国際税務
中国進出に係る国際税務
国際税務総論
戦後、日本経済のグローバル化により税務問題が発生したため、その問題に対応する新たな税制度が整備されてきました。わが国の経済環境と租税制度の変化の歴史を振り返ります。
国際取引が増加する中で最も大きな問題となったのが各国の課税権です。各国の税法はそれぞれの国が独自に定めているため、国際取引によって発生した所得等に対してどこの国が課税権を有しているかが問題となります。したがって、各国の税務規定ならびに租税条約を理解し、各国の課税権を明確に認識し、国際間での不要な追徴課税や二重課税を回避することが重要となります。
国際間取引により発生した利益等に対してどのように処理すべきかを、各国の税務規定や租税条約も含めて比較検討しながら税金を納付する一連の作業を国際税務といいます。国際取引がますます増大する今日において、国際税務の必要性は今まで以上に大きくなっています。
■ 外国税額控除制度
戦後間もなく日本は急激な勢いで復興しました。しかし、国内には経済活動に必要な物資が少なかったため、海外との取引高が増えました。ここで問題となるのが二重課税です。たとえば、国内で製造した製品を海外に設立した子会社で販売する場合、海外で発生した利益については、海外と日本で計2回の法人税が課税されてしまいます。そこで、国際的二重課税を排除する外国税額控除制度が定められました(1953年度の法人税法の改正)。これは、海外で支払った法人税を納付すべき日本の法人税から控除できる制度です。
■ タックス・ヘイブン対策税制
日本経済は発展を続け、1968年にGNP(国民総生産)で世界第2位の経済大国になりました。経済の発展とともに日本企業が多国籍化していく中で、税金の負担を非常に低くしている国(タックス・へイブン国)に子会社等を設置し、当該国と取引をすることで多国籍企業全体の税負担を意図的に軽減しようとする企業が出てきました。
このような多国籍企業による租税回避行為は、税負担の公平性および日本の課税権の確保の見地からすると深刻な問題です。このような租税回避行為を防ぐため導入されたのがタックス・へイブン対策税制です(1978年度の法人税改正)。タックス・へイブン対策税制については後述「国際税務の個別論点」で詳しく述べます。
■ 移転価格税制
日本企業の多国籍化が進む中、高税率な日本の法人税から逃れるため、特殊な会計処理により租税回避を図る企業が増えました。特殊な会計処理とは企業グループ間で発生する取引価格を操作することで、税金の安い国へ利益を移転させるという処理です。この税制は、タックス・へイブン対策税制とも似ていますが、タックス・へイブン国以外の国との取引でも行われる点が大きな特徴です。しかしながら、このような租税回避もタックス・へイブン対策税制同様、非常に深刻な問題です。
この問題を解決するために制定されたのが移転価格税制です(1986年度の法人税改正)。移転価格税制とは、日本法人と外国法人との間の取引が通常の取引価額(独立企業間取引価格)と比べて低いもしくは高いことで、日本法人の所得が減少する場合は、当該取引は通常の価格で取引したとみなし、法人税の計算をするという制度です(12章「移転価格税制」を参照)。
■ 過少資本税制
日本経済において対外直接投資だけでなく、対内直接投資も増加していくと、新たな税務の問題が発生しました。外国企業が日本で事業を行う際、資金調達方法として「出資」と「借入」がありますが、通常、出資に対する配当金の支払については損金計上ができません。しかし、借入に対する利息は損金計上できるため、外国企業の親会社からの出資を少なくする代わりに過大な有利子負債の借入をすることで租税回避を図る企業が増えてきたのです。
このような問題に対応するために過少資本税制が導入されました(1992年の法人税改正)。過少資本税制とは、日本国内に存在する外国企業等の子会社の借入金が資本金等に対して一定倍数を超える場合は、対応する支払利息等は法人税法上で損金算入できないという制度です。
■ 過大支払利子税制
支払利子を損金に算入することにより税負担を圧縮する租税回避が可能となるため、主要先進国では支払利子の損金算入制限措置を強化する傾向にあります。さらに、租税条約において利子の源泉地国免税制度の導入が進められていますが、日本の租税条約の改正でも、国際的な投資交流の促進の観点から源泉地国免税制度の拡大が考えられます。
しかしながら利子の源泉地国免税制度の下では、過大な支払利子により税負担を圧縮する租税回避行為のリスクが懸念されます。自社と深い関係のある関連者への利子の支払を通じた租税回避行為を封ずる措置として、上述の移転価格税制、過少資本税制に加え、2012年の税制改正により、所得金額に比して過大な支払利子の損金算入を制限する過大支払利子税制が設けられました。この制度と過少資本税制の適用関係、ならびに外国子会社合算税制の適用による二重課税の調整の必要から、それぞれの制度の改正も併せて行われています。
関連者とは以下の者を指します。
① 企業との間の直接・間接の持分割合が50%以上である者
② 企業との間で実質支配・被支配の関係にある者
③ ①②に該当する者による債務保証を受けており、その企業に資金を提供する第三者等
進出形態別の留意点
中国に進出する際、税務上、いずれの税制にも共通する留意点は以下のとおりです。
・ 中国税制度の基本的理解
・ 日中租税条約の基本的内容の理解
・ 税制優遇制度の有無と内容の理解
・ 中国子会社で生み出された利益の還流スキーム
・ 税制改正等の新たな情報収集
中国でビジネスを始める際の進出形態はいくつかありますが、拠点を設けない場合と拠点を設ける場合の2種類に大別できます。拠点を設けない場合は、委託加工、既存の中国企業への少額出資等があります。
一方、拠点を設ける場合は、駐在員事務所、支店、現地法人形態での進出があります。それぞれ会社の目的に合った進出形態を選択することが大切です。進出形態別に税務規定が異なるため、メリットとデメリットを検討した上で、予め十分にプランニングをしておくことが重要です。進出形態と税務規定の関わりについて解説します。
■ 拠点を設けずにビジネスを行う場合
製品の輸出や委託加工を行う場合など、中国で拠点を設けずにビジネスを行う場合、企業所得税は課税されません。しかし、恒久的施設(PE:Permanent Establishment)に認定された業務により稼得する所得に関しては、拠点を設けていなくても中国国内源泉所得に対して企業所得税が課税されます。
■ 拠点を設けてビジネスを行う場合
中国に拠点を設けてビジネスを行う形態は以下の3つです。
・ 駐在員事務所
・ 支店
・ 現地法人
[駐在員事務所を設けて活動する場合]
駐在員事務所は営利活動に従事することを禁止されている(違法行為への罰則として、上限50万元の罰金を科されることもある)ため、利息収入等を除き、基本的に企業所得税が発生することはないと考えられます。
しかし、駐在員事務所の活動において営業活動とみなされる行為がある場合は課税されます。多くの中国駐在員事務所において、実務上は企業所得税が課税されているのが実態です。
駐在員事務所における企業所得税の課税および申告方法は以下のとおりです。
原則的な方法
中国駐在員事務所は、駐在員事務所の課税対象収入および課税対象所得を正確に計算した上で、四半期終了後の15日以内に企業所得税を申告・納付しなければなりません。
帳簿が不完全な場合
管理不足により帳簿が不完全なため、実績に基づいた計算所得で税金の申告・納付ができない駐在員事務所に対して、中国の税務機関は費用額を元に算出する方法または収入額を元に算出する方法を採用する権限を持っています。
