投資環境
投資環境
2026年のビジネス環境
世界銀行と国際金融公社(IFC)が発表する「Doing Business(ビジネス環境の現状)」をもとにして世界からのタイへの評価を見ることができるが、「Doing Business」ランキングの最新の正式な発表は2020年版までとなっております。2021年以降のランキングは、データの不正確さや不正行為に関する問題が発覚したため、世界銀行によって中止されました。
2020年の「Doing Business」ランキングにおいて、タイは世界全体で21位にランクインしました。このランキングは、ビジネスのしやすさを評価するための10の主要な指標に基づいています。タイの各指標での評価は以下の通りです。各評価ポイントは以下であり、ビジネス環境の多くの側面で良好な評価を受けており、投資家にとって魅力的な市場とされています。
1. 企業設立
タイは企業設立の手続きが比較的迅速であり、オンラインの申請システムが整備されています。これにより、新規企業が市場に参入しやすい環境が整っています。
2. 建設許可の取得
建設許可の取得に関する手続きは効率的で、地方自治体による規制が明確化されています。これにより、建設関連のプロジェクトがスムーズに進行することが可能です。
3. 電力供給の確保
電力供給は安定しており、企業が容易に電力を利用できる環境が整っています。再生可能エネルギーの導入も進められており、持続可能なエネルギー利用が促進されています。
4. 財産登録
不動産登記のプロセスは効率化され、短期間で完了することが可能です。政府はこの手続きの透明性を高めるため、デジタル化を推進しています。
5. 融資の取得
金融市場が成熟しており、企業は多様な融資オプションを利用できます。中小企業向けの融資支援が充実しており、金融アクセスの向上が図られています。
6. 投資家保護
タイは投資家保護の枠組みを強化しており、企業の透明性や情報開示の義務が厳格化されています。これにより、投資家は安心して資本を投入することができます。
7. 税金の支払い
税制は競争力があり、企業にとって有利な税率が提供されています。税務手続きはオンラインで行うことができ、手続きの簡素化が進められています。
8 国際貿易
国際貿易においては、自由貿易協定を活用し、通関手続きの効率化が進められています。これにより、輸出入にかかる時間とコストが削減されています。
9. 契約の履行
契約履行に関する法制度が整備されており、司法の独立性と効率性が企業間の紛争解決を円滑に進めます。
10. 破産処理
破産法は企業の再建を支援するように設計され、企業は効率的に再編成を行うことができます。透明性と迅速さが投資家にとって安心材料となっています。
日系製造業企業の海外事業展開の動向
国際協力銀行(JBIC)が発表した2025年度「わが国企業の海外事業展開に関する調査報告(第37回、GLOBE)」は、日本企業が直面する海外事業環境の現況と課題、今後の展望を明らかにしています。製造業では1,072社を対象に調査が行われ、541社から有効回答を得ました。また、非製造業では757社を対象に192社から有効回答を得ています。今回の調査では、米国政策のサプライチェーンへの影響、AIによる事業変革、海外でのサステナビリティへの取り組みなどが重要なテーマとして取り上げられています。
有望な事業展開先国の変遷
2025年度(第37回)の製造業向け調査結果によれば、インドが4年連続で首位となり、得票率は61.8%に達しました。2位は米国(28.1%)、3位はベトナム(25.1%)、4位はインドネシア(22.2%)、5位は中国(16.6%)、6位はタイ(15.1%)となっています。米国は堅調な経済と市場規模を背景に順位を上げた一方、ベトナム、インドネシア、タイなどASEAN主要国では、景気の減速や地場企業・中国企業との競争激化などを背景に、得票率の低下傾向がみられます。
地政学的リスクとサプライチェーン戦略の再考
米国の関税政策、米中対立、地域紛争などにより、海外事業環境の不確実性は引き続き高い状況にあります。米国の関税強化によって収益面で悪影響を受けた企業がある一方、米国内に拠点を有する企業の中には、政策変化を事業拡大の機会と捉える動きもみられました。企業は地政学的リスクや保護主義の拡大に対応するため、調達先や生産拠点の分散、現地調達・現地生産の強化など、サプライチェーンの最適化を進めています。
海外事業の強化と新たな投資分野
不確実な事業環境が続く中でも、日本企業の海外事業を強化・拡大する姿勢は前年より上昇しています。2024年度の製造業の海外生産比率は36.1%、海外売上高比率は40.9%となり、海外売上高比率は2年連続で過去最高水準を更新しました。また、管理部門では約6割、生産部門では約4割の企業がAIを活用しており、半導体製造やデータセンターなど、AI関連分野での新たな事業機会も注目されています。
