化の義務及び資本金送金証明・申請料の支払いが免除されました。
■ 減資
会社は、株主総会の特別決議の承認を得ることで、減資を行うことができます。ただし、会社資本が減少することになるため、裁判所の許可の他、債権者の異議申立てを受けなければなりません。
[減資の手続の流れ]
減資を行う場合、株主総会の特別決議により決定します(59条1項)。決議を通過後、裁判所に減資の申請を行います(60条)。
裁判所が設定した日もしくは期間において、会社に対して債権を有する債権者は異議申立てを行うことができ、裁判所は異議申立てを行った債権者のリストを確定します(62条)。会社は異議申立てを行った債権者に対して、債権額全額、もしくは裁判所が決定した金額を弁済しなければなりません(63条)。
ここまで終了したら、(1)減資確認の裁判所の証明書、(2)減資の金額、分割株式数、一株金額を記載した書面を作成し、裁判所の承認を受け、登記局に提出を行います(65条)。この登録が終わってはじめて、減資決議の効力が生じることになります(65条2項)。
特別決議が行われた日、あるいは裁判所に申請をした日から減資が確定をするまでの期間は、会社名に“and reduced” と付け加えなければなりません(61条)。
[減資に関する罰則規定]
この一連の手続に違反がある場合は、罰金が科される可能性があり、役員も故意または過失がある場合には同様の責任を負うことになります(66条2項)。
また、異議申立てを行った債権者の名前を故意に隠ぺいする、債権額を偽装するといった事実が発覚した場合には、最大2年の懲役刑という非常に重い罰が科されるおそれがありますので、注意が必要です(68条)。
■ 株式譲渡
株式譲渡は会社法38条に規定されています。具体的な譲渡方法については、会社法の定める範囲で通常定款(Article of Association)に記載することも可能です。
通常、株式譲渡の際は、既存株主が優先買取権を持ちます。株式譲渡希望株主(譲渡人)が既存株主に引受意思を書面で確認し、引受意思を14日以内に書面で回答する必要があります。既存株主が購入意思を14日以内に表明できない場合は、取締役会は外部の株式引受希望者を募るができます。外部の株式引受希望者も取締役会に対し購入意思を書面にて通知する必要があります。株式譲渡価格は、取締役会もしくは監査人が決定します。
株式譲渡が取締役会で承認されると、引受人は譲渡人に対し株式対価の支払いを行います。
商業登記所での株式譲渡登記において、譲渡人がバングラデシュ人(企業)、引受人がバングラデシュ人(会社)の場合、もしくは譲渡人が外国人(企業)、引受人が外国人(企業)の場合は、株式譲渡対価の支払証明の提出は必要ありませんが、譲渡人がバングラデシュ人(企業)、引受人が外国人(企業)の場合は、Encashment Certificate(株式譲渡対価のバングラデシュへの送金証明書)の提出が必要となります。また、株式譲渡時には、収入印紙代として株式額面金額の1.5%がかかります。
株式譲渡登記申請を商業登記所で行う際には、譲渡意思の確認を行うため、譲渡人が商業登記所員の面前で譲渡書類に署名する必要があります。しかし、外国人はこの規約を順守するのが困難なため、2020年会社法(Companies (2nd Amendment) Act, 2020)にて、譲渡人の本国での譲渡書類への署名の公証・認証をもって面前の署名と代替とすることができるとされました。
一人有限責任会社(One Person Company:OPC)
会社法が2020年に改定され、“Companies(2ndAmendment) Act, 2020が2020年11月26日に施行されました。改定された会社法では、有限責任の一人株主(One Person Company)の会社が設立可能となりました。
①株主:自然人のみ(法人株主は不可。個人株主のみ可能。(会社法2条1項bb))
②商号:社名の語尾に“One Person CompanyもしくはOPC”が記載される。(会社法11a条)
③後見人(Nominee)の選定:OPCの定款には、株主が死亡した場合の後見人を定め、記載しなければなりません。また、後見人の変更があった場合には、登記所に報告及び登記しなければなりません。(会社法392b条3, 7, 8項)
④資本金:最低資本金は2.5百万BDT~上限は5千万BDTとなります。(会社法392c条1項a)
⑤売上制限:年間売上は1千万BDT以上、5億BDT未満でなくてはいけません。(会社法392c条1項b)
※売上制限を超えた場合は、公開有限会社もしくは非公開有限会社へ登記変更を行う必要があります。(会社法392c条2項)
⑥取締役:株主が取締役となります。取締役はマネージャーや、秘書役、従業員を採用することができます。(会社法392e条1, 2項)
⑦会議:半年に1回、会議の開催が必要となります。(会社法392f条)
⑧登記所への申告:事業年度が締まった後、180日以内に、財務諸表を登記所に提出しなければなりません。(会社法393i条)
⑨法定監査:OPCは法定監査を受けなくてはなりません。(会社法392j条)
+ .7 .参考文献
参考文献
・The Companies Act( Bangladesh), 1994
・The Companies (2ndAmendment) Act, 2020
・平成25年度バングラデシュ会社法調査 ジェトロ