実務上は費用額を元に算出する方法が一般的です。日本の法人税法上、駐在員事務所で発生した収益から費用を差引いて、利益が残る場合は法人税が課せられます。
日本から派遣する駐在員の所得については、駐在員事務所と日本の給与負担問題ならびに現地における源泉税の納付・申告方法などについて事前に確認する必要があります。
[支店を設けて活動する場合]
支店設立の規制
支店は駐在員事務所と現地法人の中間的な拠点で、中国語で分公司といいます。外国企業(外国の法律によって設立された会社)の支店と外商投資企業(中国の法律によって設立された会社=中国現地法人)の支店に分類されます。
外国企業の支店については、現在、設立の具体的な認可規則は国務院に委ねるとされており(2024年改正会社法245条2項)、銀行と保険会社においてのみ許可対象とされています(外資銀行管理条例7条および外資保険会社管理条例7条)。それ以外の分野については明確な規定がなく、支店設立は事実上認められていません。
外商投資企業の支店は営業性分公司と非営業性分公司に分類されます。営業性分公司は本店(現地法人本社)の経営範囲と同様の経営活動を行う支店を指します。非営業性分公司は本店の事務連絡手続等の補助業務のみを行う、営業活動できない支店を指します。
企業所得税の予納義務
一定の要件を満たす支店を持つ外商投資企業は、本支店の課税所得・納付金額を一括計算し、50%分を各支店が納付すべき企業所得税額として計算します。その後、本支店それぞれの所在地にて、配分計算(予納する支店配分率)に基づき企業所得税を月または四半期ごとに予納しなければなりません。年度終了後(12月末後)、本支店それぞれで確定申告を行い、不足分の追加納税を行いまたは過納分の還付を受けます(财预[2012]40号)。
一定の要件を満たす支店とは、主要な生産経営機能を持つ二級支店(本社または本店の下にある分支機構)を指し、本社または本店が直接統一して財務計算・人員管理等をする、被法人営業許可証を受領した支店であると定義されています。予納する支店の企業所得税の配分比率は以下のように算出します。
なお、新設の支店は、設立初年度の予納は不要です。
[現地法人を設けて活動を行う場合]
中国に現地法人を設けた場合、中国国内・国外を問わず、発生した所得が課税対象となります(全世界所得課税)。中国の企業所得税率は基本的に25%です。ただし、中国国務院が定める税優遇により、農業新技術、エネルギー・材料の節約に関する新技術、環境汚染防止に資する技術など国家が重点的に支援の必要のあるハイテク企業などは15%になることがあります。
企業所得税の納付期限としては、月または四半期の終了日から15日以内とされています。月ごとまたは四半期ごとのいずれの納付になるかの判断は、中国税務局の査定によって決まります。この査定は、設立時だけでなく設立後も継続して不定期に行われ、その都度納税の頻度が決まります。
国際税務戦略
資金調達と資金還流に係る税務戦略
■ 資金調達方法
中国へ進出する際の資金調達方法は大きく4つに分けられます。
・ 増資
・ 借入
・ 延払取引
・ リース
増資は返済義務がないため、財務基盤が安定するというメリットがあります。しかしながら、議決権(経営権)の増減に影響を及ぼすことや配当金が損金(企業所得税法上の費用)として認められない等のデメリットもあります。
借入・延払取引・リースについては、議決権の増減に影響がないことや、支払利息が損金として認められるため税金コストを低く抑えられるというメリットがあります。デメリットとしては返済義務があることや、会社の収益の有無にかかわらず利息が発生すること等が挙げられます。
[増資]
出資金は基本的に会社清算しない限り返済する必要がない資金であるため、増資が最も安定した資金調達方法といえます。しかしながら、手続上では注意すべき点があります。
例えば、中国政府から新たな営業許可証を入手し、出資監査を受ける必要があるため資金をすみやかに活用できない点が挙げられます。
2020年1月1日施行の外商投資法により外資三法(外資独資企業法、中外合弁経営企業法、中外合作経営企業法)およびその実施細則・条例は廃止され、現在は会社法(2024年7月1日施行の改正会社法)に基づいて減資手続が規律されています。改正会社法第224条以下では、減資には債権者への通知(決議日から10日以内)と新聞公告(30日以内)を経て、債権者からの異議申立期間を経過した後に減資手続を行う旨が定められています。また、改正会社法第47条により有限責任会社の登録資本金は5年以内の払込が義務付けられたため、実務上は払込未完了部分の減資(認缴出資の調整)と既払込資本の減資(実缴出資の払戻し)は手続要件が異なる点に留意が必要です(第6章「設立」、第8章「会社法」参照)。
[借入]
海外からの借入と中国国内からの借入の2つがあります。海外からの借入の場合、以前からの規定として、中外合資企業の登録資本金と総投資の比率に関する暫定規定(工商企字[1987]第38号令)があります。この規制は外国企業に適用される規定で、外貨管理をより厳重にするために設けられました。
規定に基づくと、外国企業における総投資額と登録資本金の割合が定められており、上限を超える外貨建借入は認められません。
また、中国国内からの借入は、実務上自由に行うことが可能です。外貨借入限度額の規制対象はあくまでも海外からの借入を指します(国内外資銀行外債管理弁法3条)。いずれの資金調達方法を選択する場合でも、外資管理が厳しい中国では日本のように自由に資金調達ができないため、あらかじめ戦略的な計画を立てることが重要です。
これに対し、2017年1月の「全範囲クロスボーダー金融のマクロプルーデンス管理に関する通知」(銀発〔2017〕9号)以降、外商投資企業はもう一つの方式である「マクロプルーデンス管理方式」も選択可能となっています。マクロプルーデンス方式の外債枠は「純資産×クロスボーダー融資レバレッジ率×マクロプルーデンス政策因数」で計算され、中国人民銀行・国家外貨管理局はマクロ経済・国際収支の状況に応じてマクロプルーデンス政策因数を調整してきました。2020年3月:1→1.25、2022年10月:1.25→1.5(外債枠が純資産の2倍→2.5倍)、2023年7月:1.5引き上げ後の枠組みで純資産の3倍へ拡大、と段階的に緩和されてきています。両方式は併用が認められておらず、いずれかを選択する必要があります(第4章「外国為替」参照)。
[延払取引]
海外からの借入枠とは別枠で延払外債枠を活用して資金調達を行う方法もあります。延払外債枠とは中国子会社が国外から機械や部品を輸入した際、前年度の輸入額の10%以内であれば海外借入枠にかかわらず海外から借入れることができる枠のことです。
[リース]
リースはファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分けることができますが、中国ではそれぞれ貸借対照表での表示、税務費用額、営業税額、リース期間終了後の会計処理の取り扱いが異なるため注意が必要です。
中国に進出している企業の多くは、いったん自社で購入した資産をリース会社に売却して、リース契約を締結するセール・アンド・リースバックを活用しています。これには中国現地法人自身で運転資金の確保が可能になるというメリットのほか、税金コスト抑制の効果もあります。セール・アンド・リースバックでは、資産売却時の営業税が免除され、減価償却費と利息が税務上の費用として認められます。
子会社からの資金回収