タイにおける展開と評価
タイは、自動車、電気・電子、機械、部品産業を中心とする製造業の集積と、充実したサプライチェーンを背景に、引き続き日本企業にとって重要な事業拠点となっています。一方で、2025年度の有望国ランキングでは6位、得票率15.1%となり、前年の5位、18.8%から低下しました。人件費の上昇、景気の伸び悩み、地場企業や中国企業との競争激化などが課題として意識されており、従来の安価な労働力を前提とした投資先から、高付加価値製造、EV、デジタル、研究開発などを重視する投資先へと評価軸が変化しています。
ただし、リスク分散の流れの中で、インドやベトナム、インドネシアなど他の新興国にも企業の関心が広がっており、タイの得票率は中期的に低下傾向にあります。それでも、既存の日系企業集積、産業インフラ、部品調達網、ASEAN域内へのアクセスなどの優位性は大きく、タイは今後も日本企業の海外事業戦略における主要拠点の一つとして位置付けられると考えられます。
■ 直接金融(株式)市場
タイ証券取引所(Stock Exchange of Thailand:SET)は、タイ唯一の証券取引所であり、バンコク都クローントゥーイ区に所在しています。1974年に設立され、現在は**メインボード(SET)と、中小・成長企業向け市場であるMarket for Alternative Investment(MAI)の2市場で構成されています。タイ証券取引委員会(SEC)の監督のもと、国内資本市場の発展と企業の資金調達を支える重要な役割を担っています。
2026年7月現在、SET市場の上場企業数は約640社、MAI市場は約220社となっており、両市場を合わせた上場企業数は約860社となっています。 時価総額は約21兆バーツに達し、ASEAN有数の資本市場として国内外の投資家から高い関心を集めています。
次のグラフは近年のSET Indexの推移です。SET Indexは、SET市場に上場する全銘柄を対象とした時価総額加重平均株価指数であり、1975年4月30日を100として算出されています。市場全体の動向を示す代表的な株価指数として広く利用されています。
2015年から2019年にかけては、観光業や製造業を中心とした経済成長や外国直接投資(FDI)の拡大を背景に、SET指数は比較的堅調に推移しました。一方で、国内政治の不透明感が一時的に市場心理へ影響を与える局面も見られました。
2020年から2021年にかけては、新型コロナウイルス感染症の拡大により、観光業を中心にタイ経済は大きな打撃を受け、SET指数も急落しました。その後、政府による景気刺激策や金融緩和、中国を含む各国の経済活動再開を背景に、市場は回復基調へ転じました。
2022年以降は、世界的なインフレや高金利政策、ロシア・ウクライナ情勢などの影響を受け、市場は不安定な推移となりました。その一方で、観光業の本格回復やEV、半導体、データセンターなどの戦略産業への投資拡大が市場を下支えしています。2025年には世界的な景気減速や企業業績への懸念から軟調な局面が続きましたが、2026年に入るとデジタルインフラ投資の拡大や地政学リスクの緩和を背景に、SET指数は大きく回復し、外国人投資家の買い越しも増加しています。
■ 外国直接投資(FDI)
1997年のアジア通貨危機では、バーツの変動相場制への移行を契機として外国直接投資(FDI)は大きく減少しました。その後、タイ政府はIMFや日本をはじめとする国際社会の支援を受けながら金融・経済改革を進め、2000年代には投資環境が改善しました。さらに、タクシン政権による「デュアル・トラック・ポリシー」やFTAの推進により、外国直接投資は順調に拡大しました。
2008年の世界金融危機では投資が一時的に落ち込みましたが、その後は製造業を中心に回復し、自動車、電気・電子産業に加え、東部経済回廊(EEC)の整備や「Thailand 4.0」政策を背景に、高付加価値産業への投資が拡大しています。
2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により投資申請件数・投資額ともに減少しましたが、2021年以降は経済活動の再開とともに回復基調となりました。特にEV(電気自動車)、半導体、デジタル産業、データセンター、再生可能エネルギーなどへの大型投資が増加し、タイ政府の重点産業への投資が活発化しています。
BOI(タイ投資委員会)の統計によると、2024年の投資奨励申請件数は3,137件(前年比40%増)、申請額は約1兆1,400億バーツ(前年比35%増)となり、2014年以来の高水準となりました。