親会社による子会社からの資金回収方法として、清算・解散による回収、株式譲渡による回収、親子会社間の貸付利息等がありますが、主に行われるのは配当による回収(資本取引)と親子会社間取引による回収(損益取引)です。
資金回収方法の選定にあたっては、投資回収額を最大化かつ税務リスクを最小化するよう綿密な戦略を立てることが重要です。
配当による方法では、取引価格の調整は行わないため移転価格税制上のリスクがないというメリットがありますが、処分可能利益がなければ配当が不可能になるというデメリットもあります。一方、親子会社間取引による方法では取引の金額調整ができるため、子会社の処分可能利益に影響されることなく資金回収できるというメリットがありますが、移転価格税制上のリスクがあるというデメリットがあります。
■ 配当による親会社への還流
配当により親会社へ利益を還流する際は、中国側と日本側でそれぞれ注意することがあります。
[中国側での注意点]
中国側では中国子会社の利益から日本親会社への配当に関して、10%の源泉税率により課税されます。ただし、2008年1月1日以前の会計年度に計上された利益からの配当については免税とされています。これは外国企業に対する優遇税制があったためです(财税[2008]1号、企業所得税の若干の優遇政策に関する通知)。
したがって、中国子会社の利益が計上された時期により課税されるか否かが決まるため注意が必要です。
[日本側での注意点]
日本側では、日本親会社の中国子会社に対する出資保有要件により処理が異なります。日本親会社の中国子会社に対する持分割合が25%以上あり、かつ配当等の支払義務が確定する日の6カ月前より継続保有している場合は、その中国子会社からの配当金の95%が益金不算入となります(配当免税)。残りの5%は日本親会社における子会社管理費用に対応する収益とみなされ、益金算入されます。それ以外の場合は益金算入となりますが、保有期間が配当等の支払義務が確定する日までに6カ月未満であれば、外国税額控除が利用できます。
[事例]子会社からの配当による場合
次の図は、中国子会社で発生した利益を100%持分の親会社へ配当によって還流するケースを想定しています(親会社は子会社株式を6カ月以上保有)。
①子会社の法人税額を算出
1,000,000 × 0.25(一般的な企業所得税率) = 250,000
②三項基金※を算出
750,000 × 0.1 = 75,000
※法定積立金。三項基金の一つである企業発展基金は会社の予備的留保資金を指し、独資(100%持分)の場合、税引き後利益の10%以上の積立が義務付けられている。
③配当可能未処理利益の全額を親会社へ配当したと仮定して配当源泉税を算出
配当源泉税 = 675,000 × 0.1※ = 67,500
※通常、中国の源泉税率は20%だが、外国人投資家が中国かた受け取る配当については日中租税条約で10%に軽減する旨を規定している。
④親会社側の法人税額の算出
(607,500(配当送金額 + 67,500※)) × 0.05(益金算入割合) × 0.3(法人税率) = 10,125
※日本の法人税法上、外国からの配当に関する外国税金は損金算入および税額控除は認められていない。したがって、課税所得を計算する場合には、配当送金額に配当源泉税を加算した金額に基づいて算出する。
⑤キャッシュインフローの算出
607,500 – 10,125 = 597,375
■ 親会社との取引を通じての還流
中国子会社が親会社から輸入する場合や中国子会社がロイヤルティ等を支払うことで、実質的に親会社へ利益を還流させる方法があります。この方法は税制上のメリット(みなし外国税額控除)があります。しかしながら、国外関連会社との取引は移転価格税制の対象になるため(寄附金を除く)、税務当局からの指摘に備え、妥当な価格または税率であることを証明するための資料を揃えておくことが重要です。
[事例1]子会社からロイヤルティ報酬を受ける場合
次の図は、日本親会社が中国子会社とライセンス契約を締結し、日本親会社がロイヤルティ報酬を受けるケースを想定しています。ロイヤルティの報酬額は1,000,000円、増値税率は6%とします(無形固定資産の使用権の譲渡・許諾、いわゆる特許権等使用料は現行制度では現代サービスの一部として増値税6%が課されます。第9章「税法」参照)。
なお、原稿執筆当時の中国では、ロイヤルティに係る取引について営業税(5%)と増値税が並立していましたが、2012年1月から段階的に進められた「営業税の増値税への統合(営改増)」が2016年5月1日に全面完了し、これに伴って中国における営業税は完全に廃止されました。現在、特許権・商標権・著作権等の無形固定資産の使用権の許諾に係るロイヤルティは「現代サービス」のうち「文化創意サービス・知的財産サービス」または「研究開発及び技術サービス」として、増値税6%が課税されます(第9章「税法」参照)。
①ロイヤルティ費用(親会社から見たロイヤルティ収入)に係る源泉税の算出
1,000,000(ロイヤルティ費用)×0.1※=100,000
※原則として源泉税率は20%だが、ロイヤルティ収入に関しては日中租税条約で10%に軽減する旨を規定している
②ロイヤルティ収入に係る増値税の算出
1,000,000×0.06※=60,000
※無形固定資産の使用権の譲渡・許諾(特許権・商標権・著作権等)に関しては、2016年5月1日の営改増完了以降は現代サービスの一部として増値税率6%が課される(営業税は廃止済み)
③ロイヤルティ受取額の算出
1,000,000-100,000(源泉税)-60,000(増値税)=840,000
④日本の法人税額の算出
840,000×0.3=252,000
⑤日本のみなし外国税額控除額※の算出
1,000,000×0.2=200,000
※中国において、ある一定の額の税金を納付したとみなして、外国税額控除できるもの。事例1では、実際に納付した税額は100,000円(収入の10%)だが、200,000円(収入の20%)を納付したとみなして200,000円を控除できる計算となる。この控除は外国子会社から受取る配当金についても認められていたが、平成21年度税制改正により、経過措置の後、廃止となった。
⑥補足
事例1では、ロイヤルティ受取額840,000円とみなし外国税額控除200,000円の合計額1,040,000円が、実際のロイヤルティ収入1,000,000円よりも大きくなる計算になります。ただし、外国税額控除には控除限度額の定め等があるため、実務上は計算額が異なる場合があります。なお、本事例の数値は営業税が増値税に統合された後(2016年5月1日以降)の現行制度を反映したものです。また、上記の「みなし外国税額控除」については、日本の法人税法上の制度として既に廃止されており、本事例の200,000円のみなし外国税額控除は、廃止前の制度内容を示す参考的な記載となります(経過措置適用期間も既に終了)。
外国税額控除の基本的な考え方としては、以下の式によって算出された額が外国税額控除の限度額とされます。控除限度超過額※および控除余裕額※は翌年以降3年間繰越すことが可能です。
[事例2]前年の外国所得税額(80)が控除限度額(100)を下回り、本年では外国所得税額(150)が控除限度額(100)を上回る場合
①前年における処理
前年において控除余裕額20(前年の控除限度額100−前年の外国所得税の額80)が発生します。
控除余裕額=100(控除限度額)-80(外国所得税の額)=20
②本年における処理
本年において、前年の控除余裕額20を本年の控除限度超過額の合計額50(本年の控除限度額100−本年の外国所得税額150)から差引くことができます。
150(本年の外国所得税額)-100(本年の控除限度額)-20(控除余裕額)=30
第三国を通じた投資
香港、台湾、ケイマン諸島などのタックス・へイブン国である第三国を通じた中国投資を検討している会社があります。その多くは、外国法人税率の低さ、その他税制優遇措置の享受、既存外国子会社の活用など、さまざまなメリットの活用を検討しています。
タックス・へイブン国を通じた投資はこうしたメリットがある一方で、デメリットとして、日本の法人税法上、タックス・へイブン国に設立した会社の所得がタックス・へイブン対策税制の適用対象となるリスクが挙げられます。したがって、税務メリットだけでなく、税務リスクも考慮に入れた上で判断することが重要です。
■ 香港を経由した中国投資
第三国を通じた中国投資でよく利用されるのが香港です。ここでは、香港経由の中国投資を行う際のメリットとデメリットを挙げます。
メリットは主に3つあります。1つ目は税金コストを安く抑えられることです。タックス・へイブン国である香港の法人税率は16.5%で、株式配当、キャピタルゲイン、預金に対する利子は課税対象外であるため、香港の税制をうまく活用すれば税金コストを抑えることが可能です。
2つ目はCEPA(Closer Economic Partnership Arrangement:香港・中国経済貿易緊密化)協定の活用です。CEPAは中国と香港の経済関係強化を目的とする協定です。この協定を活用すれば、香港経由で中国進出する際に、優遇措置を享受することができます。優遇措置は大きく分けて、香港製品に対する関税の免除、中国進出する香港会社に対する参入規制の緩和の2つがあります。既に補充協定がいくつも締結されており、追加の優遇措置が定められるなど、香港経由の中国投資を検討する際は注目すべき協定といえます。
3つ目は高度なインフラ整備を活用できることです。香港には世界でも有数な湾岸コンテナ設備、利便性の高い香港国際空港があります。また、香港は言わずと知れた金融センターであり、金融サービスも充実しています。
香港はイギリスの植民地の時代にイギリスの対中国貿易の拠点として発達し、輸入したものをそのまま輸出するという中継貿易が行われていました。そうした歴史的な背景もあり、香港は外国企業にとっては非常に参入しやすい国で、外資への規制はほとんどありません。その上1HKドルから会社設立が可能で、設立手続なども比較的容易です。
デメリットとして、香港に会社を設立後、法人維持費用が発生することが挙げられます。香港子会社からの所得に対してタックス・へイブン対策税制が適用される場合、香港子会社の所得は日本の所得と合算され、日本の法人税が課税されるため税金コストが増えることがあります。
以下、具体的に香港経由で中国投資した場合の税務上の処理について検証します。
■ 香港経由で受取る配当金の源泉税
日本の親会社が中国子会社の配当を香港経由で受取る場合、一定の要件を満たせば中国子会社からの直接配当よりも配当源泉税を低く抑えることが可能です。
中国子会社から直接配当を受取る場合、中国国内において配当源泉税10%が課税されます。一方、中国子会社から香港経由で受取る配当金の場合、中国国内において配当源泉税5%(中国と香港の間で締結されている租税条約)が課されます。
さらに香港において、配当金は法人税法上で課税対象外であるため、香港で受取った配当金全額を日本へ送金することが可能です。つまり、中国子会社の配当金を香港経由で受取った場合、5%分だけ配当源泉税を低く抑えることができます。
香港子会社が実態のないペーパー会社(登記上は存在するがオフィスが実在しない会社)である場合、中国では配当源泉税5%の適用を認めないとする通達があります(国税函[2018]第9号通達)。ペーパー会社であると中国税務当局に判断された場合、中国から香港子会社への配当源泉税率は10%になるため、香港経由で配当金を受取る際はあらかじめ中国の会計士事務所等に相談することが重要です。
日本の法人税法上、外国からの配当金は、一定の要件を満たせば配当金の95%が益金不算入となります。
■ 香港子会社を経由した中国孫会社持分の売却
香港の会社が中国会社の持分を売却した場合、その持分譲渡益は香港の税務上課税されないというメリットがありますが、持分譲渡をする際に発生した費用も損金計上されません。これは香港において、株式や不動産から獲得するキャピタルゲインが法人税法上非課税となっているためです。
ただし、香港当局で持分の売却が転売目的であると判断された場合はキャピタルゲインとして扱われず、課税されることがあります。明確な規定はありませんが、香港当局の判断目安として5年以上の保有期間の場合はキャピタルゲインとして扱われ、1年以上5年未満の保有期間はグレーゾーン、1年未満は転売目的とみなされる傾向にあります。
このように、香港ではキャピタルゲインが法人税非課税とされているため、中国子会社の株売却や撤退を視野に入れている場合は香港子会社を経由した中国投資が有効です。
デメリットとしては、香港子会社の設立・維持費用が発生することや、香港子会社がタックス・へイブン対策税制の適用対象となる可能性があることなどが挙げられます。したがって、デメリットも考慮に入れた長期的な戦略が必要です。
■ 地域統括拠点としての香港
香港に地域統括会社(Regional Head Quarter)を設立し、それを活用すれば、課税額を抑えることも可能です。中国子会社やベトナム子会社などの利益を香港統括会社にプールし、その利益を被統括会社に再投資すれば、日本で課税されることなく資金運用することができます。
さらに、一定の要件を満たす海外周辺を統括する会社であれば、タックス・へイブン対策税制の適用を免れる可能性が大きくなります。一定の要件とは以下の3つを指します。
・ 海外で周辺地域を統括する会社が日本本社によって株式100%を直接的・ 間接的に保有されていること
・ 海外で周辺地域を統括する会社が2つ以上の被統括会社の株式等を保有して統括業務を行っていること
・ 海外で周辺地域を統括する会社がその統括会社の所在地で固定的な統括業務をするために施設と人員を保有していること
これらの要件をすべて満たせば、海外で周辺地域を統括する会社はタックス・へイブン対策税制上の「統括会社」とみなされ、事業基準にかかわらず適用除外として扱われます。
事業基準とはタックス・へイブン対策税制の適用除外基準の1つです。その会社の主な事業が株式の保有やリース業等の場合は、適用除外基準を満たすことができないため、その会社の所得についてはタックス・へイブン対策税制を適用しなければなりません。
国際税務の個別論点
租税条約
租税条約とは国家間で取り決められた税務処理に関するルールであり、国際間の二重課税の回避と脱税の防止を目的としたものです。財務省「我が国の租税条約等の一覧」によれば、2026年5月時点、日本は約85の租税条約等(情報交換協定・税務行政執行共助条約を含む)により合計約155か国・地域と租税条約等の枠組みを構築しています(出版直前に最新値をご確認ください)。租税条約には二重課税の回避のため、配当・利子・使用料に係る源泉地国課税の限度税率の引下げ、PE(恒久的施設)に該当しない場合の事業所得の源泉地国課税の免除、給与等所得への短期滞在者免税(183日ルール)等の規定が含まれています。
租税条約の内容としては、外国税額控除や源泉税率などさまざまな取り決めがあります。基本的に、租税条約と国内法の内容が異なる場合は租税条約が優先的に適用されます。ただし、国内法が減税になる場合は国内法を優先できるという規定もあります(プリザベーション・クローズ)。