さらに2025年は、投資奨励申請件数が3,738件(前年比19%増)、申請額は約1兆3,700億バーツ(前年比約20%増)となり、過去10年間で最高水準を更新しました。大型案件ではデータセンター、クラウドサービス、半導体、EV・バッテリー関連投資が全体を牽引しています。
国・地域別では、シンガポール、中国、日本、香港、台湾などからの投資が引き続き多く、日本企業は自動車、電子部品、機械、食品、化学など幅広い分野で重要な投資国となっています。また、近年はAI関連インフラやデジタルサービスへの投資が急速に拡大しており、タイ政府もこれらを重点産業として積極的に支援しています。
今後もEEC開発やBOI優遇制度を背景に、高付加価値製造業やデジタル産業を中心とした外国直接投資の拡大が期待されています。
■ 国別外国投資受入額
タイはASEANの製造・物流・サービス拠点として高い競争力を維持しており、外国直接投資(FDI)の受入れは近年も拡大を続けています。BOIによると、2025年の投資奨励申請額は約**1兆3,700億バーツ(3,738件)**となり、前年を大きく上回りました。
国別では、シンガポール、中国、日本、香港、台湾などからの投資が多く、特にデータセンター、デジタル産業、半導体、電気自動車(EV)、再生可能エネルギー関連への大型投資が増加しています。
日本は引き続きタイにおける主要な投資国の一つであり、自動車産業を中心に、電機・電子部品、機械、化学、物流など幅広い分野で重要な役割を果たしています。
■ 業種別外国投資受入額
2025年は、デジタル産業・データセンター・クラウドサービス・半導体・EV関連産業が投資を大きく牽引しました。
製造業では、EV・電子機器・半導体・スマートエレクトロニクスへの投資が増加し、サービス業ではデジタルサービス、物流、研究開発(R&D)、国際ビジネスセンター(IBC)への投資が堅調に推移しています。
タイ政府はBOIを通じて、高付加価値産業への投資優遇措置を強化しており、従来の労働集約型産業から、先端技術・イノベーションを重視した産業構造への転換を進めています。
■ タイへの日本企業の進出数
タイには、日本の海外商工会議所の中でも最大級の組織である**盤谷日本人商工会議所(JCC)**があり、2026年現在も約1,600社の日系企業が会員として登録しています。
一方、JETROがタイ商務省事業開発局(DBD)のデータを基に集計した調査によると、2024年7月時点で営業中(Operating)の日系企業は9,146社となっています。これは中国に次ぐアジア有数の日系企業集積地であり、自動車、電機・電子、機械、化学、物流、小売、サービスなど幅広い産業で日本企業が事業を展開しています。
近年は、従来の製造業に加え、デジタル関連、半導体、EV(電気自動車)、医療、環境・脱炭素分野への投資も拡大しており、タイはASEAN市場向けの生産・販売・研究開発拠点として引き続き重要な役割を担っています。
■ 日系企業のタイへの進出企業数の推移
1980年代以降、日本企業のタイ進出は急速に拡大しました。1985年のプラザ合意以降の円高を背景に、多くの製造業が生産拠点をタイへ移転し、自動車や電機・電子産業を中心に投資が拡大しました。
1990年代にはタイがASEAN有数の製造拠点へと成長し、多くの日系企業が進出しました。2000年代には製造業に加え、物流、商社、金融、IT、サービス業などへ進出分野が広がり、日本企業の事業領域も多様化しました。
2010年代以降は、タイ政府による**「タイランド4.0」政策や東部経済回廊(EEC)**の推進を背景に、高付加価値産業への投資が拡大しています。近年では、EV、半導体、デジタル産業、再生可能エネルギー、データセンターなどの分野で新たな投資が進み、日本企業の進出形態も生産拠点から研究開発、地域統括、サービス機能を含む総合拠点へと発展しています。
■ バンコク日本人商工会議所(JCC)の会員構成
盤谷日本人商工会議所(JCC)の会員企業は、依然として製造業が最も大きな割合を占めています。一方で、近年は商社、物流、IT、金融、建設、コンサルティング、医療など非製造業の会員も増加しており、業種構成は年々多様化しています。
また、**日・タイ経済連携協定(JTEPA)**やASEAN域内の自由貿易協定を活用し、タイをASEAN域内および第三国向けの生産・物流拠点として位置付ける企業も多く、物流・サプライチェーン関連分野の重要性は引き続き高まっています。
■ 日系企業のタイへの投資金額(2026年版)
タイでは、外国投資の促進を目的とした投資奨励法および外資規制を定める外国人事業法(Foreign Business Act:FBA)を中心に投資政策が運用されています。タイ投資委員会(BOI)は、産業構造の高度化や先端産業の育成を目的として、投資奨励制度を継続的に見直しており、現在はEV、半導体、デジタル産業、データセンター、バイオテクノロジー、再生可能エネルギーなどの高付加価値産業を重点的に支援しています。