■ 日本と中国との租税条約
日本と中国とは、1983年9月6日に所得に対する租税に関する二重課税の回避および脱税防止のための日本国政府と中華人民共和国政府との協定を締結しました(1984年6月26日発効)。この協定の適用範囲は主に中国における企業所得税と個人所得税です。増値税ならびに営業税等の流通税は適用範囲外となっており、日本の法人税法上、これらは損金として処理することができます。
■ 取引事例による検証
日本と中国の間の取引で税務上の問題になるのが、「源泉徴収されるか否か」です。以下の3つの事例を通して検証します。
[事例1]コミッション(販売手数料)に係る源泉課税
世界進出を試みる機械販売会社が中国に子会社を設立しました。日本親会社は中国子会社に販売活動を委託し、その対価として受注に応じてコミッション(販売手数料)を支払うケースを検証します。
源泉徴収の判定にあたってはじめに考えるべきことは、居住性を有するか否かです。中国子会社は中国国内に設立されているため、日本における居住性はないと判断され、日本の税務上は外国法人とみなされます。
外国法人に対しては、日本国内で発生した源泉所得の支払があった場合に源泉徴収されます。中国子会社が行っている販売活動は中国国内における人的役務提供取引であることから、中国国内で発生した源泉所得と考えられます。したがって日本親会社が中国子会社に支払ったコミッションは日本国内で発生した源泉所得には該当せず、日本の税務上、今回のコミッション支払に対する源泉税は徴収されません。
[事例2]ソフトウェア取引を通じた源泉課税
日本親会社が中国子会社に対してソフトウェア開発を委託し、業務委託料を支払うケースを検証します。開発されたソフトウェアの著作権は日本親会社が所有し、日本国内でソフトウェアの販売を行うものとします。
事例1と同様に、中国子会社は外国法人と扱われます。ただし、事例2は著作権が関わるため、業務委託料が人的役務提供取引または著作権の譲渡に該当するかによって処理が異なります。
人的役務提供取引に該当する場合は、日本の法人税法上、源泉税は徴収されません。それは中国子会社が行った開発業務(所得の源泉)は中国国内で行われているためです。
著作権の譲渡に該当する場合は、日中租税条約において、著作権の譲渡対価は譲渡所得となり、源泉地国での課税は制限されていません。したがって、日本の法人税法上、業務委託料は譲渡所得とみなされ、20%を源泉徴収されます。
[事例3]利息源泉税と租税条約
ある中国企業が日本に子会社を設立したとします。この日本子会社が獲得した利益を銀行に預け入れた後、預入金に対する利息が銀行から日本子会社に支払われたケースを検証します。
この日本子会社は日本に所在地があることから、日本における居住企業と認識されます。居住企業が受取った利息は日本国内で発生した所得に該当するため源泉徴収されます。
日本の税法上、銀行受取利息に係る源泉徴収の税率は20%です。一方で、日中租税条約で利息の源泉徴収税率は10%を超えないと定められています。したがって、事例3での日本子会社が受取る利息は利息額面に対し10%の税率で源泉徴収されると考えられます。日本の会社の中国子会社が受取る銀行利息についても、租税条約により10%の税率で源泉徴収されると考えられます。
以上のように源泉徴収されるか否かの問題は、取引の実態を正確に把握した上で租税条約や各国の税制を十分に理解することが重要です。
タックス・ヘイブン対策税制
中国に拠点を設けてビジネスを行う場合、特に中国子会社を設立する場合に注意すべき税制の1つはタックス・へイブン対策税制です。
タックス・へイブンとは租税回避地という意味で、税金負担を極端に減らすことにより、海外から会社や資産家などを誘致する国や地域のことを指します。有名なタックス・へイブンとしてケイマン諸島、ドバイ、シンガポールなどがあります。
日本の法人税法に規定されているタックス・ヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)とは、内国法人等が特定外国子会社等(軽課税国に所在する外国関係会社)を有する場合に、その特定外国子会社等が留保した利益のうち、その内国法人が保有する当該子会社株式の所有割合に対応する部分の金額をその内国法人等の収益とみなして、日本で合算課税する制度です。日本では会計上「収益」が認識されていないにもかかわらず、税務上「益金」を認識することにより、海外の留保所得について日本で課税する税制です。
本制度は2017年度(平成29年度)税制改正により大幅に見直され、平成30年4月1日以後に開始する事業年度から新制度が適用されています。改正前は、租税負担割合が20%以上の外国関係会社は本税制の適用対象外となる「トリガー税率」制度が採られていましたが、改正によりこのトリガー税率は廃止されました。改正後の新制度では、外国関係会社を(A)「特定外国関係会社」と(B)「対象外国関係会社」「部分対象外国関係会社」に区分し、それぞれ次のように合算課税の取扱いが異なります。(A)「特定外国関係会社」は、(i)ペーパーカンパニー(実体基準・管理支配基準のいずれも満たさない外国法人)、(ii)事実上のキャッシュボックス(総資産に占める受動的所得の割合が30%超で、かつ総資産の過半数が受動的所得を生み出す資産で構成される外国関係会社)、(iii)ブラックリスト国所在会社(税務情報の国際共有に非協力的な国・地域に所在する会社)、のいずれかに該当する外国関係会社を指し、租税負担割合にかかわらず、原則として全ての所得が合算課税の対象となります。ただし、特定外国関係会社の租税負担割合が30%以上(令和6年4月1日以後に開始する事業年度からは27%以上)の場合は適用免除となります。(B)特定外国関係会社に該当しない外国関係会社のうち、租税負担割合が20%未満かつ経済活動基準(事業基準、実体基準、管理支配基準、所在地国基準または非関連者基準)のいずれかを満たさない会社は「対象外国関係会社」として、その全ての所得が合算課税の対象となります。経済活動基準を全て満たす会社は「部分対象外国関係会社」として、受動的所得(利子・配当・キャピタルゲイン・ロイヤルティ等)のみが合算課税の対象となります(部分合算課税)。なお、2019年度税制改正により、部分合算課税の対象となる受動的所得の範囲も大幅に拡大され、貸付金に係る受取利子や一定の配当金・キャピタルゲインも合算課税の対象に含まれることになりました。日系企業が中国子会社を香港・シンガポール等の地域統括拠点経由で保有する場合や、租税負担割合が低い国に資金プール会社等を有する場合は、特に注意が必要です。
特定外国子会社等が独立企業としての実体を備え、かつ、その所在地国で事業活動を行うことにつき十分な経済合理性があると認められるなど一定の場合には、租税回避が目的ではないものとして同税制は適用されません。よって税務当局から指摘をされる前に、地域統括会社において現地での活動実体を整備する必要があります。
外国税額控除
日本企業が海外の支店等で外国税額を支払った場合などは外国税額控除を活用することができます。
日本国内に本店を持つ会社は、日本の法人税法上では全世界で得た所得が課税対象となり、日本に対して法人税を支払います。外国で得た所得に関しても、外国の法人税法に基づき外国法人税を海外(源泉国)で支払わなければなりません。
このような、海外で支払った外国法人税を日本の法人税から控除するのが外国税額控除です。外国税額控除は二重課税を回避するために取り決められました。日本では、日本の法人税額から海外で支払った法人税を直接控除する外国税額控除方式と、海外で支払った法人税額を損金算入する外国税額損金算入方式があります。外国税額控除方式は直接算出税額から控除できるため、ほとんどの企業が採用しています。
■ 外国税額控除の対象
外国税額控除は、所得額を課税基準として課税される税金が対象となります。利子や配当、使用料等を受取る際、源泉徴収された税金も対象とされます。
■ 外国税額控除の適用時期
外国税額控除は外国法人税の納付予定日が属する事業年度に適用されます。ただし、継続適用かつ税務上合理的な基準に該当すると認められる場合に限り、内国法人による納付が確定した外国法人税額を費用として認識した日が属する事業年度に外国税額控除を適用することも可能です。国外の所得の発生時期とその所得に対する外国税額控除の時期は、必ずしも一致するとは限りません。
原則として納付確定時期は各国の規定に準拠しますが、不明確な場合は以下のように判断します。
・ 申告納付方式:納税申告書を提出した日
・ 賦課課税方式:賦課決定通知があった日
・ 源泉徴収方式:源泉徴収の対象となるロイヤルティなどの支払が実行された日
■ 中国における外国税額控除制度
中国にも日本と同じように外国税額控除制度があります。
財政部の国家税務局による企業の国外所得税の外国税額控除に関する問題の通知に基づいて外国税額控除制度が定められています。
外国税額の控除限度額
外国税額控除限度額は、国または地域ごとに分けて算出しなければならないとされています。
書類の未整備等により国または地域ごとに控除可能な限度額を算出できない場合は、その国・地域で支払った税額は外国税額控除の適用外となり、次期以降においても繰越して控除できません。
[控除対象となる外国税額]
外国の税法に従って納付すべき、かつ納付済みの外国税額が控除対象となります。外国税額遅延納付または過少納付により発生した利息、罰金、延滞金は控除の対象にならないなど、控除対象外項目もあります。
[間接外国税額控除の適用基準]
間接外国税額控除とは、外国の子会社などが納付した外国税額のうち内国法人が受取った配当に対応する部分を税額控除できる制度です。中国において、間接外国税額控除の適用を受けるには、その中国子会社が直接20%以上の外国企業の持分を保有しなければならない等の定めがあります。日本では間接外国税額控除制度は既に廃止されています。
過少資本税制
日本の子会社が外国の親会社等のグループ会社から資金提供を受ける場合、株式の発行等による資本の受入か、貸付等による借入金の受入かを選択することができます。前者の場合、調達に係るコストは配当という形で支払われるため課税所得に影響を及ぼしません。しかし、後者の場合、調達に係るコストは利子という形で支払われるため、使用コストを損金算入することができます。
一般的に、後者の方が利子の分だけ課税所得を減らすことが可能なため、税負担を軽くすることができます。そのため、株式の発行ではなく、貸付等により資金の提供を受ける誘因が働きます。このように、意図的に税負担を軽減させる行為を回避するために日本で設けられたのが過少資本税制です。
同様の制度が中国でも施行されています。中国国内税制において配当免税が廃止となり、一律10%の源泉所得税が課税されることになりました。支払利息も10%の源泉所得税が課されますが、一定の要件を満たせば損金算入可能であるため、配当より利息の方が比較的有利といえます。
設備輸入免税制度も廃止となり、免税輸入枠を取得するための増資インセンティブは働かなくなりつつあります。むしろ、関連者からの借入を増やして、支払利息を損金算入させることにより、課税所得を圧縮しようという企業が出てきてもおかしくない状況です。このような租税回避行為に歯止めをかけるために、中国でも過少資本税制の導入が図られたといえます。
中国では原則として、国外支配株主等の負債ならびに資本持分比率(負債残高÷国外支配株主等の内国法人に係る資本持分)が300%を超過している場合(金融会社の場合600%)に、国外支配株主等の資本持分の300%(金融会社の場合600%)を超過する金額に該当する支払利子額の損金算入は不可となります。
中国では総投資額に対する資本金の割合が厳しく制限されており、投資総額の規模に応じて一定割合の資本金を払込むことを義務付けています。これにより、借入金等負債の上限金額は、投資総額と登録資本金の差額として自動的に確定されます。借入金の割合は、最大でも資本金の2倍に制限されます。このことから、中国でビジネスを展開する上で過少資本税制の直接的な影響は限定的と考えられます。
過大支払利子税制
過少資本税制は資本金に対して過大な支払利子を制限する制度です。これに対し、過大支払利子税制は所得金額に対して過大な支払利子を制限する制度です。
本制度は、2019年度(令和元年度)税制改正により、BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの行動4の勧告を踏まえた大幅な見直しが行われ、令和2年4月1日以後に開始する事業年度から新制度が適用されています。改正の主な内容は、(1)適用対象を従来の「国外関連者等への支払利子」から「国外の第三者・関連者等への支払利子」に拡大、(2)損金算入限度額の計算の基礎となる調整所得金額から、これまで加算されていた受取配当等の益金不算入額を除外、(3)損金不算入額の判定基準(基準値)を調整所得金額の50%から20%に大幅に引下げ、(4)適用免除基準を「関連者純支払利子等の額1,000万円以下」から「対象純支払利子等の額2,000万円以下」に変更、(5)新たに企業グループ単位の適用免除基準(グループ全体の対象純支払利子等の額が調整所得金額の20%以下)を導入、などです。改正後の現行制度では、対象純支払利子等の額(対象支払利子等の額の合計額から控除対象受取利子等の額の合計額を控除した残額)が調整所得金額の20%を超える場合に、その超える部分の金額が損金不算入となります。なお、受領者側で日本の課税対象所得に含まれる利子(国内の第三者・関連者等への支払利子)は本制度の対象外となるため、実質的には対象が国外への支払利子等にほぼ限定されています。損金不算入とされた金額は、翌事業年度以後7年間(令和4年4月1日から令和7年3月31日までの間に開始した事業年度の損金不算入額は10年間)にわたり繰り越して、その後の事業年度で対象純支払利子等の額が調整所得金額の20%に満たない場合に、その満たない部分を限度として損金算入が認められます。
過大支払利子税制と過少資本税制の両方で損金不算入額を計算できる場合、いずれか損金不算入額が大きい方が適用されます。
情報交換規定と相互協議
情報交換規定には、日中両国の税務局がお互いに税金に関する情報交換を可能とするルールなどが定められています。
相互協議においては、日本の会社が中国の税務局に租税条約に反して税金を納付することになった場合あるいは還付されなかった場合、その会社はこれを不服として日本の税務局に救済を求めることができます。
税制優遇措置
中国にはさまざまな税制優遇措置があります。効率的かつ最大化するような投資回収を実現するため、これらの優遇税制を正しく理解して活用することが重要です。
業種や地域によって取り扱いが異なり、優遇措置を受ける業種なども通達によって変化するため、常に最新の情報を入手することが大切です。
■ 輸入設備機器の免税措置