日本は依然としてタイの主要投資国の一つであり、自動車・自動車部品、機械、電気・電子機器、化学製品などの製造業に加え、近年では物流、金融、IT、デジタルサービス、研究開発(R&D)など非製造業への投資も拡大しています。
また、タイ国内市場の拡大やASEAN域内市場へのアクセスを背景として、従来の生産拠点に加え、地域統括会社(Regional Headquarters)や国際ビジネスセンター(IBC)、研究開発拠点としてタイへ進出する日系企業も増加しています。
■ BOI投資奨励制度
BOIの投資奨励制度は、産業競争力の強化やイノベーション促進を目的として継続的に改正されています。現在では、対象事業はデジタル、スマートエレクトロニクス、EV・次世代自動車、医療・バイオ、航空・物流、循環型経済、グリーン産業など幅広い分野に拡大されており、投資内容に応じて法人所得税免除や輸入関税免除などの恩典が付与されます。
さらに、東部経済回廊(EEC)や半導体・データセンターなど国家戦略産業への投資については、追加的な優遇措置も設けられており、高度人材の受入れや研究開発投資を後押ししています。
■ 大きな国内マーケットと成長への期待
JBICの「2025年度海外事業展開調査(第37回)」によると、タイは日本の製造業企業が今後3年程度の中期的な事業展開先として有望視する国・地域のうち、第6位、得票率15.1%となっています。前年の第5位、18.8%から順位と得票率は低下したものの、ASEANではベトナム、インドネシアに次ぐ上位を維持しています。
タイが評価される背景には、一定規模の国内市場、既存の産業集積、充実したサプライチェーン、ASEAN域内へのアクセスなどがあります。一方で、日本企業にとっては人件費を含む事業コストの上昇、現地企業や中国系企業との競争激化、経済成長率の鈍化などが課題となっています。JBIC調査でも、主要ASEAN諸国について、景気減速や他国企業との競争激化を背景に、中期的な得票率が低下する傾向が示されています。
【中期的有望事業展開先国(2025年度・JBIC第37回調査)】
タイの国内総生産は、2024年の名目GDPで約5,265億米ドル、実質GDP成長率は2.5%となっています。ASEAN主要国と比較すると、名目GDPはインドネシアを下回る一方、マレーシア、ベトナム、フィリピンと同程度またはそれ以上の規模にあり、消費市場と産業基盤の双方を有する市場といえます。
従来、日本企業のタイ進出は自動車、電機・電子、機械などの製造業が中心でしたが、近年は小売、外食、物流、金融、IT、医療、教育、専門サービスなど、国内需要を対象とした非製造業の事業展開も広がっています。また、富裕層や中間所得層向けの商品・サービスに加え、デジタル化、脱炭素、EV、データセンターなど新たな需要を取り込む投資も進んでいます。
このため、タイは単なる低コストの生産拠点ではなく、国内販売、ASEAN向け輸出、地域統括、研究開発、サービス提供を組み合わせた総合的な事業拠点として評価されています。
■ 人材・教育面での特徴
タイでは教育水準の向上が進み、製造業やサービス業に必要な人材基盤が整備されてきました。一方で、技術者、IT人材、管理職候補などの高度人材については不足も指摘されており、企業には採用だけでなく、社内教育、技能訓練、人材定着のための制度整備が求められています。
タイ人材は、日系企業での勤務経験を持つ人材が多く、日本式の品質管理や業務運営に理解がある点が評価されています。また、親日的な社会環境や、周辺国と比較して整備された生活・医療・教育環境も、日本人駐在員やその家族にとっての利点となっています。
■ インフラ整備への期待
現在は、タイ政府の物流システム開発行動計画2023~2027年などに基づき、鉄道、道路、港湾、空港、都市交通、国境物流の整備が進められています。複線鉄道、バンコク首都圏の都市鉄道、高速道路、東部経済回廊の物流網などが主要な整備分野です。
これらのインフラ整備により、国内物流の効率化に加え、カンボジア、ラオス、ミャンマー、マレーシアなど周辺国との接続性向上が期待されています。タイは今後も、メコン地域およびASEANの生産・物流拠点として重要な位置を占めると考えられます。
■ 充実したインフラ(2026年版)
タイはASEANの交通・物流ハブとしてインフラ整備を継続して進めており、道路、鉄道、港湾、空港などを中心に物流ネットワークの高度化が図られています。東部経済回廊(EEC)をはじめとする国家プロジェクトにより、国内物流だけでなくASEAN域内との接続性も向上しています。