外商投資企業が投資総額の範囲内において生産活動のために使用する輸入設備機器等を購入した場合、その購入によって発生した輸入関税が免除されることがあります。ただし、免税措置対象は中国から奨励されている業種やプロジェクトに限定されています。
対象となるプロジェクト、企業、設備は以下のとおりです(税関総署公告[2008]第103号)。
・ 中国が発展を奨励する国内投資プロジェクトと外商投資プロジェクトが輸入して自己で使用する設備および技術、部品、予備の部品等
・ 外国政府借款プロジェクトと国際金融組織借款プロジェクトが輸入する設備および技術、部品等
・ 加工貿易をする上で外国側が提供する価格を設定しない設備(外国側が無償で提供する貸与設備)および技術、部品等
・ 外商投資企業と外商投資研究開発センター※が技術改造(設備更新も含む)の目的で輸入する設備、付帯技術、部品等
・ 中西部地区外商投資優勢産業目録により認可されている外商投資プロジェクトが輸入して自己のために使用する設備、付帯技術、部品等
・ ソフトウェアを生産する企業が輸入する設備、付帯技術、部品等
・ 集積回路を生産する企業が輸入する設備、付帯技術、部品等
・ 都市軌道交通プロジェクトが輸入する設備、付帯技術、部品等
・ 国務院の輸入設備税収政策調整に関する通知を参照して執行するその他企業、プロジェクトが輸入する設備、付帯技術、部品等
※外商投資企業が単独または企業内部に設置したR&D(研究開発)を専門として行う研究機構。このセンターを設けずとも上記の条件を満たせば、免税措置は適用される
■ 技術譲渡所得減免措置
技術譲渡所得とは、その技術を譲渡した収入から技術原価と関連費用を差し引いた所得をいいます。譲渡した設備、部品、原材料等による収入は、技術譲渡所得に含めることができません。技術コンサルティング、技術サービス、技術訓練等による収入についても技術譲渡所得として計上することができません。
技術譲渡原価とは譲渡した無形固定資産の純額を指します。つまり、税務上の無形固定資産額から減価償却累計額を差し引いた残額です。関連税金費用とは技術譲渡する際に発生した税金やその他の費用を指します。
技術譲渡所得は以下のように算出します。
技術譲渡収入-技術譲渡原価-関連税金費用
企業所得税の計算において一定の要件を満たす技術譲渡所得は、一納税年度に500万元を超えない金額は免税、超える金額は半減するとされています。一定の要件とは以下のものを指します。
・ 技術譲渡を行う企業は、中国の居住者企業であること
・ 技術譲渡は国家税務局が規定している範囲内の譲渡であること
・ 中国国内での技術譲渡の場合、省級以上の科学技術部門からの認定を受けていること
・ 中国国外への技術譲渡の場合、省級以上の商務部門からの認定を受けていること
・ その他国務院税務主管部門の定める条件
技術譲渡所得減免の優遇措置を受ける外国投資企業は技術譲渡所得とそれ以外の所得に明確に区分して計算し、かつその企業の期間費用を合理的に按分しなければならないとされています(国税函[2009]第212号:技術譲渡所得に対する企業所得税の減免に関する問題についての通達)。
■ 障害者雇用時の優遇措置
外国投資企業が障害者を雇用している場合、企業所得税額の計算上、障害者賃金の実際支払額を控除した上、さらにその100%追加控除できます。ただし、1年以上の雇用契約を締結すること、障害者のための基本的な設備を備えること、最低賃金以上の賃金支払をしていることなどが条件となります。
撤退に係る税務上の問題
事業撤退時の留意点
中国でのビジネスからの撤退には困難を伴うことが少なくありません。その理由として、中国関係当局が投資の撤退を好まないこと、いまだ人治主義が残る地域があるため現地コネクションが不可欠であること、そして中国の裁判所が投資者間の紛争解決に消極的な上、中国側に有利な判決が多いことなどが挙げられます。
撤退にあたっては、事前にしっかりとした戦略を練り、弁護士、会計士等の専門家も交えながら適切な対処を行うことが重要といえます。
税務上の留意点
中国ビジネスからの撤退方法は、大きく分けて解散・清算ならびに持分譲渡の2つの方法があります。
■ 解散・清算
中国ビジネスの撤退方法のうち、進出形態別に解散・清算時に注意すべき事項、清算に係る諸税金、投資者側での税務処理について説明します。
[子会社]
中国子会社の清算において、減免税優遇処理を受けていた当該中国子会社は、追加の税金が発生する可能性があります。企業所得税の減免税措置(2年間の免税と3年間の50%減税)を受けていた子会社は、その事業期間が10年未満の場合は、優遇措置が取消となり、これまでの減免税額を全額納付しなければなりません。
輸入設備機器の免税措置(輸入増値税および関税)を受けていた子会社は、通関日から起算して5年以内である場合かつ中国国内企業に転売する場合、免税された額の一部を納付しなければなりません(外商投資企業輸出入貨物に対する監督と徴税弁法18条)。
[駐在員事務所]
駐在員事務所の清算において、清算所得がある場合は、企業所得税を支払う必要があります。また、非課税認定を受けている駐在員事務所であっても、所得がなかったことを税務局に証明する必要があります(国税発[2010]第18号、外国企業駐在員事務所税収管理暫定弁法)。
[支店]
支店の清算については、当年までの企業所得税を本店が代わりに納付しなければなりません(地域を超えた経営に関する企業所得税の一括納税徴収管理暫行弁法5条)。
[清算所得税および諸税金]
清算前
年度の途中において、経営活動を終了し清算する場合はその終了日から60日以内に税務機関へ当期企業所得税の確定申告をしなければなりません。
清算後
経営活動終了日後の清算過程において、財産を譲渡した場合は増値税、営業税等の流通税が発生します。清算の結果、清算所得が発生した場合は、原則としてその清算所得に対して課税されます。清算所得とは全資産の正味実現可能価額、または取引価格から純資産額、清算費用および関連費用などを控除した残額をいいます。
清算所得税は上記の清算所得から過年度繰越欠損金を控除した額に標準税率25%が課せられます。なお、清算期間中は優遇税率が適用されません。
[投資側の処理]
清算会社の投資者が配当によって得た残余財産のうち、清算会社の繰越利益剰余金および利益剰余金累計額のそれぞれの投資者が占める出資比率に基づいて計算された部分は配当所得となります。残余財産から配当所得を控除した額が投資原価を上回る場合はキャピタルゲイン(譲渡益)となり、残余財産が投資原価を下回る場合はキャピタルロス(譲渡損失)となります。
■ 持分譲渡
完全子会社または合弁会社を設立している場合は、撤退方法として持分譲渡という選択肢があります。進出形態別に注意すべき事項と譲渡所得の計算について説明します。
[完全子会社]
100%持分中国子会社の持分を譲渡する場合は、認可機関の認可を得た上で、登記機関において登記の変更を行う必要があります。外商投資企業投資家の持分変更に関する若干の規定によると、具体的な処理手順は以下のとおりです。
まず、持分譲渡契約を作成し、当事者のほかに出資者がいる場合はその全員の合意を得ます。次に設立時の審査認可機関へ申請し、批准証書の変更・登記変更(営業許可証の書き換え)および管轄の税務局、財政局、税関へ変更登記等を行うことになります。
株式譲渡により、その会社が外資企業から内資企業へ変わった場合で、かつ2年免除または3年半減の優遇政策を受けていた場合は注意が必要です。その企業が10年未満の場合は、優遇政策を受けた期間についての減免された税金を一部または全額返還する義務が発生します。
[合弁会社]
中国投資者に譲渡するケース