道路網は全国に整備されており、高速道路やモーターウェイの延伸に加え、アジアハイウェイネットワークを通じてカンボジア、ラオス、マレーシアなど周辺国との陸上輸送ルートが強化されています。これにより、タイはメコン地域における物流拠点として重要な役割を担っています。
一方、バンコク首都圏では依然として交通渋滞が大きな課題となっています。これに対応するため、BTS(高架鉄道)やMRT(地下鉄)の路線延伸が継続して進められており、都市鉄道ネットワークは年々拡充されています。また、高速道路や都市間鉄道などの整備も進められ、交通利便性の向上が期待されています。
■ 空港・港湾
タイにはスワンナプーム国際空港およびドンムアン国際空港を中心とした航空ネットワークが整備されており、スワンナプーム空港では第2ターミナルや第3滑走路などの拡張計画が進められています。さらに、ウタパオ国際空港を含む**「3空港高速鉄道プロジェクト」**がEEC開発の重要プロジェクトとして推進されており、首都圏と東部工業地域のアクセス向上が期待されています。
港湾では、レムチャバン港がタイ最大の国際貿易港としてASEAN有数のコンテナ取扱量を誇り、第3期開発計画により処理能力の拡大が進められています。また、マプタプット港は石油化学・エネルギー関連産業の物流拠点として重要な役割を担っています。
これらの港湾・空港・道路・鉄道を組み合わせた物流インフラの整備により、タイはASEAN域内市場への輸出拠点として高い競争力を維持しています。
[鉄道](2026年版)
タイの鉄道網は、国有鉄道(SRT)を中心に全国約4,000kmにわたり整備されています。近年は、物流効率の向上やASEAN域内との接続強化を目的として、複線化事業や高速鉄道プロジェクトが積極的に進められています。
また、バンコク首都圏ではBTS(高架鉄道)、MRT(地下鉄)、エアポートレールリンクなど都市鉄道網が拡大を続けており、市民の移動利便性向上に加え、交通渋滞の緩和にも寄与しています。
さらに、東部経済回廊(EEC)では、スワンナプーム空港・ドンムアン空港・ウタパオ空港を結ぶ3空港高速鉄道プロジェクトが進められており、空港アクセスや物流ネットワークの強化が期待されています。
[電力](2026年版)
タイはASEANの中でも比較的安定した電力供給体制を有しており、製造業をはじめとする外資系企業の事業運営を支える重要なインフラとなっています。発電・送電設備の整備が進んでおり、大規模な計画停電が実施されることは少なく、電力供給の信頼性は高い水準を維持しています。
一方で、雷や豪雨の影響により、一部地域では短時間の停電が発生する場合がありますが、多くは短時間で復旧します。このため、多くの日系製造業ではUPS(無停電電源装置)や非常用発電設備を導入し、生産への影響を最小限に抑えています。
タイ政府は、「Power Development Plan(PDP)」や「Alternative Energy Development Plan(AEDP)」に基づき、再生可能エネルギーの導入拡大や脱炭素化を推進しています。太陽光発電、風力発電、バイオマス発電などへの投資が進められており、近年ではデータセンターやEV産業の拡大に対応した電力インフラの整備も重要政策の一つとなっています。
■ グローバル生産拠点としてのタイ(2026年版)
JBIC「2025年度海外事業展開調査(第37回)」によると、タイは日本企業が中期的に有望と考える事業展開先として**第6位(得票率15.1%)**となっています。順位は前年から一つ下がったものの、ASEANでは依然として主要な投資先の一つであり、自動車、電子・電機、機械、化学などの製造業を中心に、高度な産業集積が形成されています。
タイには長年にわたり多くの日系企業が進出しており、部品メーカー、物流企業、商社、金融機関などを含めたサプライチェーンが成熟しています。そのため、原材料や部品の現地調達が容易であり、ASEAN域内への輸出拠点として高い競争力を維持しています。
また、近年ではEV、半導体、スマートエレクトロニクス、データセンターなど高付加価値産業への投資が拡大しており、BOIによる投資優遇制度や東部経済回廊(EEC)の開発を背景に、タイは従来の大量生産拠点から高度技術産業の集積地へと発展しています。
日本企業においても、生産拠点としてだけでなく、研究開発(R&D)、地域統括機能、アフターサービス、デジタルサービスなどを組み合わせた総合的な事業拠点としてタイを位置付ける動きが広がっています。
[輸出拠点として最適な立地と充実したインフラ]
タイはASEANの中心部に位置し、ミャンマー、ラオス、カンボジア、マレーシアと国境を接する地理的優位性を有しています。また、レムチャバン港、スワンナプーム国際空港、高速道路網、複線鉄道など物流インフラの整備が進んでおり、ASEAN域内への輸出拠点として高い利便性を備えています。
さらに、ASEAN自由貿易協定(AFTA)をはじめ、RCEPや各国との自由貿易協定(FTA)を活用することで、ASEAN域内のみならず中国、日本、韓国、オーストラリアなどへの輸出においても関税面でのメリットを享受できます。
近年は、中国・インド市場だけでなく、ASEAN全域を対象とした地域統括・物流拠点としてタイを活用する企業も増加しており、製造、販売、物流、研究開発を一体化したサプライチェーンの構築が進んでいます。
[ ASEAN自由貿易地域(AFTA)の効果](2026年版)
AFTA(ASEAN Free Trade Area)は、ASEAN加盟国間の関税・非関税障壁の撤廃を進めることにより、域内貿易の拡大と投資促進を目的として設立された自由貿易協定です。現在、ASEAN加盟10か国の人口は約6億9,000万人に達し、世界有数の経済圏を形成しています。
ASEAN域内では、多くの品目について関税が実質的に撤廃されており、タイで生産した製品をASEAN各国へ比較的低いコストで輸出できる環境が整っています。このことから、多くの日系企業がタイをASEAN向けの製造・物流拠点として活用しています。
さらに、2022年に発効した地域的な包括的経済連携(RCEP)協定により、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドおよびASEAN加盟国を含む世界最大級の自由貿易圏が形成されました。タイ企業や日系企業は、RCEPを活用することで関税負担の軽減やサプライチェーンの最適化を図ることが可能となっています。
タイはASEANの中心に位置し、レムチャバン港、スワンナプーム国際空港、高速道路網、東部経済回廊(EEC)などの物流インフラを背景に、ASEAN域内だけでなくRCEP加盟国への輸出拠点としても高い競争力を有しています。
また、タイはASEAN自由貿易協定(AFTA)に加え、日本・タイ経済連携協定(JTEPA)、ASEAN・日本包括的経済連携協定(AJCEP)など複数のEPA・FTAを活用できるため、企業は取引先や品目に応じて最適な制度を選択することができます。
JBIC(国際協力銀行)海外事業展開調査
https://www.jbic.go.jp/ja/information/investment.html
JBIC「タイの投資環境」
https://www.jbic.go.jp/ja/information/investment/inv-thailand202510.html
タイ投資委員会(BOI)
https://www.boi.go.th
JETRO(タイ)
https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/
世界銀行(World Bank Thailand)
https://www.worldbank.org/en/country/thailand
World Bank Data(タイ経済データ)
https://data.worldbank.org/country/thailand
タイ中央銀行(Bank of Thailand:BOT)
https://www.bot.or.th
タイ国家経済社会開発評議会(NESDC)
https://www.nesdc.go.th
東部経済回廊事務局(EECO)
https://www.eeco.or.th
タイ商務省(Ministry of Commerce)
https://www.moc.go.th
タイ事業開発局(Department of Business Development:DBD)
https://www.dbd.go.th
タイ税関(Thai Customs Department)
https://www.customs.go.th
タイ運輸省(Ministry of Transport)
https://www.mot.go.th
タイ国有鉄道(State Railway of Thailand:SRT)
https://www.railway.co.th
タイ都市高速鉄道公社(MRTA)
https://www.mrta.co.th
BTS Group
https://www.bts.co.th
Airports of Thailand(AOT)
https://www.airportthai.co.th
Port Authority of Thailand(PAT)
https://www.port.co.th
タイ発電公社(EGAT)
https://www.egat.co.th
エネルギー政策計画局(EPPO)
https://www.eppo.go.th
ASEAN Secretariat
https://asean.org
RCEP Secretariat
https://rcepsec.org