合弁会社の持分を中国投資者に譲渡する場合、その合弁会社は中国会社に組織変更するため、完全子会社と同様に中国合弁会社が享受していた減免税優遇措置が取り消されます。その結果、中国子会社が解散・清算したときと同様に追加の納税義務が発生する可能性があります。
従来、中外合弁経営企業法に基づき、外国出資者の出資比率は原則25%以上とされ、25%未満となる場合には外商投資企業としての税制優遇措置を享受できなくなるという問題がありましたが、2020年1月1日施行の外商投資法によって外資三法が廃止された結果、現在では外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト、2024年版・2024年11月1日施行)に記載されている業種を除き、出資比率の制限はありません(製造業はネガティブリストから完全撤廃済み、第3章「投資環境」参照)。また、外資企業向けの2年免除・3年半減の所得税優遇措置等は2008年1月1日施行の企業所得税法(内資企業との税制統合)により既に廃止されており、内資・外資の税制格差は基本的に解消されています。ただし、ネガティブリスト記載業種で出資比率制限が残る分野では、譲渡の結果として規制違反となるおそれがあるため留意が必要です。持分譲渡をする際は、市場監督管理機関(旧工商行政管理機関)への登記変更が必要であり、業種によっては所管の認可機関の認可が引き続き要求されます。
第三者に譲渡するケース
合弁会社の持分を第三者に譲渡する場合は、他の出資者の同意が必要です。従来は中外合弁経営企業法実施条例にこれが規定されていましたが、2020年1月1日施行の外商投資法による外資三法の廃止に伴い、現在は改正会社法(2024年7月1日施行)第84条以下に基づき、有限責任会社の株主が持分を株主以外の者に譲渡する場合は、他の株主に対する書面通知と他の株主の優先購買権が認められています(定款で別段の定めをすることも可能)。
第三者が外国会社であり、かつ固有資産を出資している中国出資会社の持分比率が変更される場合は、その持分譲渡は固有資産管理機関に登録された資産評価事務所の評価を得なければならないなどの追加処理が発生します。
[譲渡所得の算出]
譲渡所得は譲渡収入から譲渡原価を差引いて計算されます。譲渡所得には10%の企業所得税が課せられます。日本の法人税法上も譲渡所得が認識されますが、中国での企業所得税は外国税額控除の対象となります。
[戦略的な持分譲渡]
持分譲渡をする前に配当を行うと、税負担を抑えることができます。配当処理は持分譲渡取引条件に影響するためで、常に得策とはなりませんが、有効な手段の1つといえます。
以下、配当を行わず直接持分譲渡するケースと配当後持分譲渡するケースを比較検証します。日本親会社と中国子会社の関係は、100%持分とし、配当は300とします。
直接持分譲渡した場合
直接持分譲渡する場合、譲渡所得額は300(譲渡収益400−譲渡原価100)となり、10%の譲渡所得税率が課されます。その後、日本法人税法上、課税所得額300(税引き後譲渡益270+譲渡所得額30)が計算され、30%の法人税が課されます。
さらに、中国における譲渡所得についての企業所得税額は外国税額控除額とみなされ、手取額は210(譲渡益270−法人税90+外国税額控除30)となります。
配当後持分譲渡した場合
配当後持分譲渡する場合、その配当に対して10%の配当源泉税が課されます。その後、日本法人税法上、外国からの配当については5%のみ課税されるため、課税所得額15({配当送金額270+配当源泉税30}×0.05)が計算され、30%の法人税が課されます。その結果、手取額は265.5(配当送金額270−法人税額4.5)となります。
検証
以上により、配当後持分譲渡する場合は直接持分譲渡する場合に比べ、手取額が84(264−180)だけ多いことがわかります。配当の源泉となる利益が2008年1月1日以前に発生した利益である場合は、中国における配当源泉税が優遇税制により免税になるため、税負担を減らすという点で有効です。
参考文献
・『中国の投資・M&A・会社法・会計税務・労務』
(久野康成・TCG国際弁護士法人監修 TCG出版)
・国税庁 「外国子会社配当益金不算入制度に関する質疑応答事例について」
外国子会社配当益金不算入制度に関する質疑応答事例について(情報)|国税庁 (nta.go.jp)
・財務省 「我が国の租税条約等の一覧」
我が国の租税条約等の一覧 : 財務省 (mof.go.jp)
・中华人民共和国财政部
・国家税务总局
・経済産業省「CFC税制の改正について(タックスヘイブン対策税制・外国子会社合算税制)」(平成29年8月)
・PwC Japan「タックスヘイブン対策税制」(2017年改正および2019年改正の解説)
・財務省「過大支払利子税制の概要」(令和元年度税制改正反映版)
・EY Japan「過大支払利子税制の見直し(令和元年度税制改正)」(2020年1月)
・財政部・国家税務総局「営業税の増値税への統合に関する通知(営改増全面完了)」(财税[2016]36号、2016年5月1日施行)
・中華人民共和国外商投資法(2020年1月1日施行、外資三法廃止)
・中華人民共和国会社法(2023年12月29日改正、2024年7月1日施行)
【AIレビュー:図表追加・更新の提案】
図表ⅰ:タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)の体系(2017-2019年改正後)
特定外国関係会社(ペーパーカンパニー/キャッシュボックス/ブラックリスト国所在):全所得合算、租税負担割合30%以上(令和6年4月1日以後27%以上)で適用免除。対象外国関係会社(租税負担割合20%未満かつ経済活動基準のいずれかを満たさない):全所得合算。部分対象外国関係会社(経済活動基準を全て満たす):受動的所得のみ合算。判定フローチャートと適用免除基準の一覧。
図表ⅱ:過大支払利子税制の改正前後比較(2019年改正)
改正前:対象は国外関連者への支払利子、損金算入限度額は調整所得金額の50%、適用免除基準は関連者純支払利子等の額1,000万円以下。改正後:対象は国外の第三者・関連者等への支払利子、損金算入限度額は調整所得金額の20%、適用免除基準は対象純支払利子等の額2,000万円以下+グループ単位の適用免除基準。BEPS行動4の勧告を反映。
図表ⅲ:営業税廃止と増値税統合の経緯(2012年〜2016年)
2012年1月(上海試行・交通運輸業+現代サービス)→2013年8月(全国拡大・運輸業統合)→2014年(鉄道運輸・郵政業統合)→2016年5月1日(建築業・不動産業・金融業・生活サービス業統合で営改増全面完了)。原稿のロイヤルティ事例における営業税5%は完全に過去のものであり、現行制度では増値税6%(現代サービスの一部)が適用。
図表ⅳ:日中租税条約の主要規定と源泉地国課税の限度税率(2026年版)
配当(10%)、利子(10%)、使用料(10%)、PE該当性、短期滞在者免税(183日ルール)、譲渡所得課税、相互協議手続。中港租税協定との比較(配当5%・国税函[2018]9号通達のペーパー会社排除)。
図表ⅴ:外資三法廃止前後の中国現地法人運営における国際税務論点の整理
出資比率制限(外資三法廃止により原則撤廃、ネガティブリスト記載業種のみ残存)、税制優遇(2008年企業所得税法統合により内資・外資格差解消)、減資手続(改正会社法ベース)、持分譲渡(改正会社法第84条等)、撤退時税務処理(清算所得・持分譲渡・減免税の追加納税)、本書第3章〜第10章との相互参照。
